【大相撲九州場所】大の里独走に待った!鉄人・曲者・新世代が挑む「新時代」の幕開け
ニュース要約: 令和七年大相撲九州場所は、横綱・大の里泰輝が全勝で賜杯争いを牽引し、「大の里時代」の到来を予感させている。しかし、独走を許すまいと、40代の鉄人・玉鷲、アクロバティックな技を持つ曲者・宇良、新関脇・安青錦ら新旧の精鋭たちが奮闘。横綱に挑む世代間対決が、場所をかつてない熱戦に導いている。
令和七年九州場所は「大の里時代」の序章か――「怪物」に挑む鉄人・曲者・新世代の群像劇
現在開催中の大相撲令和七年九州場所は、新旧交代の激しい波が押し寄せる、かつてない熱戦となっている。特に、第75代横綱・大の里泰輝(おおのさと)の怪物的とも言える快進撃が場所を牽引しており、中盤戦に入ってもただ一人、全勝(6連勝)で賜杯争いの本命に君臨している。
横綱昇進後も破竹の勢いを続ける大の里(25歳)は、その恵まれた体格と圧倒的なパワーで、新世代の盟主としての地位を不動のものとしつつある。しかし、その独走を許すまいと、経験豊かなベテラン勢、土俵を沸かせる曲者、そして次世代を担う若手精鋭たちが、それぞれの持ち味を活かし、波乱の展開を演出している。
鉄人玉鷲の意地、世代の壁に挑む
大の里の圧倒的な存在感に対抗する立場で、まず注目すべきは、前頭筆頭の玉鷲一朗(たまわし)である。40歳を超えてなお幕内上位で奮闘する「鉄人」は、衰えを知らない技術と精神力で、相撲ファンの喝采を浴びている。
玉鷲は、この若き横綱にとって最も手強い世代の壁として立ちはだかる。記憶に新しいのは、2025年名古屋場所での玉鷲の金星奪取だ。若手の勢いを、長年の経験から培われた技術と、決して崩れない体幹で打ち破ったあの取組は、大相撲における世代間対決の象徴として語り継がれている。今場所も4勝3敗と勝ち越し圏内で踏ん張っており、その存在感は若手力士たちの大きな目標となっている。
曲者・宇良と大の里の「因縁」
また、土俵を沸かせる存在として欠かせないのが、前頭三枚目の宇良和輝(うら)だ。身長175cmと小柄ながら、レスリング仕込みの「居反り」や「足取り」など、出現率1%未満とされるアクロバティックな技を繰り出す宇良の相撲は、観客を魅了してやまない。
しかし、宇良にとって大の里は乗り越えがたい大きな壁となっている。過去の対戦成績は横綱が圧倒しており、宇良は大の里から未だ金星を挙げられていない。今場所も安青錦に敗れるなど3勝4敗と苦しい星取だが、宇良が横綱を相手に変則的な立ち合いからいかにして勝機を見出すか、その一挙手一投足に注目が集まる。宇良がもし大の里を破れば、それは単なる一勝ではなく、場所の流れを大きく変える歴史的な瞬間となるだろう。
新関脇・安青錦らが示す未来
大の里の独走を食い止め、賜杯争いをさらに面白くしているのが、新世代の躍進である。
中でも、新関脇の地位を得た安青錦(あおなりきん)の活躍は目覚ましい。彼は宇良を危なげなく寄り切るなど、すでに5勝を挙げており、優勝争いの一角に食い込んでいる。新関脇として好成績を残す安青錦の勢いは、大の里に次ぐ地位を固めつつあることを示している。
さらに、平戸海(ひらどかい)や青錦といった若手力士も、中盤戦で存在感を発揮している。平戸海は横綱・大の里との取組で敗れはしたものの、新世代の力士として真っ向から横綱に挑む姿勢を見せつけた。
令和七年九州場所は、まさに大の里を頂点とする新世代の台頭と、玉鷲のようなベテランの技術が激しくぶつかり合う、相撲界の勢力図が塗り替えられる過程を映し出している。大の里がこのまま独走するのか、それとも玉鷲、宇良、安青錦ら新旧の追撃勢が波乱を起こし、場所を混沌へと導くのか。賜杯の行方とともに、今後の相撲界の未来を占う熱い戦いが続く。