【独自】大王製紙可児工場でガス事故、作業員2人が意識不明。マザー工場の安全管理に問われる責任
ニュース要約: 岐阜県可児市の大王製紙可児工場で10日、配管バルブの交換作業中に一酸化炭素漏洩が発生し、作業員2人が意識不明の重体、計6人が搬送される重大事故が起きました。脱炭素化や生産増強を推進する主力拠点での労働災害を受け、企業の安全管理体制と地域社会への説明責任が厳しく問われています。
【独自】大王製紙可児工場でガス事故、作業員2人が意識不明 操業と安全の狭間で問われる「マザー工場の責任」
【2026年3月11日 岐阜・可児】
昨日の午前、岐阜県可児市の「大王製紙可児工場」において、作業員が意識不明となる重大な事故が発生した。同工場は現在、脱炭素化に向けた大規模な設備投資や生産体制の拡充を進めており、地域経済を支える中核拠点としての役割を強めていた矢先の出来事であった。
突如襲った「一酸化炭素」の脅威
事故が発生したのは3月10日午前9時55分頃。可児市土田にある大王製紙可児工場内で、一酸化炭素(CO)が流れる配管のバルブ交換作業を行っていた際、異変が起きた。
現場で作業にあたっていた男性作業員が突如、呼吸困難と意識朦朧を訴え、119番通報がなされた。現場に駆けつけた同僚や他の作業員4人も相次いで体調不良を訴え、計6人が病院へ搬送された。消防の発表によると、搬送された20代から60代の男性作業員のうち、2人が意識不明の重体となっている。
現場では高濃度の一酸化炭素が発生した可能性が高いとみられ、警察と消防は現在、作業手順に不備がなかったか、ガス漏洩の具体的な原因について慎重に捜査を進めている。
「エリエール」を支える可児工場の重要性
事故の舞台となった大王製紙可児工場は、同社グループにおける国内屈指の生産拠点だ。可児市内でも最大規模の工業施設であり、家庭でお馴染みの「エリエール」ブランドのティシューやトイレットペーパーといった衛生用紙、さらには産業用の板紙など、多岐にわたる製品を365日体制で供給し続けている。
2021年には最新のティシュー加工機が稼働を開始し、現在は第5次中期事業計画に基づき、需要が拡大している長尺トイレットペーパーの増産に向けた設備増強を推進中だ。さらに、2026年2月には次世代のエネルギー源として期待される「バイオマスガス化設備」の運転を開始したばかりであった。
今回の事故に関連するとみられるガス設備は、こうしたエネルギー転換や効率化を追求する工場運営の一部であり、高度な安全管理が求められる領域だった。
地域共生と環境対策、揺らぐ信頼の回復へ
大王製紙は可児市において、単なる一企業以上の存在感を示してきた。2026年2月には、経済的な理由で生理用品の購入が困難な市民を支援する「生理用品支援に関する協定」を市と締結。地域住民の生活課題に踏み込んだ支援を行うことで、SDGsへの積極的な姿勢を打ち出していた。
また、環境面でも2023年に稼働した「自家消費型メガソーラー発電設備」によって、年間700トンのCO2削減を見込むなど、脱炭素社会のモデルとしての地位を築きつつあった。さらに、地元ハローワークや大手求人サイトでも多くの正社員募集を行うなど、可児市の雇用基盤を支える屋台骨としての期待も大きい。
しかし、生産拡大と環境対策を加速させる一方で、今回のような重大な労働災害が発生したことは、企業の安全管理体制に大きな影を落とす。
問われる安全管理の再構築
地元関係者からは、「地域への貢献を評価していただけに、今回の事故は非常に残念だ。安全が確保されてこその地域共生ではないか」との厳しい声も聞かれる。
大王製紙可児工場は、生産ラインの高度化と環境負荷低減を両立させる「次世代型工場」への転換期にある。しかし、それがいかに先進的な設備であっても、働く人の安全が損なわれてはならない。今回の事故原因が解明されるまで、一部設備の稼働制限や安全点検の徹底が求められることになるだろう。
現在、意識不明となっている2名の作業員の回復が待たれるとともに、大王製紙には、事故の全容解明と再発防止に向けた透明性のある説明責任が強く求められている。可児市を代表する企業として、信頼回復に向けた険しい道のりが始まる。
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