長渕剛ツアー巨額未払い問題の波紋:ダイヤモンドグループが破産決定
ニュース要約: シンガーソングライター長渕剛氏の個人事務所が、ツアー運営を委託していたダイヤモンドグループに対し、約2億6千万円の巨額未払い金を巡り第三者破産を申し立て、東京地裁が破産開始を決定した。負債総額は4億円超。未払い金にはファンクラブ会費も含まれ、長渕氏側は刑事告訴も行っている。この異例の事態は、エンタメ業界における資金管理と信頼関係のあり方に警鐘を鳴らしている。
【独自】長渕剛氏との巨額未払い巡り、ダイヤモンドグループが破産決定:エンタメ業界に波紋広がる
2025年12月17日 東京
シンガーソングライターの長渕剛氏(69)の個人事務所「オフィスレン」が、同氏の全国ツアー運営やファンクラブ業務を委託していたダイヤモンドグループ株式会社(旧ダイヤモンドブログ、東京都、小田隆雄代表)に対し、巨額の未払い金を巡る第三者破産を申し立てた問題で、東京地方裁判所が本年10月頃、同社に対して破産開始を決定していたことが分かった。負債総額は4億円を超えるとみられている。
長渕氏側が主張する未払い額は約2億6千万円に上り、この内訳には、2024年に行われたアリーナツアーの分配金や、ファンから集められたファンクラブ会費が含まれる。この異例の破産申立とそれに続く決定は、アーティストとプロモーター間の信頼関係の崩壊を示す象徴的な事例として、エンターテインメント業界全体に大きな警鐘を鳴らしている。
提携から破綻へ:2.6億円の未払い
ダイヤモンドグループは2010年に設立され、イベント企画やプロモーションを手掛けてきた。長渕氏側との提携は2023年5月に本格化し、主要な業務として「TSUYOSHI NAGABUCHI ARENA TOUR 2024 “BLOOD”」の企画運営、グッズ制作、そして2024年4月からはオフィシャルファンクラブ「長渕剛クラブ」の運営を担っていた。
長渕氏側が新たなビジネスパートナーを探す中で信頼を寄せたダイヤモンドグループであったが、ツアー終了後の収益分配が滞り、特にファンクラブ会費の集金・保管を巡って深刻なトラブルが発生した。関係者によると、同社は公正証書で支払義務を認めていたにもかかわらず履行せず、ツアー関連の分配金約2億円に加え、ファンから預かった会費約2500万円を含む約2億6千万円が未払い状態となった。
この事態に対し、長渕氏本人は2025年8月、自身のSNSなどで「人が必死で稼いだ金を違う目的に流したり、ファンを裏切る行為は許せない」「チケット売り上げを懐に入れ無断使用」と、強い言葉で同社を非難。ファンに対する責任感から、異例の第三者破産申立に踏み切った。同時に、オフィスレンは同社代表を業務上横領罪で刑事告訴しており、民事・刑事の両面で責任追及が進められている。
業界の信用失墜とアーティストの対応
東京商工リサーチなどの報道によれば、ダイヤモンドグループは長渕氏側以外にも複数の取引先に対して債務不履行を起こしており、資金繰りの悪化が指摘されていた。エンタメ業界において、アーティストの肖像権やファンから預かった金銭を扱う企業が、その信頼を失墜させた影響は計り知れない。
長渕氏側は、トラブル発覚後、迅速に関係を断絶。ファンクラブ運営は2025年6月1日をもって株式会社コウズへ移管され、会員の権益保護に努めている。また、長渕氏は創作活動を止めることなく、新たな業務パートナーと連携し、12月24日にはクリスマス配信ライブの開催を告知するなど、精力的な活動を継続している。
今回の騒動は、一時の提携関係から、最終的に法的紛争、そして破産という最悪の結末を迎えた。特に、アーティストの活動資金や、ファンとの絆の基盤である会費が流用された疑いがある点について、業界は「公共性の高い資金の管理体制」のあり方を改めて問われている。
現在、ダイヤモンドグループの破産手続きは東京地裁で進行中であり、債権者への弁済や資産の調査が進められている。長渕剛氏を巡るこの一連のトラブルは、エンターテインメントビジネスにおけるパートナー選定の重要性と、透明性の確保が不可欠であることを改めて浮き彫りにした。長渕氏側からの刑事告訴の行方を含め、今後の法的手続きの動向が注目される。