ヴァンフォーレ甲府、補強禁止を逆手にJ1復帰へ ACL経験と若手育成が鍵
ニュース要約: J2甲府は2025年を13位で終え、得点力不足が課題に。FIFA補強禁止という逆境の中、クラブはACL経験を戦術と育成に深く組み込み、若手の成長をJ1復帰の絶対条件とする。地域共創を基盤に、守備の安定化と攻撃の多様化を図り、捲土重来を期す2026年シーズンに注目が集まる。
ヴァンフォーレ甲府、アジア経験を糧にJ1復帰へ 補強禁止の逆境下、若手育成と地域共創で突破口
【甲府】 J2リーグのヴァンフォーレ甲府は、2025年シーズンを13位(勝点43、11勝10分15敗)で終え、J1昇格争いから大きく遠ざかる結果となった。得点力不足と守備組織の不安定さが露呈した苦しいシーズンであったが、クラブは既に次なる戦い、すなわち2026年シーズンに向けた抜本的な強化方針を固めている。特に、国際サッカー連盟(FIFA)による新規選手獲得禁止処分という逆境の中、過去のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場で得た「アジアの知恵」を戦術と育成に深く組み込み、捲土重来を期す構えだ。(2025年11月23日現在)
低迷の背景:得点力不足と守備の綻び
2025年シーズンを振り返ると、ヴァンフォーレ甲府最大の課題は攻撃力の欠如に尽きる。リーグ戦36試合で37得点という結果は、上位クラブと比較して明らかに物足りず、スーパーストライカーの退団後、チーム全体での得点パターンを確立できなかった。ゴールランキングトップの鳥海芳樹選手(9得点)が孤軍奮闘する形となり、攻撃の多角化は喫緊の課題として残された。
一方、守備面でも44失点を喫し、安定感を欠いた。特定の試合では、第36節の徳島戦のように守備の連携ミスから大量失点(1-4で完敗)を喫するケースが目立った。来季に向けては、DF孫大河選手やMF鳥海選手ら主力選手の契約更新が発表され、チームの核は維持される見通しだが、最終ラインの要である土選手のレンタルバックの可能性など、守備陣の再構築は避けられない状況にある。
逆風を力に:ACL経験と若手育成の加速
ヴァンフォーレ甲府の来季に向けた強化方針は、FIFAによる新規選手獲得禁止処分(2025年冬~2026年冬)という極めて特殊な環境下で策定された。補強ができないため、現有戦力の底上げと「若手の台頭」がJ1昇格への絶対条件となる。
ここで鍵となるのが、クラブが過去に経験したACLの舞台である。アジアの強豪クラブとの対戦を通じて得たノウハウ、特に「速い展開への対応力」や「守備組織の徹底」が、現在の強化プランの基軸となっている。戦術面では、従来の「堅守速攻」を軸としつつ、アジアのトップレベルで用いられる「ハイプレス・ハイライン」を導入し、守備から攻撃への切り替え速度を向上させる狙いだ。
元ヴァンフォーレ甲府の堀井岳也氏も「アジアの舞台で得た経験は、守備組織の強化と攻撃の多様化に直結する」と分析するように、若手・中堅選手の育成プログラムもアジアの先進クラブ(特に韓国・中国)の事例を参考にし、トップチームとU-18の連携を強化。高齢化が指摘されるスカッドの刷新と、長期的な戦力強化を目指す。補強禁止という「逆境」を、現有戦力と若手の成長を促す「好機」と捉え直すクラブの強い意志が窺える。
クラブの土台:「CLUB VISION 2030」と地域共創
ヴァンフォーレ甲府が目指すのは、単なる競技成績の向上に留まらない。クラブ経営の柱として掲げる「CLUB VISION 2030」は、スポーツを起点とした地域社会との連携強化と価値共創を主題としている。
地元山梨県との連携は多岐にわたり、地域経済活性化協賛契約の締結や、山梨中央銀行の新店舗「withKOFU」とのコラボレーションを通じた地域振興への貢献を積極的に推進している。これは、地域密着型クラブとして「住んで良し・訪れて良し」の豊かな山梨づくりに寄与するという社会的使命を果たすものであり、地域住民やファンとの絆を深める重要な基盤となっている。自治体(中央市など)との緊密な連携や、環境教育、福祉活動への参加も、クラブの持続可能性を高める上で不可欠な要素だ。
捲土重来へ:試されるクラブの真価
2026年シーズンは、Jリーグが秋春制へ移行するという大きな変革期を迎える。ヴァンフォーレ甲府にとって、この変革期は、補強禁止という制約の中で、戦術の成熟度、若手育成の成果、そして強固な地域連携の真価が試される一年となる。
得点力不足の解消と守備組織の安定化という課題を、アジア経験と若手の力で乗り越え、地域とともに再びJ1昇格の歓喜を分かち合えるか。山梨の風をまとうクラブの挑戦に注目が集まる。