『ズートピア2』歴代興収記録更新か?「多様性の限界」に切り込むテーマの深さが世界を熱狂させる
ニュース要約: ディズニーの『ズートピア2』が世界興収でアニメーション映画の歴代記録を更新する勢いだ。本作は単なる多様性に留まらず、権力の腐敗や社会的分断といった複雑な構造的問題に深く踏み込み、幅広い層から支持を集めている。日本でも興行収入80億円が予測され、年末の映画市場を牽引する。
2025年11月28日 朝刊
『ズートピア2』、世界興収で歴代記録更新か 社会の「多様性の限界」に鋭く切り込む
【東京】 ディズニー・アニメーション・スタジオが贈る待望の続編『ズートピア2』が、2025年11月26日の世界公開直後から驚異的なスタートを切っている。前作『ズートピア』が打ち立てたアニメーション映画の評価と興行成績の記録を塗り替える勢いを見せており、特にアメリカの感謝祭連休期間だけで1億2500万ドル(約185億円)を稼ぐ予測が立つなど、アニメーション史上歴代No.1のオープニング世界興行収入を記録する可能性が指摘されている。
日本国内では12月5日の公開を控えるが、既に業界内では興行収入80億円到達の予測が出ており、前作が記録した76億円を上回る規模となる見込みだ。本作は、年末の映画市場において『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』と並び、市場を牽引する二大巨頭として期待されている。
興行の好調を支える「テーマの深化」
前作『ズートピア』は、「多様性」「差別・偏見」「共生」といった現代社会の根幹に関わるテーマを寓話的に描き、アカデミー賞を受賞するなど、批評家からも高い評価を得た。続編である『ズートピア2』のプロデューサーは「1作目を超える」と明言しており、その言葉通り、単なるスケールアップに留まらない、社会的テーマの「深化」が初期評価を押し上げている。
物語は、ズートピアの誕生の裏に隠された驚くべき秘密を中心に展開し、主人公の警察官ジュディと詐欺師から警察官に転身したニックのバディが、街にいないはずのヘビ・ゲイリー(下野紘)を追う連続行方不明事件に挑む。
前作が理想都市の裏に潜む「個人の偏見」を描いたのに対し、今作は「多様性だけでは解決できない問題」——すなわち、権力の腐敗や社会的分断、経済格差など、より複雑な構造的問題に踏み込んでいる。この鋭い社会性こそが、本作が単なるファミリー向けアニメ映画の枠を超え、幅広い層からの支持を集める核心となっている。
新キャラクターがもたらすバディ関係への緊張感
物語の緊張感を高めているのが、個性豊かな新キャラクターたちの存在だ。特に注目されるのは、ズートピア創設者一族出身の御曹司パウバート(山田涼介)と、ズートピアの"陰謀論"を語るビーバーの配信者ニブルズ・メープルスティック(江口のりこ)である。
柔和で社交的なパウバートは、捜査を通じてジュディと協力関係を築くが、その存在は前作で確固たる絆を築いたジュディとニックの関係性に新たな緊張感をもたらす。この三角関係的な要素は、バディの物語を単なる事件解決に終わらせず、「共生」と「信頼」を再定義する試練として機能する。
また、声優初挑戦となる江口のりこ氏がUS本社の厳選なるオーディションを勝ち抜いてニブルズ役を射止めたことも話題だ。ニブルズは風変りながらも機転の利くキャラクターとして描かれ、陰謀論という現代的なトピックを扱う上で重要な役割を果たす。豪華な日本版声優陣には、水樹奈々氏、内田雄馬氏、斉藤壮馬氏らも加わり、作品の魅力を一層引き立てている。
「日本ズートピア化計画」と文化現象
映画公開を前に、日本国内では「日本ズートピア化計画」と題した大規模なプロモーションが展開中だ。全国の劇場はズートピア一色に染まり、プレミアム体験を提供する「ズートピアシアター」も用意されるなど、観客の期待値は非常に高い。
さらに、映画の世界観を反映した文化的波及効果も顕著だ。ディズニーストアやキデイランドでは、新キャラクターを含むインスパイアコレクションが順次発売され、特にフリューが展開する「ミルキーボア」シリーズのぬいぐるみや雑貨は、冬のファッションアイテムとしてSNS上で大きな注目を集めている。
TwitterやInstagram、TikTokなどのSNSでは、グッズを使ったアレンジ写真や二次創作がブームとなっており、『ズートピア2』は単なる映画興行を超えた文化現象として、年末年始の日本社会に深く浸透しつつある。
『ズートピア2』が提示するテーマは、表面的な多様性の理想を乗り越え、より複雑な現実と向き合うことの重要性だ。世界的な大ヒットを受け、この作品が現代社会の議論にどのような影響を与えるのか、その動向が注視される。(経済・文化部)