はらぺこツインズ活動休止：うつ病と入院が明かしたYouTuberの「見えない重圧」

大食いツインズを襲った「見えない重圧」：はらぺこツインズ活動休止が問いかけるYouTuberのメンタルヘルス

チャンネル登録者数56万人を超える人気双子YouTuber「はらぺこツインズ」（小野かこ、小野あこ）が、2025年10月末に突然発表した活動休止は、国内外のファンに大きな衝撃を与えました。

その深刻な理由が、妹のあこさんの即時入院と、姉妹双方が患っていた「うつ病」であったことが、11月上旬に公開された動画で明らかになりました。彼女たちが訴えたのは、極限の大食いパフォーマンスではなく、デジタル時代におけるコンテンツ制作者が直面する「見えない重圧」の深刻さでした。

突如の入院、複合的な健康問題の裏側

活動休止の発表当初、妹のあこさんが体調不良で即時入院したことが報じられていましたが、その原因は単なる過食によるものではなく、複数の要因が絡み合った複合的なものでした。

姉妹の説明によれば、休止の主な原因は、うつ病というメンタルヘルスの問題であり、これが「ストレス性胃腸炎」や「慢性的な胃の不調」といった身体症状として現れていたといいます。あこさんは「何にも興味がなくなる。食べるのが大好きだったが、その"生きがい"すらなくなってしまう」とうつ病の最もつらい症状を吐露し、心身の限界を超えていた状況を赤裸々に語りました。

大食いタレントの健康状態は常に注目を集めますが、今回の事例は、パフォーマンスそのものよりも、日々の動画制作や期待に応えようとする精神的な負担が、結果としてフィジカルな病を引き起こすという現代的な病理を浮き彫りにしています。

プロYouTuberを蝕んだ「管理キャパ」の限界

なぜ、人気絶頂にあった彼女たちが心身ともに追い詰められてしまったのでしょうか。

姉妹は動画の中で、その原因を「動画を上げなければならないプレッシャーが大きかった」「自分たちが管理できるキャパシティを超えてしまった」と分析しています。登録者数が数十万人に達する人気YouTuberにとって、ファンからの期待に応えるための定期的な投稿は「義務」となり、その負荷は想像を絶します。

特に大食いというジャンルは、大量の食材調達、調理、そして何より身体に大きな負担をかけるパフォーマンスを伴います。これに加え、動画の企画、撮影、編集、そしてSNSでの対応といった作業が休みなく続けば、その精神的な疲弊は計り知れません。

姉のかこさんは「自分たち自身をコントロールできなかった」と語り、プロフェッショナルとして活動を持続させるための自己管理能力が、過度なストレスによって麻痺してしまった状況を示唆しています。デジタル時代のエンターテイナーが、自身の心身の健康と、視聴者の飽くなきコンテンツ欲求との間で板挟みになる構造的な課題が、ここに見て取れます。

「大食い＝不健康」という固定観念への反証

今回の休止発表で注目すべきは、姉妹が世間に広がる「大食い＝不健康」という固定観念に対し、強い異議を唱えた点です。

妹のあこさんは入院の経緯について、「大食いのせいで入院したのではない」「むしろ大食いしている時の方が体調が良かった」と明言しました。さらに、「大食いは不健康みたいなイメージを持ってほしくない」と強調し、健康管理に十分配慮しながらプロとして活動してきたことへの誇りを示しました。

これは、彼女たちにとって大食いが単なる「過食」ではなく、自己表現であり、生きがいであったことの証左です。心の問題が身体に症状として現れたケースであると明確にすることで、大食いというジャンルの健全性を守ろうとする、プロフェッショナルとしての強い矜持が窺えます。

あこさんは11月8日に無事退院し、現在は姉妹ともに回復に向かっているとのことですが、復帰時期は未定です。ファンからは「ゆっくり休んで」「笑顔で戻ってくる日を待っている」といった温かいメッセージが多数寄せられています。

はらぺこツインズの休止は、人気YouTuberといえども、メンタルヘルスの問題から逃れられないという現実を私たちに突きつけました。コンテンツ制作における持続可能性の確保は、今やYouTuber本人たちだけでなく、業界全体で取り組むべき喫緊の課題となっています。彼女たちが心身ともに健康を取り戻し、再び楽しそうに食べる姿を見せてくれることを、多くのファンが心から願っています。