名古屋グランパス激震のオフ:J1 17位、ユンカーら主力退団でクラブ哲学再構築へ
ニュース要約: J1リーグを17位で終えた名古屋グランパスは、激動のストーブリーグに突入。エースFWユンカー選手をはじめとする主力の大量退団に加え、強化トップも退任し、クラブ史上稀に見る危機を迎えている。攻守のバランス悪化による低迷から脱却するため、2026年シーズンに向けて若手育成を軸とした補強と組織改革に着手。クラブ哲学の根幹からの再構築が急務となっている。
激震のストーブリーグ:名古屋グランパス、J1 17位の屈辱と主力の大量退団—2026年シーズン、クラブ哲学の再構築へ
【2025年12月6日 共同通信】
2025年シーズンのJ1リーグを17位という極めて不本意な形で終えた名古屋グランパスは、現在、クラブ史上稀に見る激動のストーブリーグを迎えている。降格圏ギリギリで辛くもJ1残留を果たしたグランパスだが、その裏側では、エースFWキャスパー・ユンカー選手をはじめとする主力選手や、クラブの強化トップが相次いで退団。タイトル争いから大きく後退したチームは、現在、クラブの根幹からの再構築を迫られる重大な岐路に立たされている。
J1 17位の重みと低迷の構造的要因
2025年の名古屋グランパスの最終順位は、全20チーム中17位。獲得ポイントは40ポイント台に留まり、2023年の6位、2024年の11位から大幅に順位を落とす結果となった。特にシーズンを通して勝ち点の伸び悩みが目立ち、過去数年で最も厳しい戦いを強いられた。
この低迷の背景には、複数の構造的な要因が指摘されている。最も深刻だったのは、チームの生命線であった「攻守のバランスの悪化」だ。従来の堅守が崩壊し、失点が増加した一方で、攻撃面では決定力不足が深刻化。重要な局面での敗戦や引き分けが相次ぎ、シーズンを通じた安定性を欠いた。
専門家は、戦術の浸透不足や選手間の連携の未完成度が、パフォーマンスのムラを生んだ主因だと分析する。さらに、主力選手の怪我による戦力ダウンが発生した際、控え選手の層の薄さが露呈し、それを補うことができなかった点も、順位低下に直結した。苦しい状況下でのメンタル的な粘り強さの欠如も、勝ち点積み上げを阻んだ要因として挙げられている。
エース・ユンカー退団の衝撃と強化部門の刷新
シーズン終了と同時に、名古屋グランパスを揺るがす大きな動きが表面化した。攻撃の核であったFWキャスパー・ユンカー選手が契約満了により今季限りで退団することが決定。2023年からチームに貢献してきたエースの離脱は、2026年シーズンの攻撃陣の編成に甚大な影響を及ぼす。ユンカー選手はクラブとファンへの感謝をコメントしているが、彼の穴を埋めるのは容易ではない。
また、GK杉本大地選手も契約満了でチームを去る。さらに、クラブ運営の根幹に関わる人事として、古矢武士強化部長も2025シーズンをもって退任が決定。これは単なる選手の入れ替えに留まらず、クラブの強化方針そのものが刷新される可能性を示唆しており、グランパスのストーブリーグの激しさを象徴している。
2026年新体制の構築と若手育成戦略
危機感を募らせる名古屋グランパスは、2026年シーズンに向けて急ピッチでチーム再編を進めている。補強戦略は、即戦力の獲得と並行し「若手育成重視」を掲げる。実際、前橋育英高校からDF久保遥夢選手を新加入させ、ユースからはMF萩裕陽選手をトップ昇格させるなど、若年層の底上げに注力する姿勢が明確だ。
ユンカー選手の退団により空いた外国人枠については、現在、具体的な新外国人の獲得情報は出ていないものの、クラブは守備陣の安定化を最優先課題と捉えており、この枠をどのように活用するかが来季の命運を分ける重要な焦点となる。
さらに注目されるのは、クラブのトップ人事の刷新である。服部GM誕生の可能性や、育成担当の中村直志氏の残留が鍵を握るほか、スキッベ監督や城福浩氏ら現場トップの去就にも関心が集まっている。2026年シーズンは、経営、強化、現場のトップが刷新される可能性が高く、クラブの成長戦略や育成方針に大きな変化が予想される。
低迷を経験した名古屋グランパスは、この危機を成長への転機と捉え、クラブ全体の哲学を再構築する段階にある。タイトル争いに再び絡む強豪グランパスへと変貌を遂げるため、このオフシーズンにおける戦力整備と組織改革の動向が、今後のJリーグの勢力図を左右するだろう。