【18年ぶり高値圏】三井Ｅ＆Ｓ株価が急騰！GS「買い」推奨と国策支援で再成長へ（7003.T）

【深層分析】(株)三井Ｅ＆Ｓ 株価が18年ぶり高値圏を突破　ゴールドマンの強気推奨と国策支援が牽引する「再成長」の波（7003.T）

2025年11月28日、東京株式市場で**(株)三井Ｅ＆Ｓ**（7003.T）の株価が急騰し、一時7000円台を突破、2007年以来およそ18年ぶりの高値圏に浮上した。終値は前日比12.05%高の6,939円を記録。この日の出来高は急増し、市場の関心が一気に集中した。この暴騰の背景には、米系大手証券による新規の強気推奨と、日本の基幹産業たる造船業に対する国策支援という、二つの強力な追い風が存在する。

1. 「買い」推奨と目標株価7800円：市場を動かしたGSの評価

(株)三井Ｅ＆Ｓ株価の急激な「up」の直接的な引き金となったのは、米系大手証券ゴールドマン・サックス（GS）が同日、同社を新規カバレッジ対象とし、「買い」の投資判断を付与したことだ。

GSは、同社の目標株価を7,800円に設定。これは、現在の市場水準から見ても大幅な上乗せ評価であり、国内外の投資マネーを呼び込む強いインパクトを与えた。GSのレポートは、同社が手掛ける国内舶用エンジンのアップサイクル長期化や、米国港湾クレーンの代替需要拡大を指摘。2031年3月期までの営業利益が年率20%成長を見込むなど、長期的な成長ポテンシャルが市場に十分に織り込まれていないと評価した。このアナリストの評価が、投資家の買い意欲を刺激し、株価を一時14.6%高まで押し上げた。

2. 国策による造船業再生への期待

追い打ちをかけるように、同社の事業環境を巡るポジティブな報道も相次いだ。国土交通省が2025年度補正予算案に「造船業再生基金」として1200億円を計上する方針が報じられたことが、市場の楽観ムードを強めた。

(株)三井Ｅ＆Ｓは、船舶用ディーゼルエンジンのトップメーカーであり、造船業の競争力強化に向けた国策支援は、同社の主要事業であるエンジニアリング部門の収益拡大に直結する。さらに、官民連携で総額1兆円規模の投資が検討されているとの観測も浮上しており、同社が推進するグリーン・トランスフォーメーション（GX）戦略に基づいたエンジンビジネスの拡大への期待が、stocks市場で急速に高まっている。

3. 中期経営計画が示す再成長への道筋

今回の株価急騰は、短期的な材料だけでなく、同社が2025年5月に策定した中期経営計画「三井E&S Rolling Vision 2025」に基づく構造改革の成果が市場に認められ始めた結果とも言える。

同社は、2027年度（2028年3月期）の最終目標として、売上高3,800億円、営業利益280億円を掲げている。これは、2024年度の実績を大きく上回る野心的な数値だ。特に、マリン領域を軸とした脱炭素社会の実現と、デジタル・トランスフォーメーション（DX）技術を活用した保守・メンテナンスビジネスの強化が、成長戦略の柱となっている。

また、財務戦略においても、ROIC（投下資本利益率）の改善や、配当性向を25%に引き上げ、32年ぶりの中間配当を実施するなど、株主還元への積極的な姿勢が評価されている。アナリストからは、「業績改善のスピードが競合他社と比較しても突出しており、自己資本比率の回復も顕著」との声が聞かれ、市場は同社を「出遅れの割安急騰株」あるいは「10倍株候補」として捉え始めている。

4. 業界内での立ち位置と今後の展望

(株)三井Ｅ＆Ｓは、造船・機械セクターに属しながらも、近年はレアアース関連や資源リサイクルといった分野でも注目を集めている。競合他社が業績減益や株価横ばいに留まる中、同社は2026年3月期第2四半期で営業利益が前年同期比114.9％増と、大幅な増益を達成。この業績の勢いが、今回のsoaringな株価の動きを支えている。

市場では、上期で既に通期営業利益予想（8億5,000万円）の大部分を達成していることから、年内にも通期業績の上方修正が発表されるとの期待が高まっている。国策支援、強気なアナリスト評価、そして足元の好業績という三拍子が揃った今、(株)三井Ｅ＆Ｓ 株価は、当面の間、市場の主要な注目銘柄（hot stocks）として、その動向が注視されることになりそうだ。

（経済部記者：松田 雄一）