年末年始は争奪戦!近鉄特急「ひのとり」「しまかぜ」が牽引する観光需要の波
ニュース要約: 近鉄特急「ひのとり」「しまかぜ」が、奈良・伊勢志摩方面への観光需要を牽引し、移動そのものが目的となる上質な旅を提供。年末年始は伊勢方面への異例の終夜運転が決定し、指定席、特にプレミアム車両の予約は即日完売が続出する熾烈な争奪戦となっています。
「近鉄特急」が牽引する観光需要の波 豪華特急「ひのとり」「しまかぜ」で奈良・伊勢志摩へ 年末年始は予約争奪戦に
2025年11月21日
近畿日本鉄道(近鉄)が運行する近鉄特急が、この秋から年末年始にかけて、関西・中部圏の観光需要回復を力強く牽引している。特に、上質な移動空間を提供する観光特急「ひのとり」や「しまかぜ」は、季節の絶景や歴史的景観を求める旅行者にとって、移動そのものが旅の目的となるほどの魅力を放ち、指定席の予約は熾烈な競争となっている。
近鉄グループは、2025年大阪・関西万博やインバウンド旅行者の増加を大きな追い風と捉え、「沿線の価値深化・活性化」を重点戦略に掲げる。その中核を担うのが、快適性と速達性を両立させた特急網だ。
豪華特急で巡る紅葉絶景 奈良・伊勢志摩の旅
例年11月中旬から12月上旬が見頃となる奈良の紅葉シーズンは、近鉄沿線の主要スポットへのアクセスの良さが際立つ。大阪難波から近鉄奈良駅までは特急でわずか35分。奈良公園周辺はもちろん、吉野山(近鉄吉野駅)や長谷寺(近鉄大阪線長谷寺駅)といった名所へのツアーが多数展開されている。
特に吉野山では、10月下旬から11月30日まで紅葉のライトアップが実施され、昼夜を通じて幻想的な景観を楽しむことが可能だ。これらの観光地は、近鉄特急の利便性と相まって、日帰りから宿泊を伴う周遊旅行まで、多様な旅のスタイルに対応している。
一方、伊勢志摩方面へは、観光特急「しまかぜ」や「ひのとり」を使ったゆったりとしたツアーが人気だ。伊勢神宮の両宮参りや、複合商業施設VISONへの立ち寄り、賢島での宿泊など、非日常的な体験を求める層に支持されている。全席バックシェルを採用した広々としたレギュラー車両や、3列シートのプレミアム車両を備える**特急「ひのとり」**は、長距離移動の快適性を飛躍的に高めている。
年末年始は異例の「終夜運転」へ 予約争奪戦が激化
観光需要の高まりは年末年始にピークを迎える。近鉄は2025年大みそかから元旦にかけて、**特急「ひのとり」**を伊勢方面(五十鈴川行き)へ終夜運転させる異例の臨時ダイヤを発表した。通常、名古屋〜大阪難波間を運行する「ひのとり」が伊勢方面へ充当されるのは珍しく、初詣需要に対応する形だ。
この臨時特急の指定席予約は、運行日の1か月前から開始されるが、帰省や初詣を目的とする需要が集中するため、即日満席となるケースが続出している。特に、豪華なプレミアム車両の座席や、大阪市内からのアクセスが便利な「大阪上本町行き」の臨時列車は、予約開始直後から熾烈な争奪戦となっている。
近鉄特急の年末年始の予約争奪戦は、コロナ禍からの脱却と、質の高い移動体験への需要の高まりを如実に示している。旅行会社もこの波に乗り、早割やひとり旅向けのパッケージツアーを拡充し、対応を急いでいる。
観光インフラとしての戦略的役割
近鉄グループは、単なる移動手段に留まらない、観光インフラとしての近鉄特急の戦略的価値を高めている。2035年長期ビジョンに基づき、「乗ることが目的となる観光列車」の戦略的投入を継続。さらに、MaaS(Mobility as a Service)の推進により、鉄道と二次交通(バス、タクシーなど)との連携を強化し、沿線観光地へのシームレスな移動を実現している。
この戦略は、インバウンド需要の本格的な復活を見据えたものであり、世界遺産や国立公園といった沿線の豊かな観光資源の魅力を最大限に引き出す狙いがある。
近鉄が誇る特急ネットワークは、関西と中部を結び、歴史と自然が息づく地域を繋ぐ大動脈だ。この豪華な車両群と緻密な運行計画は、旅行者に快適な旅を提供するだけでなく、地域経済の活性化にも不可欠な役割を果たしている。今後も、観光需要の拡大と沿線の価値向上を目指す近鉄グループの動向が注目される。