玉川徹氏が警鐘:国家戦略技術への集中投資、費用対効果と戦争リスクの深層
ニュース要約: 玉川徹氏は『モーニングショー』で、政府の国家戦略技術への集中投資に対し、費用対効果と安全保障上のリスクを厳しく追及している。特に、中国との関係悪化が日本経済を崩壊させる可能性について警鐘を鳴らし、世論の議論を巻き起こした。巨額の国費投入が真に国民の利益に資するのか、政府の説明責任が問われている。
玉川徹氏、国家戦略技術への「集中投資」に警鐘
『モーニングショー』で問う費用対効果と戦争リスク、深まる国内論争
(2025年11月25日 日本経済新聞/共同通信 総合面)
日本政府が経済安全保障上の要として「国家戦略技術」の重点支援を打ち出す中、テレビ朝日系『羽鳥慎一モーニングショー』のコメンテーターである玉川徹氏による一連の発言が、国内で激しい議論を巻き起こしている。玉川氏は、技術投資の費用対効果だけでなく、国家戦略が内包する安全保障上のリスク、特に中国との関係悪化がもたらす経済的崩壊の可能性について、強い警鐘を鳴らしており、世論の二極化が進んでいる。
国家戦略技術の光と影:集中投資の是非
政府は近年、世界的な技術競争の激化とサプライチェーンの脆弱性への懸念から、国策として重要技術の育成に舵を切った。AI、量子、半導体、核融合など6分野を国家戦略技術として指定し、研究開発から実用化まで一貫して後押しするため、兆円規模の国費投入や税制優遇を計画している。これは、日本の技術主権を確立し、経済安全保障を強化するための重要な政策転換と位置づけられている。
しかし、玉川氏は、この国家主導の集中投資の是非について、モーニングショーの番組内で繰り返し疑問を呈している。彼の指摘の核心は、技術の将来的な伸びを予測することが困難な現代において、政府が特定の分野に多額の税金を投じることの費用対効果である。
玉川氏は、過去の非効率な公共投資や無駄遣いの事例を挙げ、「どの技術が伸びるか予測は困難であり、政治的思惑や既得権益の温床になりかねない」と批判。官僚の市場に対する過剰な介入や、その裏にある政治的な補助金漬けのリスクを警戒する姿勢を明確にしている。この議論は、単なる予算規模の拡大を支持するのではなく、政策の透明性・効率性を重視する視点から、政府の戦略的判断への説明責任を求めるものとして、視聴者やネット上で大きな反響を呼んでいる。
「戦争になれば経済は崩壊する」:安全保障への問題提起
玉川氏の発言が、特に世論の分断を招いているのは、安全保障と経済リスクの連動性に関する問題提起だ。玉川氏は「日本は中国と戦争してはいけない」という立場を明確にし、国家戦略や防衛政策が戦争を想定しすぎることで、かえって戦争のリスクを高める危険性を訴えている。
特に注目を集めたのは、11月17日の放送での発言だ。玉川氏は、仮に中国との間で軍事的な緊張が高まり、貿易が停止した場合、「日本経済は崩壊する」「中国との貿易停止でGDPが7%減少する」と具体的な経済的影響を強調した。この発言は、安全保障上の抑止力強化が、最大の貿易相手国である中国との関係を悪化させ、日本経済の基盤を揺るがすというジレンマを視聴者に突きつけた。
さらに、11月7日の放送では、高市首相(仮称)の発言を批判し、「場合によっては戦争しますよ」という発言が、抑止力を超えて国民的に大問題であると指摘。戦争を想定するのではなく、戦争を回避するための外交努力と経済的安定を最優先すべきだという、現実的なリスク回避論を展開している。
モーニングショーが果たす役割と世論の行方
テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」は、朝の情報番組としては異例の硬派な報道姿勢をとり、高い視聴率を維持している。玉川氏の鋭いコメントは、視聴者の問題意識を反映しつつも、賛同と反発の両方を引き出す形で、日本の重要な政策課題を議論の俎上に乗せる役割を果たしている。
玉川氏の主張に賛同する層は、彼の発言を「現実的な経済リスクを伝え、無駄な投資を戒めるもの」として評価する。一方で批判派は、「安全保障上の抑止力強化を否定し、国民に不安を煽る」として反発は根強い。
現在、日本が直面しているのは、国家戦略技術の育成による技術主権の確保という「攻め」の戦略と、戦争を回避し、既存の国際経済システムを維持するという「守り」の戦略のバランスをいかに取るかという難題だ。玉川氏がモーニングショーを通じて問う費用対効果と戦争リスクは、単なる一コメンテーターの意見に留まらず、2025年後半の日本社会が、経済安全保障と外交の現実的なリスクを鑑みながら、真剣に向き合うべき政策課題となっている。政府には、国家戦略技術への巨額の投資が、真に国民の安全と経済成長に資するのか、その透明性と効率性を高める説明責任が強く求められる。