J1残留へ歴史的連勝！湘南、小野瀬決勝弾で清水を撃破し最終節へ

湘南、残留へ歴史的な「連勝」　清水戦、小野瀬の決勝弾が灯した希望　J1残留争いは最終節へ

【平塚】 明治安田生命J1リーグは30日、第37節を各地で行い、残留争いの渦中にある湘南ベルマーレがホームのレモンガススタジアム平塚で清水エスパルスと激突した。緊迫した一戦は、湘南が前半終了間際の劇的なゴールを守り切り、1対0で勝利。この勝利により、湘南は前節の新潟戦（5-2）に続く連勝を飾り、今季19位からのJ1残留へ望みをつないだ。一方、中位（13位）ながらも上位進出を目指していた清水は、痛恨の敗戦となり、昇格争いに大きな影響を残す結果となった。

執念の決勝点、小野瀬が魅せた節目の一撃

「湘南 対 清水」の一戦は、両チームにとって来季を占う上で極めて重要な意味を持っていた。特に湘南にとっては、約半年ぶりのホームでの勝利であり、降格圏脱出に向けた文字通りの「生命線」だった。

試合の鍵を握ったのは、J1通算200試合出場という節目を迎えたMF小野瀬康介だった。前半44分、湘南がポゼッションで優位に立つ中、小野瀬は鋭い動き出しからゴールを奪取。この一撃が決勝点となり、スタジアムに集まったサポーターの残留への願いを具現化した。

この日の湘南は、3-1-4-2のフォーメーションを採用し、中盤からの積極的な攻撃参加とクロスを多用する戦術で、清水の守備を揺さぶり続けた。若きキャプテンである鈴木章も、積極的に攻撃を牽引し、今季二桁得点に迫る活躍を見せるなど、チームの士気の高さを証明した。

試合終盤には、不測の事態が発生する。後半40分、MF松本大弥が退場処分を受ける。数的不利に陥った湘南だったが、守備陣は集中力を切らさず、清水の猛攻を凌ぎきった。ボール保持率は54%と主導権を握りつつも、シュート数では清水の14本に対し湘南は8本と劣勢だったが、決定機を確実に活かす「勝者のメンタリティ」が光った。

清水、守備崩壊と決定力不足の連鎖

一方、敗れた清水エスパルスは、前節で大敗（1-4）を喫しており、守備の課題を抱えたままこの大一番に臨んだ。結果的に、この試合でも守備連携のミスが目立ち、前半の失点を防ぐことができなかった。

清水は、秋葉忠宏監督が今季限りでの退任を発表しており、監督体制の集大成として勝利を目指したが、不本意な結果に終わった。中位に位置する清水にとって、この試合は昇格や順位上昇の足がかりとする絶好の機会であったが、勝点を得られなかったことで、最終節を前に大きな痛手となった。

攻撃面では、ベテランの乾貴士がシュートや警告を受けるなど奮闘を見せたものの、シュート14本という数字が示す通り、決定機を活かせない展開が続いた。データ上、ボール保持率は46%と湘南に譲り、主導権を握る時間帯が短かったことも響いた。

最終節へ、明暗を分けた「勝点3」の重み

今回の「湘南 対 清水」の結果は、J1リーグの残留争いを最終節までさらに混沌とさせた。

湘南ベルマーレは、この劇的な勝利により、降格回避へ大きな望みをつないだ。約半年間、勝利から遠ざかる苦しい時期を乗り越え、土壇場での連勝は、チームに新たな自信をもたらすだろう。来季に向けては、鈴木章ら若手中心の戦力維持と強化が焦点となる。

対照的に、清水エスパルスは、来季に向けて守備面の早急な立て直しが求められる。秋葉体制の終焉を前に、選手たちはプロとしての意地を見せたいところだが、守備の課題解消と新監督体制へのスムーズな移行が急務となる。

J1リーグは残り1節。最終節は、両チームの今季の全てが懸けられることになる。小野瀬の決勝ゴールが点火した湘南の残留への執念と、清水の名門としての立て直しに向けた戦いは、引き続き熱い注目を集めそうだ。