【川崎】150万都市の変貌:過去最大予算9378億円と加速する100年に一度の再開発
ニュース要約: 川崎市は2026年度予算案として過去最大の9,378億円を計上。高校生までの医療費助成や給食費無償化などの子育て支援を強化する一方、1万5,000人規模の新アリーナ建設や駅前再開発など「攻め」の投資を加速させています。ふるさと納税による税流出や高齢者施策への課題を抱えつつ、スポーツとエンタメを核とした「選ばれ続ける都市」への転換期を迎える川崎の現在地を詳報します。
【川崎】変貌を遂げる150万都市の現在地――過去最大予算と加速する再開発の行方
2026年3月11日 共同通信(寄稿)
人口150万人を擁し、政令指定都市として成長を続ける神奈川県川崎市が、大きな転換期を迎えている。市が発表した2026年度(令和8年度)当初予算案は、一般会計で過去最大の9,378億円に達した。インフラ整備と子育て支援を両輪に据えた「選ばれ続ける都市」への投資が加速する一方で、高齢化社会への対応や財政の持続可能性といった課題も浮き彫りになっている。
■「過去最大」が示す攻めの姿勢と課題
福田紀彦市長が「選ばれ続ける都市の実現」を掲げて編成した2026年度予算案は、前年度比5.0%増という積極的な内容となった。税収面では、個人市民税や固定資産税の伸びにより、市税収入が過去最高の4,272億円を見込む。特筆すべきは、12年ぶりに減債基金からの新規借り入れをゼロとした点だ。財政健全化への道筋をつけつつ、膨らむ社会保障費やインフラ更新に対応する姿勢が鮮明となっている。
しかし、懸念材料も少なくない。その筆頭が「ふるさと納税」による税流出だ。2026年度の流出額は172億円に達する見込みで、貴重な自主財源が削られ続けている現状がある。
■子育て支援と教育環境の抜本的拡充
今回の予算で市民の関心が最も高いのが、手厚い子育て施策だ。2026年9月からは小児医療費助成の対象が高校生まで拡大され、一部自己負担も廃止される。また、小学校の給食費無償化がついに実施される運びとなり、家計への直接的な支援が強化された。
さらに、直近では「物価高対応子育て応援手当」として児童1人あたり2万円の支給が完了。プッシュ型(申請不要)での迅速な給付は、子育て世帯から一定の評価を得ている。2026年4月からは国の「子ども・子育て支援金制度」もスタートし、放課後児童クラブや病児保育の拡充など、共働き世帯を支えるソフト面の整備も一段と進む見通しだ。
一方で、市議会の一部会派や市民団体からは「高齢者施策が疎かになっている」との批判も根強い。健康福祉分野の予算が微減となったことに対し、シルバー世代からは不安の声も上がっている。
■「1万人超アリーナ」が導く都市再開発
ハード面の再開発も目を見張るものがある。川崎駅周辺では、2030年の開業を目指す「Kawasaki Arena-City Project」が着々と進行中だ。京急川崎駅近くの多摩川河川敷エリアに、最大1万5,000人を収容する世界基準のメインアリーナを建設。DeNAと京急が主導するこの事業は、単なるスポーツ施設の枠を超え、商業施設やホテルを併せ持つエンターテインメントの拠点となる。
また、川崎駅西口の顔である「ラゾーナ川崎プラザ」は、2026年秋に過去最大規模のリニューアルを予定。さらに、中原区の「等々力緑地」では、2030年3月の完了を目指し、陸上競技場の改築やアリーナの再整備が進められている。多摩区の向ヶ丘遊園・登戸エリア、宮前区の鷺沼駅前再開発など、市内全域で「100年に一度」とも言える都市改造が同時並行で進んでいる。
■スポーツと治安、そして未来へ
川崎の活気を語る上で欠かせないのが、J1「川崎フロンターレ」の存在だ。長谷部茂利監督のもと、2026年シーズンもUvanceとどろきスタジアムを中心に熱戦を繰り広げている。2月の開幕戦では柏レイソルを相手に5対3という乱打戦を制するなど、市民に活力を与え続けている。
懸念される治安についても、改善の兆しが見える。かつて「治安が悪い」というイメージが先行した川崎駅東口周辺などの川崎区だが、防犯カメラの100台規模での増設や、警察・自治体によるパトロール強化により、犯罪認知件数は減少傾向にある。依然として一部エリアでは他区に比べ高い発生率を示すものの、市全体としては「住みやすい街」への変貌を遂げつつある。
100周年を越え、次の世紀へと歩みを始めた川崎市。巨大アリーナ建設に象徴される「攻めの開発」と、給食無償化などの「守りの福祉」が、150万市民の生活をどう変えていくのか。議会でのさらなる審議と、市民の厳しい監視の目がその成否を握ることになるだろう。
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