マクドナルド冬の風物詩「グラコロ」明日発売！新作「コク旨ビーフデミ」で進化する戦略

マクドナルド冬の風物詩「グラコロ」明日発売へ：新作は「コク旨ビーフデミ」、進化する季節限定戦略の深層

【東京】2025年11月25日（火）

日本マクドナルドは、冬の定番商品として高い人気を誇る「グラコロ」（グラタンコロッケバーガー）を、明日11月26日（水）より全国の店舗で期間限定発売する。今年の目玉は、ビーフシチューをイメージした濃厚な味わいが特徴の新作「コク旨ビーフデミグラコロ」の登場だ。毎年、冬の訪れとともに消費者の期待を集めるグラコロは、単なる季節限定メニューに留まらず、同社の冬季集客戦略の中核を担い、強力な経済効果を生み出している。

ビーフデミで「コクと旨み」を追求

2025年版のグラコロは、定番の美味しさを維持しつつ、新たな味覚体験を提供することを目指している。

新作「コク旨ビーフデミグラコロ」は、クリーミーなグラタンコロッケに、ビーフデミフィリングを加えることで、濃厚さと旨みをプラスした一品だ。従来のグラコロが持つホワイトソースの優しい風味に対し、ビーフシチューのような深いコクが加わることで、寒い季節にふさわしい満足感を提供すると期待される。

また、定番の「グラコロ」も、昨年のリニューアルでホワイトソースにチーズのコクが加わり、よりクリーミーになった仕様が引き続き採用されている。マクドナルドは、販売データやSNSの反応を分析し、顧客の飽きを防止しつつ、常に商品の完成度を高める「データドリブン」なアプローチでグラコロを進化させている。

今年の販売期間は11月26日から12月下旬まで（新作は12月中旬までを予定）で、価格は「グラコロ」単品が440円から、「コク旨ビーフデミグラコロ」単品が490円からとなっている。さらに、サイドメニューとして「シャカシャカポテト ローストガーリックバター味」が同時発売され、濃厚なグラコロとの相乗効果を狙ったラインナップとなっている。

冬の集客を支える「グラコロ」のブランド力

マクドナルドにとって、グラコロは冬季の集客を左右する極めて重要な戦略商品だ。そのブランド力と経済効果の高さは、以下の点から確認できる。

第一に、グラコロは毎年11月から1月にかけて販売されることで、消費者に対し「冬の特別なひととき」という強いイメージを植え付けている。これにより、「今年も来た」という懐かしさや期待感を伴うリピーターを確実に獲得し、冬季の売上増加に大きく貢献している。

第二に、SNS上での話題性が非常に高い。ビジュアルの魅力から写真投稿が増加し、ハッシュタグキャンペーンなどを通じてユーザー参加型の拡散が活発に行われる。これにより、ブランドの想起性（メンタルアベイラビリティ）が強化され、冬のマクドナルドへの来店動機となっている。

期間限定販売という希少価値が購買意欲を刺激する「FOMO（取り逃がしの恐怖）」心理を活用しつつ、CMや広告で「温かさ」「クリーミーさ」といった感情に訴えるストーリーを展開することで、顧客の感情的なロイヤリティを高めていると分析される。

過去の限定フレーバーから探る「理想のバランス」

新作の登場に際し、過去の限定フレーバーの評価を振り返ることは、マクドナルドが目指す味の方向性を理解する上で重要だ。

特に2024年に登場した「濃厚デミ&タルタルグラコロ」は、濃厚なデミソースとガーリックタルタルを組み合わせた意欲作だった。しかし、実食レビューでは、デミソースの主張が強すぎ、従来のグラコロが持つタマゴソースやキャベツの繊細な存在感が薄れてしまうという「バランスの課題」が指摘されていた。一部レビュアーからは「ソース味の強いコロッケパン」と評され、総合評価が伸び悩んだ経緯がある。

一方で、2022年の「ふわとろたまご濃厚デミグラコロ」は、スクランブルエッグ風フィリングのまったり感とトロトロ感が評価され、高い人気を博した。これは、濃厚なデミソースを使用しつつも、タマゴの優しい甘さで全体を包み込む「バランスの妙」があったためとみられる。

今年の新作「コク旨ビーフデミグラコロ」は、過去の経験を踏まえ、デミソースのコクを活かしつつ、グラコロの核であるクリーミーさを損なわない「絶妙なバランス」を追求しているかが、成功の鍵となるだろう。

冬の風物詩グラコロの進化は、マクドナルドが日本の消費者に提供する季節の味覚体験の質を象徴している。明日からの販売開始で、今年の新作がどのような評価を得るのか、市場の反応が注目される。（了）