エス・サイエンス(5721)株価、仮想通貨戦略で再暴騰:投機熱と実態の乖離を追う
ニュース要約: 東証スタンダード市場のエス・サイエンス(5721.T)株価が、ビットコイン取得を中心とした仮想通貨戦略により再び暴騰。巨額の暗号資産保有評価益が期待を支える一方、本業は赤字が続き、ファンダメンタルズとの乖離が顕著だ。「元青汁王子」参画による投機的な熱狂が市場を席巻しており、投資家は高いボラティリティと調整リスクに警戒が必要だ。
(株)エス・サイエンス(5721.T)株価、仮想通貨戦略で再び「暴騰」:投機的熱狂とファンダメンタルズの乖離を追う
2025年11月28日
異例の急騰劇、再び市場を席巻
東証スタンダード市場に上場する(株)エス・サイエンス(5721.T)の株価が、再び市場の注目を集めている。27日から28日にかけて、同社株価はストップ高水準で推移するなど、短期的な過熱感が顕著だ。この劇的な値動きの根底には、本業であるニッケル製品の製造販売とは一線を画した、同社の大胆な「仮想通貨戦略」がある。
エス・サイエンスは長らくニッケル事業を柱としてきたが、2025年3月、最大5億円のビットコイン取得方針を盛り込んだクリプトアセット事業への参入を公表した。この発表が契機となり、同社の株価は異例の「暴騰」を経験した。年初来安値19円(2025年1月)から、わずか3カ月後の同年6月には一時422円超まで急伸。実に約13倍という驚異的な「soaring」を記録した。
この急騰は、単なる事業転換への期待に留まらない。市場では、「第2のメタプラネット」になるのではないかという思惑がSNSやインターネット掲示板を通じて拡散され、投機的な買いが加速した。特に、実業家でインフルエンサーの「元青汁王子」こと三崎優太氏が、大株主として名を連ね、クリプトアセット事業開発担当室長に就任したことも、短期的な値幅取りを狙う投資家層を呼び込む強力なトリガーとなった。
資産価値の増加と収益性の課題
エス・サイエンスの株価がボラティリティ高く推移する背景には、「資産価値」と「収益実態」の乖離が挙げられる。
同社は、積極的なビットコイン購入の結果、2026年3月期第2四半期時点で、自己保有暗号資産の評価益として5,900万円を計上し、暗号資産総額は30億5,900万円に達している。この巨額の暗号資産保有が、企業価値向上への期待を支える最大の要素となっている。
しかし、本業の収益性を見ると、依然として厳しい状況が続いている。同第2四半期決算では、売上高3億5,900万円に対し、営業損失1億6,200万円と赤字を計上。新規参入したクリプトアセット事業は、まだ収益改善に直結しておらず、財務面では自己資本比率の低下傾向やマイナスのROEなど、ファンダメンタルズには強い裏付けが乏しい。
今回の11月下旬におけるupトレンドは、この「暗号資産の評価益」に焦点を当てた市場の投機的心理の再燃と見られる。11月28日の出来高は約1,230万株と、前日比で大幅に増加しており、短期的な需給の過熱感が極めて強い状況だ。
投資家への警鐘:高まる調整リスク
エス・サイエンスのstocksは、暗号資産の価格変動に極めて強く影響される、特異な銘柄となっている。従来のニッケル事業の安定性と、高リスク・高リターンのクリプト事業が併存する構造は、投資家にとって判断を難しくしている。
市場の掲示板では「買い志向」が強いものの、年初来高値422円からは大きく乖離しており、株価の乱高下が常態化している。直近のストップ高水準(120円〜130円台)は、短期的な支持線・抵抗線として意識されているが、出来高の急増は短期的な利食い(利益確定売り)圧力も高める。
東証からもMSCB(新株予約権付社債)発行に関する資本政策の動きが公表されるなど、財務戦略も不安定な要素として絡んでいる。
(株)エス・サイエンスの今後の展開を占う上で、投資家が注視すべきは、暗号資産市場の動向はもちろんのこと、クリプトアセット事業が実際に本業として収益を生み出し、財務体質を改善できるかという点である。現時点での株価暴騰は、実態経済の改善というよりも、市場の思惑やSNSを通じた投機的熱狂に支えられている側面が強く、引き続き高いボラティリティと調整リスクを伴うことを認識する必要がある。(了)