F1ラスベガスGP FP1:低温と格闘!ルクレール首位、角田裕毅が3番手躍進の衝撃
ニュース要約: F1ラスベガスGP FP1は、路面温度20℃以下の極寒コンディションで開催され、ルクレールが首位。角田裕毅が王者フェルスタッペンを上回る3番手を確保した。一方で、昨年問題となったマンホールの緩みが再び発生し、セッションが赤旗中断。低温でのタイヤ戦略に加え、安全対策の徹底が課題として浮上した。
F1ラスベガスGP FP1、低温と格闘の初日:ルクレール首位、角田裕毅が3番手躍進
【ラスベガス発:2025年11月21日 共同通信】
F1グランプリが華々しいネオンの下で開催されるラスベガスGPは、21日未明(現地時間20日夜)、2025年シーズンの初日フリー走行(FP1)を迎えた。初日のセッションは、フェラーリのシャルル・ルクレール選手が1分34秒802のトップタイムを記録。しかし、路面温度が20℃を下回る極めて厳しいコンディションの中、タイヤのウォームアップとグリップの確保が最大の焦点となり、各チームは寒さとの戦いを強いられた。
特筆すべきは、レッドブル・RBPTの角田裕毅選手がチームメイトのマックス・フェルスタッペン選手を上回る3番手に食い込む好調ぶりを見せた点だ。
FP1分析:低温がもたらす波乱、角田が躍動
現地時間夕刻にスタートしたF1ラスベガスGP FP1は、気温14℃前後、路面温度18℃台という、年間を通じて最も冷え込む環境下で行われた。この低温はタイヤの作動温度域を大きく下回り、ドライバーたちは「グリップが不安定で滑りやすい」と無線で訴える場面が散見された。
そうした予測不可能な状況下で、最も適応力を見せたのがフェラーリ勢だった。ルクレール選手はソフトタイヤでのアタックで昨年のFP1トップタイムを上回る速さを示し、戦闘力の高さを証明。チーム全体として、低温下でのセットアップとタイヤ管理が成功した形だ。
そして、日本のファンが注目したのは、レッドブルの角田選手だ。彼はFP1で3番手という好位置を確保。特にセクター3(低速区間)では全体ベストタイムを叩き出すなど、ラスベガスのストリートコースへの適応力の高さを示した。王者フェルスタッペン選手が4番手に留まったことを鑑みると、角田選手のパフォーマンスはチーム内での評価を一層高めるものとなるだろう。
また、ウィリアムズのアレクサンダー・アルボン選手が2番手につけるなど、中団勢の意外な躍進も目立った。路面コンディションが整わない序盤戦では、マシンの特性やドライバーの繊細な操作がタイムに直結することが改めて浮き彫りとなった。
タイヤ戦略を揺るがす「寒冷地レース」の試練
ラスベガスGPが夜間開催される砂漠地帯のレースであることは、タイヤ戦略に深刻な影響を及ぼしている。路面温度が極端に低い場合、タイヤが適切に温まらず、十分なグリップが得られない。これにより、ドライバーはアウトラップでのタイヤ調整に細心の注意を払う必要があり、わずかなミスが「グレイニング」(タイヤ表面の摩耗)を引き起こし、週末全体のパフォーマンスを崩壊させるリスクを抱える。
FP1では、各チームともこのウォームアップサイクルを習得することに苦戦し、ソフトタイヤの性能を最大限に引き出すタイミングが勝敗の鍵を握る様相を呈している。この低温の課題は、予選、そして決勝レースにおいて、戦略の多様性を生むと同時に、予期せぬアクシデントの要因にもなり得る。
安全対策への懸念:再び浮上した「マンホール問題」
2023年の初開催時、コース上のマンホールの蓋が外れるという重大なインシデントが発生し、セッションが中止に追い込まれたことは記憶に新しい。この教訓を受け、2024年に向けてはマンホール周辺の舗装・補強が徹底され、FIAによる検査体制も強化されたはずであった。
しかし、2025年F1ラスベガスGPのフリー走行2回目(FP2)において、再びマンホールの蓋の緩みが指摘され、セッションが赤旗中断する事態が発生した。公式には「トラックメンテナンス」と発表されたものの、この再発は、公道コース特有の安全対策の徹底ぶりに対して、再び疑問符を投げかける結果となった。F1が世界最高峰のモータースポーツである以上、興行の華やかさだけでなく、ドライバーとマシンの安全確保が最優先されるべきであり、主催者側には厳格な対応が求められる。
華やかな舞台で高まる期待
技術的な課題や安全性の懸念が残る一方で、ラスベガスGPのエンターテインメント性、観客の熱狂は初日から際立っていた。煌びやかなネオンとF1マシンのスピードが織りなす光景は「豪華すぎる舞台裏」としてSNSで大きな話題を呼んでいる。
FP1の結果から見ても、フェラーリ、レッドブル、そして予想外の速さを見せたウィリアムズやメルセデス、マクラーレンが僅差でひしめき合っており、この週末の予選、決勝は激しい戦いとなることが確実視される。特に、低温と不安定なグリップへの適応力、そしてマンホール問題の再発を防ぐための迅速なトラックメンテナンスが、この週末の行方を左右する重要な要素となるだろう。