高校生扶養控除が激変!2025年「123万円の壁」と2026年控除額縮小の行方
ニュース要約: 子育て世帯の税負担に直結する高校生扶養控除制度が変革期を迎えている。2025年分からは、アルバイト収入の上限が「123万円の壁」に緩和され、より多く稼いでも控除が維持される。一方で、2026年以降は児童手当拡充とのバランスで控除額が所得税・住民税合わせて最大21万円縮小される見通しだ。納税者である保護者は、複雑化する制度改正への対応と家計計画の見直しが急務となる。
【詳報】高校生扶養控除、制度大変革の波紋 2025年「123万円の壁」緩和と2026年控除額縮小の行方
2025年12月5日 記者:経済部 税制取材班
子育て世帯の家計に直結する扶養控除制度が、ここ数年で大きな変革期を迎えている。特に高校生を対象とした控除については、アルバイト収入の上限が緩和される一方で、控除額自体が大幅に縮小される見通しとなり、納税者である保護者層の間で関心が高まっている。
2025年の年末調整を目前に控え、まず注目すべきは、高校生 扶養控除の適用を受けるための収入要件の緩和だ。従来の「103万円の壁」が撤廃され、2025年分の所得からは「123万円の壁」へと引き上げられた。この改正は、物価高騰や人手不足を背景に、若年層の労働意欲を促進しつつ、親の税負担軽減も維持するための措置として評価されている。
123万円の壁:2025年年末調整の焦点
現行制度において、16歳から18歳までの高校生は「一般扶養親族」として扱われ、親の所得から所得税で38万円、住民税で33万円が控除される。この扶養控除を適用するには、扶養される高校生自身の年間合計所得金額が48万円以下(給与所得控除65万円と基礎控除58万円を合計した123万円以下)であることが条件だ。
この「123万円」という新たな収入上限は、高校生がアルバイトでより多く稼いでも親の扶養控除が維持されることを意味する。年末調整の際には、勤務先に提出する「扶養控除等申告書」に、高校生の氏名、生年月日、そして年間の給与収入見込み額を正確に記載する必要がある。特に、年間のアルバイト収入が123万円を超過した場合、親の控除が外れるだけでなく、高校生自身にも所得税や住民税の納税義務が発生するため、家計全体でのシミュレーションが不可欠となる。
なお、19歳から22歳の大学生を対象とした「特定扶養控除」(控除額63万円)についても、収入要件が123万円に緩和されており、さらに150万円以下まで段階的な控除が受けられる特別控除制度も新設されるなど、若年層の所得基準は拡大傾向にある。
2026年以降、控除額は最大21万円の縮小へ
一方で、子育て支援制度全体の抜本的な見直しに伴い、高校生 扶養控除の控除額自体が大幅に縮小される見通しが強まっている。これは、2024年10月から児童手当の所得制限が撤廃され、支給対象が高校生年代まで延長されるなど、児童手当制度が大幅に拡充されたこととのバランス調整が目的だ。
現在、所得税で38万円、住民税で33万円が適用されている高校生の扶養控除額は、2026年分の所得税、2027年度分の住民税から、以下のように引き下げられる方向で議論が進んでいる。
| 項目 | 現行控除額 | 2026年以降の改正案 | 縮小額 |
|---|---|---|---|
| 所得税 | 38万円 | 25万円 | 13万円 |
| 住民税 | 33万円 | 12万円 | 21万円 |
この改正が実現した場合、親の税負担は所得税と住民税を合わせて最大で年間21万円分(控除額ベース)増加することになる。政府は、児童手当の拡充により、特に低・中所得層では税負担増を上回る恩恵が得られるとしているが、高所得層においては、児童手当の支給額が少ない、あるいは所得制限により手当対象外となるケースもあり、実質的な増税となる可能性が高い。
制度の複雑化と納税者への留意事項
扶養控除制度の見直しは、子育て支援の形を「税制優遇」から「現金給付(児童手当)」へとシフトさせる流れの一環であり、高所得者層への優遇是正という側面も持つ。
納税者、特に高校生を持つ保護者は、年末調整の際にはまず2025年の「123万円の壁」を意識し、翌年以降は控除額の縮小を見据えた家計計画を立てる必要がある。
今回の制度変更は、高校生のアルバイト収入が増加の傾向にある中で、親の税負担と子の収入のバランスをどう取るかという新たな課題を突きつけている。家計によっては、子どもの収入が123万円を超えないよう調整することが、依然として最も税負担を抑える賢明な選択肢となるだろう。
今後の税制改正論議の動向を注視しつつ、専門家や税理士のアドバイスを受けながら、最新の制度に合わせた適切な申告を行うことが求められる。国会での議論を経て、2026年度税制改正の詳細が固まり次第、納税者への周知徹底が急務となる。