時代を穿つ椎名林檎:「林檎博’24」のSF叙事詩と2026年『党大会』が示す未来
ニュース要約: 1998年のデビュー以来、常に革新を続ける椎名林檎が、現在、活動の新たな高みにある。2024年末のSFロックオペラ「林檎博’24」で圧巻の芸術性を示し、2025年も新曲リリースや大型フェス出演で勢いを維持。そして2026年春には13年ぶりとなるホールツアー『党大会』を控え、その衰えぬ影響力と深化する音楽世界に注目が集まる。
椎名林檎、時代を穿つ「創作女王」の現在地—『林檎博’24』の衝撃と2026年『党大会』への展望
【東京発 2025年11月25日 共同通信】
1998年のデビュー以来、「新宿系創作女王」として日本の音楽シーンに革新をもたらし続けてきた[椎名林檎]が、現在、活動の新たな高みにある。2024年末に開催された6年ぶりのアリーナツアー「(生)林檎博’24-景気の回復-」は、単なる音楽公演の枠を超越した壮大なSF叙事詩として観客に強烈なインパクトを与え、その類まれなる芸術性を改めて証明した。さらに、2025年の新曲リリース、大型フェス出演を経て、2026年春には13年ぶりとなるホールツアー『党大会 令和八年列島巡回』を控えており、[椎名林檎]の音楽的影響力は衰えを知らない。
圧巻のSFロックオペラ「林檎博’24」
2024年10月から12月にかけて全国7会場で実施されたアリーナツアー「(生)林檎博’24-景気の回復-」は、[椎名林檎]のキャリアの中でも特に豪華で前衛的な演出が話題を呼んだ。
このツアーは、荒廃した都市や宇宙空間を舞台としたSF的世界観を基調とし、総勢30名以上から成る「銀河帝国軍楽団」によるオーケストラを伴うミュージカル的な構成が特徴的だった。ステージ上では、[椎名林檎]自身がプラグスーツ姿で無重力空間に浮かぶ映像や、赤い外套を羽織りUFOから地上に降り立つシーンなど、叙事詩的なドラマが展開された。
演出には、暗闇の中で赤い光が明滅する宗教的なモチーフや、客席に降る札束、和服と最新技術を融合させた衣装など、過去・現在・未来、そして「景気の回復」という社会的なテーマを内包する要素が緻密に織り込まれていた。観客は、楽曲の演奏を聴くだけでなく、一つの徹底した世界観に没入する体験を与えられ、この圧倒的なライブパフォーマンスは[椎名林檎]の演出家としての才能を強く印象付けた。
2025年:多角的な展開と新曲の波及力
2024年5月に宇多田ヒカルやAtarashii Gakko!ら女性アーティスト7組と共演したアルバム『放生会』をリリースし、音楽業界に一石を投じた[椎名林檎]は、2025年もその勢いを維持した。
特に注目されるのは、2025年8月6日にリリースされた両A面シングル『実験中/白日のもと』だ。「白日のもと」は映画主題歌としても起用されており、彼女の楽曲が持つ文学性と普遍性が、映像作品との相乗効果を生み出している。
また、2025年夏には「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2025 in EZO」や「ONE PARK FESTIVAL 2025」といった大型野外フェスに立て続けに出演。アリーナツアーとは異なる開放的な空間においても、その強烈な存在感とライブパフォーマンスで多くの観客を魅了し、変わらぬ求心力を示した。
2026年へ、原点回帰と進化の「党大会」
そして、音楽ファンが最も期待を寄せているのが、2026年春に予定されているホールツアー『党大会 令和八年列島巡回』である。これは2013年以来、実に13年ぶりとなる『党大会』と銘打たれたホールでの単独公演であり、全国8会場18公演が予定されている。
アリーナツアーの壮大さとは対照的に、音響に定評のあるホールを厳選したこのツアーは、[椎名林檎]が自身の音楽をより繊細かつダイレクトに伝えるための新たな試みと見られている。デビュー当初から、その独特な歌唱法と、芥川龍之介や三島由紀夫にも通じる文学的な詞の世界観で評価されてきた彼女にとって、ホールという親密な空間は、楽曲の持つ深みや言葉の力を最大限に引き出す舞台となるだろう。
J-POPの枠を超えた「歌舞伎町女王」の芸術性
[椎名林檎]の活動は、常にJ-POPの既成概念を打ち破ってきた。デビュー曲「幸福論」以来、巻き舌を交えた歌い方、斬新な漢字とかな遣い、そして前衛的なファッションは、「歌舞伎町女王」としてのカリスマ性を確立。特に「丸の内サディスティック」に代表される和声進行は、後の若い世代のミュージシャンに多大な影響を与え、日本のポピュラー音楽に新たな潮流を生み出した。
東京事変での活動期間を経てソロに戻った後も、彼女は常に時代と共鳴しつつ、自身の芸術性を追求し続けている。その独自の音楽性と表現力は、単なるエンターテイナーではなく、文学者や芸術家として評価される域に達しており、日本の音楽シーンにおける[椎名林檎]の存在感は、今後も計り知れない影響力を持ち続けるだろう。2026年の『党大会』は、その深化された音楽世界を体感する重要な機会となるに違いない。