森保ジャパン、ボリビア戦3-0快勝。中村・町野が躍動も、W杯予選に向けた「本質的な課題」とは？

勝利に隠された課題：森保ジャパン、ボリビア戦快勝で得た「収穫」と「本質的な問い」

2025年11月18日、国立競技場で行われたキリンチャレンジカップ2025、サッカー日本代表対ボリビア代表の一戦は、森保ジャパンが3-0で快勝し、2025年の代表活動を白星で締めくくった。この勝利は、森保一監督にとってAマッチ通算100試合目という節目を飾るものであり、結果だけを見れば盤石な試合運びであったと評価できる。

しかし、FIFAランキングで95位前後（当時）に位置するボリビアを相手にしたこの一戦は、単なる勝利以上の、ワールドカップ（W杯）予選を見据えた森保ジャパンの「現在地」と「乗り越えるべき課題」を明確に浮き彫りにした。

躍動した新戦力。熾烈化する攻撃陣の競争

この試合の最大の収穫は、途中出場の若手アタッカー陣が結果を出したことだろう。

試合開始早々の鎌田大地による先制点（開始4分）で主導権を握った日本代表は、後半、森保監督が投入した新戦力が次々と躍動した。特に、中村敬斗（スタッド・ランス）と町野修斗（ボルシアMG）の活躍は目覚ましかった。

中村は途中出場ながら1ゴール1アシストを記録し、代表通算10ゴール目を達成。右サイドからの突破と鮮やかなフィニッシュで、自身の代表における存在感を決定的にした。さらに、町野も71分に中村のクロスをダイレクトで叩き込み追加点を奪取。欧州で経験を積む両選手が、久保建英、南野拓実といった既存の主力にプレッシャーをかける形で、代表定着に向けて強いアピールを見せた。

森保監督はガーナ戦から7名ものメンバーを入れ替える大胆なローテーションを敢行。これは、遠藤航（リバプール）や板倉滉といった主力のコンディション調整に加え、2026年W杯に向けて、多角的な戦術オプションと選手の層の厚さを構築したいという明確な意図があった。特に、キャプテンとして中盤の底に君臨した遠藤航は、クラブでの出場機会が少ない中でも安定したパフォーマンスを発揮し、チームの精神的な支柱としての役割を改めて示した。

勝利の裏に潜む「真の試金石」への課題

3-0というクリーンシートでの快勝は喜ばしいが、報道陣やファンが抱く懸念は「対戦相手のレベル」に集約される。

ボリビアはW杯南米予選で強豪ブラジルを破るなど、ホーム（高地）では強さを発揮するものの、アウェーでの戦績は芳しくなく、日本との実力差は歴然としていた。彼らが日本代表の守備組織に与えたプレッシャーは限定的であり、この試合の結果をもって守備が盤石になったと判断するのは早計だろう。

最も問われるのは「攻撃の質と創造性」だ。3得点は評価できるものの、得点に至るまでのプロセスにおいて、久保や鎌田といった個の能力に頼る場面が多く、チーム全体での連動性やパスワークの精度にはまだ改善の余地が見られた。特に、中盤から前線へのつなぎのスピードやアイデアは、今後のW杯本大会やアジア最終予選で想定される、より組織的な守備を敷く強豪国を崩すためには、多様化が不可欠である。

セルジオ越後氏ら専門家が指摘するように、日本代表が今後、W杯で南米勢や欧州の強豪と対峙する際には、ボリビア戦で見られた緩さではなく、南米特有の激しいフィジカルコンタクトや、高いレベルの守備組織を突破する能力が求められる。

W杯予選へ向けた森保ジャパンの次なるテーマ

森保監督は「攻守のバランスを重視し、選手の個性を活かす」と語るが、2025年を終え、2026年W杯に向けた準備は本格化する。

今回のボリビア戦は、中村や町野といった若手がチャンスを掴んだ「世代交代への希望」を示した一方で、ベテランの遠藤や鎌田に依存するチーム構造から完全に脱却できていない現状も露呈した。

今後の最大のテーマは、この「バランス」をいかに高次元で実現するかにある。

一つは、攻撃の多様化。サイド攻撃、中央突破、セットプレーなど、あらゆる局面で質の高いバリエーションを持つこと。もう一つは、守備の組織化。強豪国のカウンターや猛攻に耐えうる、連動した守備組織の構築である。

今回の快勝は、森保ジャパンにとって心地よい年内最後の締めくくりとなった。しかし、この勝利はあくまで通過点であり、W杯予選突破、そして本大会での上位進出という目標達成のためには、ボリビア戦で見えた課題を真摯に受け止め、若手の育成と戦術の深化を両立させる、より緻密な戦略が求められている。