山尾志桜里氏、中国水産物禁輸は「経済的威圧」 参院選で脱中国依存を争点化
ニュース要約: 2025年参院選に立候補予定の山尾志桜里氏が、中国による日本産水産物禁輸措置を「経済的威圧」と断じ、有権者に「脱中国依存」の重要性を訴えている。福島原発処理水放出を理由とする禁輸は水産業界に深刻な打撃を与え続けており、山尾氏は経済安全保障の観点から問題解決を主張する。
山尾志桜里氏、中国水産物禁輸を「経済的威圧」と批判 参院選へ脱中国依存訴え
2025年夏の参議院選挙に国民民主党から立候補を予定する元衆院議員の山尾志桜里氏が、中国による日本産水産物の輸入停止措置を「経済的威圧」と強く批判し、中国依存からの脱却を選挙の重要テーマに掲げている。福島第一原発処理水の海洋放出を理由に2023年8月から続く中国の禁輸措置は、日本の水産業界に深刻な打撃を与え続けており、山尾氏の主張は業界関係者から注目を集めている。
長期化する中国の禁輸措置
中国は2023年8月24日、福島第一原発の処理水海洋放出を理由に、日本産水産物の輸入を全面停止した。この措置は当初、福島県産など一部の県産品に限定されていたが、その後全国産の水産物に拡大された。2025年11月現在も輸入停止は継続しており、日本政府や国際原子力機関(IAEA)による安全性評価にもかかわらず、中国側は「食品安全上の懸念」を理由に輸入再開の見通しを示していない。
禁輸措置が実施される前、中国は日本の水産業界における最大の輸出先だった。特にホタテ漁は最大の顧客を突然失い、生産者や輸出業者が壊滅的なダメージを受けている。業界統計によると、2023年8月時点で中国向けに食品を輸出していた企業は700社以上に上り、食品関連企業1社あたりの中国向け輸出の割合は平均で50%を超えていた。
山尾氏が訴える「脱中国依存」
山尾志桜里氏は最近のメディア出演や記者会見で、中国の水産物輸入停止措置を「経済的威圧」と明確に位置づけ、中国が取引相手としてハイリスクであることを強調している。山尾氏は「日本が中国依存から脱却し、多様な貿易パートナーを確保する重要性」を繰り返し訴え、これを参院選における重要な政策課題の一つとして掲げている。
山尾氏は「怒りを込めた出馬ではない」と述べ、個人の信頼を問う選挙と位置づけつつも、中国の経済的威圧に対する日本の対応力強化を訴えることで、有権者の支持を集めようとしている。消費者問題や法務分野での豊富な経験を持つ山尾氏にとって、食品安全と国家安全保障が交差する中国水産物問題は、自身の専門性をアピールする格好の題材となっている。
停滞する日中貿易交渉
水産物輸入停止をめぐる日中間の貿易交渉は、2025年11月現在、停滞状態にある。中国側は輸入再開の条件として、日本側のさらなる情報公開や検査体制の強化を求めているが、日本側は既にIAEAの査察や第三者検査を実施しているとして、中国側の要求に応じる余地は限定的との立場を崩していない。
日本政府は中国側に科学的根拠に基づく透明な説明を求めるとともに、世界貿易機関(WTO)での協議を継続している。同時に、東南アジア、中東、欧州など他の輸出先国への販路拡大を加速させており、中国市場だけに依存しない貿易体制の構築を急いでいる。
政府は2023年8月31日、禁輸措置で国内業者に影響があった場合、東電が賠償に応じることを表明し、緊急支援事業を創設した。ホタテなどの殻むき機導入支援、人員確保対策、新規海外市場への販売支援、流通支援などを実施しているが、生産者からは「根本的な解決にはならない」との声も上がっている。
政治化する水産物問題
中国の措置は日本国内で「経済的威圧」との批判を招いており、山尾志桜里氏をはじめとする政治家や識者が、中国依存からの脱却を強調する動きが広がっている。2025年末から2026年初頭にかけて日中首脳会談や経済閣僚会議が予定されているが、水産物輸入停止の早期解決には至らない可能性が高いと見られている。
山尾氏の主張は、単なる貿易問題を超え、日本の経済安全保障政策全体を問う議論へと発展しつつある。2025年夏の参院選では、中国水産物問題が有権者にとって重要な判断材料の一つとなる可能性が高まっている。