【セリエA第12節】フィレンツェ・ダービー激闘の1-1ドロー!VARとコスティッチの輝き、新体制ユヴェントスは課題残す
ニュース要約: イタリア・セリエA第12節、フィレンツェ・ダービーはフィオレンティーナ対ユヴェントスが1-1のドローで終了。VARでPKが取り消される混乱の中、ユヴェントスはコスティッチが先制。フィオレンティーナはマンドラゴラが同点弾を奪った。新体制の両雄は勝ち点1を分け合い、今後の課題を露呈させた激闘となった。
【セリエA第12節】激闘の「フィレンツェ・ダービー」、フィオレンティーナ対ユヴェントスは1-1ドロー 新指揮官体制下、明暗分けたVARとMOMの輝き
2025年11月23日
イタリア・セリエAは22日(現地時間)、第12節のハイライトとして、歴史的なライバル対決である「フィレンツェ・ダービー」、フィオレンティーナ 対 ユヴェントスの一戦が、フィレンツェのスタディオ・アルテミオ・フランキで開催された。両チームともシーズン序盤の低迷を受け、新監督の元で再建の道を歩み始めたばかり。熱狂的なホームサポーター約4万3000人が見守る中、試合は終始激しい攻防となり、結果は1-1の引き分けに終わった。
このダービーマッチは、勝ち点1を分け合う形となったが、試合内容はVARの介入、劇的な得点シーン、そして両監督の戦術的駆け引きが凝縮された見応えのあるものとなった。
VARが左右した前半のドラマ:コスティッチの集中力
試合は序盤から、ホームのフィオレンティーナが新監督パオロ・ヴァノーリの下で掲げる「攻撃的サッカー」を展開。前線からの激しいプレッシャーでユヴェントスのパス回しを阻害した。対するユヴェントスは、ルチアーノ・スパレッティ新監督が重視する中盤のコントロールで徐々にリズムを取り戻そうとする。
前半の最大の焦点は、アディショナルタイムに訪れた。ユヴェントスのエース、ドゥシャン・ヴラホヴィチがボックス内で倒れ、主審は一度はPKを宣言。しかし、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が介入し、オン・フィールド・レビューの結果、フィオレンティーナ側が先にユニフォームを引っ張ったと判断され、PKは取り消しとなった。
このVAR判定は、アウェイのユヴェントスにとっては大きな痛手となるはずだったが、その直後の集中力が勝負を分ける。前半45分+6分、ユヴェントスは攻撃を継続し、フィリップ・コスティッチがミドルシュートを放つ。ボールはGKの手をかすめ、ネットを揺らした。VARの介入という混乱を乗り越え、冷静に先制点を奪ったコスティッチの存在感は、この日のMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)候補として高く評価された。
マンドラゴラの速攻とホームの熱狂
リードを奪われたフィオレンティーナは、後半開始直後に電撃的な反撃を見せる。後半48分、セットプレーからボールがこぼれたところに、ロランド・マンドラゴラが反応し、冷静に押し込み同点ゴールを奪取。アルテミオ・フランキは一気に熱狂に包まれ、試合の流れは完全にホームチームへと傾いた。
マンドラゴラもまた、チームの窮地を救う一撃でMOM候補に名を連ねた。その後もフィオレンティーナは、元ユヴェントスのモイーズ・キーンがクロスバー直撃のシュートを放つなど猛攻を仕掛けたが、ユヴェントスの守備陣はスパレッティ監督の下で組織力を維持し、追加点を許さなかった。
新体制の課題と展望:再建途上の両雄
今回のフィオレンティーナ 対 ユヴェントスの一戦は、両監督の采配が色濃く反映された。
ヴァノーリ監督率いるフィオレンティーナは、攻撃の活性化と粘り強さを見せたものの、終盤の決定力不足が響き、勝ち点3を逃した。一方、スパレッティ監督率いるユヴェントスは、アウェイのダービーで最低限の勝ち点1を獲得。守備の安定化には成功したが、攻撃陣はコスティッチの得点以外に決定機を作り出せず、前線の連携と決定力不足という課題を露呈させた。
両チームの直近の対戦統計が示すように、このカードは低得点の攻防となる傾向が強い。今回の1-1という結果は、歴史的因縁を持つダービーの緊張感と、再建途上にある両チームの現状を象徴していると言えるだろう。
今後のセリエAの戦いにおいて、両監督がどのようにチームを立て直し、攻撃の精度を高めていくのか。フィオレンティーナ 対 ユヴェントスの激闘は、今後のリーグ戦の行方を占う重要な試金石となった。