【U-17 W杯】日本、初のベスト4夢散 決定力に泣きオーストリアに0-1惜敗
ニュース要約: U-17W杯準々決勝で、日本代表はオーストリアに0-1で惜敗し、初のベスト4進出を逃した。高い技術で優位に進めるも、後半早々の失点が響き、最後まで相手の堅守を崩せなかった。アジア勢唯一のベスト8進出は評価されるが、決定力不足という世界との差が浮き彫りとなった。
【U-17 W杯・準々決勝詳報】「あと一歩」の壁、日本、オーストリアに惜敗 0-1で初のベスト4ならず
【ドーハ共同】 2025年11月21日、カタールのドーハで開催されているU-17サッカーワールドカップは、準々決勝を迎え、U-17 サッカー日本代表がU-17 サッカーオーストリア代表と激突した。日本は持ち前の高い技術と組織力で優位に試合を進めたものの、後半に喫した痛恨の1失点を返すことができず、0対1で惜敗。2011年大会以来となるベスト8進出を果たしたものの、初のベスト4進出の夢は、欧州の堅牢な壁の前に阻まれる結果となった。
拮抗した展開、決定力に泣いた前半
廣山望監督率いるU-17日本代表は、ラウンド16で北朝鮮をPK戦の末に破った勢いを持ち込み、この準々決勝に臨んだ。中2日の厳しい日程の中、累積警告から復帰したMF姫野誠(千葉)を含む5人のスタメン変更を実施。フレッシュな布陣で欧州の強豪オーストリアに挑んだ。
試合は序盤から激しい中盤の攻防となった。オーストリアはイングランドを4-0で破るなど、今大会屈指の堅守速攻を武器としており、日本はボール支配率で上回るも、相手の徹底した守備ブロックを崩し切れない時間が続いた。
日本は前半、積極的にシュートを放ち、チャンスメイクの面ではオーストリアを上回った。しかし、最後のパスの精度や、ゴール前での落ち着きを欠き、決定機をゴールに結びつけることができない。前半30分には、オーストリアFWニコラス・ジョゼポビッチにGKと1対1の決定機を作られるも、守護神GK村松秀司とDF陣の連携で辛うじてこれを阻止。両チーム無得点のまま、0-0で前半を折り返した。
後半早々の失点、追撃及ばず
勝敗を分けたのは、後半開始直後のわずかな隙だった。後半4分、オーストリアはペナルティエリア手前右からMFヨハネス・モーザーがミドルシュートを放つ。この一撃が日本のゴール左隅を正確に捉え、オーストリアが待望の先制点を奪った。
U-17 サッカーオーストリア代表 対 U-17 サッカー日本代表 試合経過において、この失点が日本に重くのしかかった。リードを許した日本は、廣山監督が積極的な交代策を講じ、攻撃のギアを上げた。特にMF姫野は中盤でボールを回収し、攻撃の起点となるなど奮闘を見せたが、オーストリアの組織的な守備は最後まで崩れなかった。
日本は試合終盤にかけて猛攻を仕掛け、シュート数ではオーストリアを圧倒したが、決定的な場面でGKに阻まれたり、シュートが枠を外れたりするなど、最後までゴールネットを揺らすことはできなかった。結果、日本対オーストリアのスコアは0対1のままホイッスルを迎え、日本の若きサムライたちの挑戦は準々決勝で幕を閉じた。
決定力不足と世界との差、残された課題
この敗戦は、日本サッカーの次世代が世界トップレベルと伍していく上で、決定的な課題を浮き彫りにしたと言える。
日本はグループステージで2勝1分、決勝トーナメントではPK戦を制し、アジア勢で唯一ベスト8に進出。その道のりは高く評価されるべきだ。しかし、準々決勝という大舞台で求められるのは、チャンスを確実に仕留める「決定力」と、勝負どころでの「対応力」である。
オーストリアは、日本の攻撃を耐え忍び、数少ないチャンスを確実にゴールに結びつけるという、欧州サッカー特有の効率的な戦い方を徹底した。日本が多くのシュートを放ちながらも無得点に終わった事実は、単なる技術の問題ではなく、プレッシャーのかかる場面での判断力や、フィニッシュの精度というメンタル面、そして戦術的な成熟度が、まだ世界トップクラスに一歩及ばないことを示唆している。
廣山監督は試合後、「選手たちは全力を尽くしたが、わずかな差が勝敗を分けた。この経験を必ず将来に繋げたい」と語ったという。
将来への投資、次世代の成長に期待
U-17 サッカー日本代表は、惜しくもベスト4進出を逃したものの、今大会で示したポテンシャルは計り知れない。GK村松の安定感、姫野の中盤での存在感、そして攻撃陣の積極性は、今後のU-20、さらにはA代表へと繋がる大きな財産となる。
グループステージ突破からアジア勢唯一のベスト8進出という結果は、日本サッカーの育成システムが着実に成果を上げていることの証明でもある。しかし、真の世界トップを目指すならば、今回の日本対オーストリア戦で露呈した決定力不足の克服は避けて通れない課題だ。
若き選手たちがこの悔しさを糧とし、次回2027年大会、そしてその先の未来において、日本サッカーを牽引していく存在へと成長することを、国民は強く期待している。今回の経験は、彼らのキャリアにとって最も重要な「世界基準」を知る機会となったはずだ。