小田急、新宿再開発2029年竣工へ加速:年末年始は「終夜運転なし」も臨時ロマンスカー
ニュース要約: 小田急電鉄は、2029年竣工を目指す新宿駅西口再開発に本格的に移行し、駅周辺の回遊性向上を図る。年末年始ダイヤでは終夜運転を廃止する一方、臨時特急ロマンスカーを運行し利便性を確保。また、「デジタル箱根フリーパス」などで箱根・江の島への誘客を強化し、都市刷新と観光の両軸で成長戦略を描く。
小田急、冬の需要を喚起:新宿再開発2029年竣工へ加速、年末年始ダイヤは「終夜運転なし」も臨時ロマンスカーで利便性確保
2025年11月24日
小田急電鉄は、年末年始の輸送体制を確定し、来る冬の観光需要に対応するための施策を打ち出している。一方で、グループの顔となる新宿駅西口再開発プロジェクトは予定通り進捗しており、2029年の竣工に向け工事が本格化している。都市機能の刷新と沿線観光の強化、これら二つの柱で、同社はポストコロナ時代の新たな成長戦略を描いている。
新宿「未来の玄関口」へ:再開発が描く回遊性の向上
小田急グループが主導する新宿駅西口再開発は、東京の「顔」の刷新を担う一大プロジェクトだ。2022年10月に旧小田急百貨店本館の解体が始まり、2024年3月には新築工事へと本格的に移行した。この計画の核となるのは、2029年の竣工を目指す超高層複合ビル(47〜48階建て)であり、商業施設とオフィス機能が一体となる予定だ。
この再開発の最大の眼目は、駅周辺の回遊性の飛躍的な向上にある。駅の新しい改札や交通広場の整備に加え、東西を結ぶ自由通路(デッキ)の整備も計画されており、これは2035年度頃の完成を見込んでいる。
既存の小田急百貨店は隣接ビルで営業を継続しつつ、再開発エリア全体で「ワクワク感」を追求した新たな商業体験の創出を目指す。新宿西口エリアは、長らく課題とされてきた東西間の移動や動線の複雑さを解消し、名実ともに首都圏の主要な「未来の玄関口」へと変貌を遂げようとしている。
年末年始ダイヤ、効率化と利便性の両立
鉄道運行面では、今年の年末年始の特別ダイヤが確定した。小田急線全線では、2024年12月30日から2025年1月3日までの期間、土休日ダイヤで運行される。
注目すべきは、大晦日から元旦にかけての終夜運転は実施されませんという点だ。近年、鉄道各社で終夜運転の見直しが進む中、小田急も例外ではない。しかし、初詣や初日の出といった元旦早朝の需要に対応するため、臨時列車(特急ロマンスカーを含む)が運行される。特に、初日の出に合わせて運転されるロマンスカーは全席指定制であり、乗車券とは別に特急券の事前購入が必須となる。
また、年末の帰省や旅行需要に応じ、12月中旬以降の特定日にも臨時特急ロマンスカーが複数日運行される予定であり、箱根湯本駅からの帰路に便利な臨時特急も設定されるなど、運行効率を保ちつつ、利便性を最大限に確保する戦略が垣間見える。
「フリーパス」で誘客強化:箱根・江の島への戦略
小田急電鉄は、沿線観光地の活性化にも積極的だ。冬の閑散期を控え、特に箱根や江の島といった人気エリアへの誘客を促すため、周遊パスやキャンペーンを充実させている。
その一つが、2025年1月27日から2月28日まで販売される「デジタル箱根フリーパス」だ。このパスは、往復の特急ロマンスカー特急料金が実質無料となるキャンペーンを含んでおり、箱根の冬の観光を強力に後押しする。箱根登山電車、ケーブルカー、海賊船など、箱根エリアの主要な交通機関が乗り放題となるため、手軽で快適な旅行体験を提供する。
また、訪日外国人旅行者向けには「箱根鎌倉パス」を引き続き提供。小田急線全線に加え、江の島・鎌倉エリアの交通機関も乗り放題となるこのパスは、日本の二大観光地を効率よく周遊したいインバウンド層にとって魅力的な選択肢となっている。
さらに、江の島エリアでは、冬の風物詩であるイルミネーションイベント「湘南の宝石」と連携し、臨時特急「ニューイヤーエクスプレス号」や特別なロマンスカー「湘南の宝石号」を運行。沿線でのイベントと鉄道サービスを密接に結びつけることで、冬季の観光需要を掘り起こしている。
小田急グループは、鉄道事業の効率化を図りながら、新宿再開発という未来への投資を加速させ、同時に沿線地域への誘客を強化することで、持続的な成長を目指す。(了)