ビットコイン8万6000ドル攻防の調整局面:円建て高止まり、2026年20万ドル超予測の根拠
ニュース要約: ビットコイン(BTC)は短期的な調整局面に入り、ドル建てで8万6000ドル台の攻防が続く。クジラによる大規模な利確売りが急落の背景にあるが、歴史的な円安により円建て価格は高止まり。JPモルガンなど大手機関投資家は、現物ETFの流入加速を根拠に、2026年には20万ドルを超える史上最高値を予測しており、市場は短期の売りと長期の上昇期待の狭間にある。
ビットコイン、調整局面で8万6000ドル台攻防:円建ては為替影響で高止まり、機関投資家は2026年に20万ドル超を予測
【東京・ニューヨーク共同】 2025年11月21日現在、暗号資産(仮想通貨)の代表格であるビットコイン(BTC)市場は、短期的な調整局面に突入している。米ドル建てのビットコイン 価格は一時8万6000ドル台(約1365万円)まで急落し、市場参加者の間で警戒感が広がっている。しかし、長期的な視点では、JPモルガンやシティグループなど大手金融機関が2026年に史上最高値を大幅に更新し、20万ドル(約3170万円)を超えるとの強気予測を維持しており、市場は短期的な売り圧力と長期的な上昇期待との「狭間」で揺れ動いている。
短期急落の背景:クジラ利確と現物主導の売り
2025年11月21日未明、ビットコイン ドル建て価格は、前日の高値から一時的に大きく下落し、重要なサポートラインである8万6000ドル周辺での攻防が続いている。
今回の急落の背景には、複合的な要因が指摘されている。一つは、米雇用統計の強さを受けた米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測の後退である。これにより、リスク資産全般に対する短期的な重しとなった。
より市場構造に影響を与えたのは、長期保有者(通称「クジラ」)による大規模な利確売りだ。2011年頃からbtcを保有していた初期の投資家が、約13億ドル相当のビットコインを売却したとの報告があり、これが短期的な現物主導の売り圧力を強めたと分析されている。
従来の急落がレバレッジ清算(強制ロスカット)によるものが主であったのに対し、今回は取引所へのビットコイン流入が増加しており、実需に基づくスポット売りが優勢となっている点が特徴的だ。テクニカル分析では、ビットコインチャートが示す短期的な切り上げチャネルからの逸脱を防げるか、8万6000~9万ドル周辺の買い支えが今後の方向性を決定づける鍵となる。
円建てとドル建ての乖離:為替ヘッジとしての側面
日本国内の投資家にとって注目すべきは、円建て価格とドル建て価格の乖離である。ドル建てで急落しているにもかかわらず、円建てのビットコイン 価格(約1365万円)は、歴史的な円安環境に支えられ、下落幅が限定的、あるいは一時的に高値を維持する傾向が見られる。
これは、ビットコインが「デジタル・ゴールド」として、法定通貨の価値劣化(インフレ)や為替リスクに対するヘッジ資産としての役割を強めていることを示唆する。米ドル高・円安環境下において、円建て資産の価値下落を補完する目的で、btcのようなドル建て資産への関心が高まっている。ただし、ビットコイン自体の価格変動リスクも大きく、短期的なヘッジ効果については慎重な見方が必要だ。
2026年に向けた強気予測:機関投資家の資金流入が加速
短期的な調整とは対照的に、長期的な上昇トレンドへの期待は極めて高い。主要な金融機関やアナリストは、2026年のビットコイン 価格について、軒並み強気な予測を示している。
- JPモルガン:生産コストを根拠に、2026年に17万ドルへ上昇。
- シティグループ:継続的なETF流入と利下げ観測を背景に、2026年10月までに18万1,000ドルと予測。
- 著名アナリストの見解:75万ドルから100万ドルに達する可能性も示唆されている。
この強気予測の最大の根拠は、機関投資家の本格的な市場参入である。米国で承認されたビットコイン現物ETFへの資金流入は加速しており、2025年10月時点で純流入額は過去最高を更新。さらに、欧州(MiCA)や日本(金融庁ガイドライン強化)でも規制環境が整備され、ヘッジファンドや年金基金などの伝統的な金融プレイヤーが、btcをポートフォリオに組み入れる動きが2026年にかけてさらに拡大すると見込まれている。
現在のビットコイン市場は、短期的な利益確定売りを吸収しつつ、機関投資家による長期的な買い基盤が強化される過渡期にある。8万6000ドル周辺の攻防を乗り越え、再び9万ドル台後半を回復できるかが、年末に向けた市場の試金石となるだろう。
(了)