湘南ベルマーレ、2025年J2降格決定：山口体制終止符とクラブ再建への道

湘南ベルマーレ、J2降格決定の波紋—2025年シーズンの総括とクラブ再建への道

【平塚発】 2025年シーズンのJ1リーグにおいて、湘南ベルマーレは厳しい戦いを強いられ、最終的にJ2降格が確定した。11月30日の第37節終了時点で、チームは20チーム中19位（勝ち点25）に沈み、残留圏内との差は埋まらない状況となった。長年J1とJ2を行き来してきた「ジェットコースタークラブ」の異名を持つ湘南ベルマーレだが、今季の低迷は深刻な課題を浮き彫りにしている。クラブはすでに山口智監督の退任、経営陣の刷新を発表しており、来季のJ2での戦いに向け、抜本的な再建が急務となっている。

厳しいシーズン総括：得点力不足と守備の脆さ

湘南ベルマーレの2025年シーズンは、開幕直後から勝ち点を積み上げられず、苦しい展開が続いた。最終盤の第36節では新潟相手に5-2で快勝を収めるなど一時の勢いを見せたものの、それまでに20試合以上も勝利から遠ざかる期間があり、この停滞が致命傷となった。

低迷の最大の要因として挙げられるのは、攻撃力の欠如と守備の安定性の欠如だ。得点力が伸び悩み、一方で失点もかさむという攻守両面でのバランスの悪さが、接戦での取りこぼしを招いた。特にホームであるレモンガススタジアム平塚での勝率の低さは、サポーターの期待を裏切る結果となり、順位を押し下げる大きな要因となった。

J1残留争いは熾烈を極めたが、勝ち点25という数字は他チームと比較しても大きく見劣りし、シーズンを通してチーム力がJ1の基準に達していなかったことを示している。この結果を受け、クラブは早くも来季に向けた大鉈を振るい始めている。

山口体制に終止符、新監督と経営陣の刷新

降格という厳しい現実を前に、湘南ベルマーレは組織全体での刷新を断行する。

まず、2021年9月からチームを率いてきた山口智監督が、今季限りでの退任を公式に発表した。山口監督はチームに「湘南スタイル」を根付かせようと尽力したが、結果が伴わなかった。後任人事については、すでにJ3からJ2昇格を果たした実績を持つ長沢徹氏が有力候補として浮上しており、新体制での早期のJ1復帰を目指す方針だ。

さらに、クラブ経営陣も大きく交代する。親会社であるRIZAPグループ出身の塩田徹氏が会長に、大多和亮介氏が社長に就任するなど、トップマネジメントの顔ぶれが一新された。これは、J2での戦いを乗り越え、クラブの構造的な強化を図るための強い決意の表れと見て取れる。新体制は、財務基盤の安定化と、より持続可能なクラブ運営を目指すことになる。

主力選手の流動化と来季の戦力補強

組織の刷新と並行して、選手の契約更新や移籍動向にも注目が集まっている。

すでに、チームの中盤を支えてきたベテランMF茨田陽生選手（34）が契約満了により退団することが決定した。2020年から6シーズン在籍し、今季も25試合に出場するなどチームに貢献してきた茨田選手の退団は、来季のチーム編成に大きな影響を与える。本人は「この6年間を無駄にせず前に進みたい」とコメントしており、プロとしての新たな挑戦を決意した。

J2降格に伴い、他の主力選手の慰留も難しくなることが予想される。クラブは、J2で確実に勝ち点を積み上げられる戦力を確保するため、若手育成と並行して、経験豊富な即戦力の補強が急務となる。特に、今季の課題であった得点力不足を解消するためのストライカーの獲得、そして安定した守備を築くための最終ラインの強化が、オフシーズンの焦点となるだろう。

地域とともに再起へ—サポーターの熱い声援

厳しいシーズンであったにもかかわらず、湘南ベルマーレのサポーターは最後まで熱い声援を送り続けた。ホーム最終戦ではチケットが完売するなど、地域に根差したクラブとしての存在感は依然として大きい。

また、長年親しまれてきた地域貢献活動「マイヒーローアシスト」企画は今季で終了するが、クラブは今後もファンや地域との交流を深めるための新たな取り組みを計画している。

湘南ベルマーレにとって、2026年シーズンは試練の年となる。しかし、監督、経営陣、そして戦力の大幅な刷新は、クラブが過去の反省を踏まえ、より強固な体制でJ1復帰を目指すための第一歩となる。サポーターの期待を背負い、湘南ベルマーレが再びJ1の舞台で躍動する日を目指し、再建への挑戦が始まる。