リバプール守備崩壊の代償:スロット体制下の「負の連鎖」と遠藤航離脱の衝撃
ニュース要約: アルネ・スロット新体制のリバプールが深刻な試練に直面。大胆な戦術改革が混乱を招き、直近3試合で10失点と守備が崩壊している。遠藤航、アリソンら主力負傷が拍車をかけ、「負の連鎖」を断ち切るため、次節ウエストハム戦での立て直しが急務だ。
リバプール、変革の代償と試練の秋:スロット体制下の「負の連鎖」を断ち切れるか
― プレミア王者、直近3戦10失点の守備崩壊 遠藤航ら主力負傷が拍車
(ロンドン発 2025年11月27日 共同通信)
イングランド・プレミアリーグの盟主、リバプールFCが今秋、深刻な試練に直面している。2025年夏にアルネ・スロット新監督体制へと移行し、大胆な戦術的刷新を試みる名門クラブだが、直近のリーグ戦では守備が崩壊。主力選手の相次ぐ負傷も重なり、「負け癖」がつきかねない危機的な状況に陥っている。
シーズン全体で見れば、リバプールは36試合を終えて勝点83でリーグ首位を維持しているものの、ピッチ上でのパフォーマンスは低迷している。特に懸念されるのは、直近の成績だ。11月22日に行われた第12節では、ノッティンガム・フォレストに対しホームで0-3という屈辱的な完敗を喫した。さらに、この敗戦を含め直近3試合で合計10失点を献上しており、ディフェンスラインの機能不全が露呈している。
スロット監督が断行した「外科手術」の代償
この不調の背景には、スロット監督が就任直後から推し進めた「痛みを伴う外科手術」と称されるチームの抜本的改革がある。昨季のプレミアリーグ王者は、監督の戦術哲学に基づき、トレント・アレクサンダー=アーノルドの退団など、過去の成功を支えた選手層やスタイルを一新した。
スロット監督は、攻撃的なサイドバックを特徴としていた前体制から一転、ジェレミー・フリンポンやミロシュ・ケルケズを起用し、より守備的かつオーソドックスなサイドバックシステムを導入。中盤や攻撃陣にはイサク、ヴィルツといった大型補強を敢行し、戦術の多様性を高めた。
しかし、この大胆な変革はチームに一時的な混乱をもたらしている。シーズン序盤にはリーグ順位が一時11位まで落ち込むなど、戦術の熟成には時間を要しているのが現状だ。ルーニー氏らイングランドのレジェンドOBも「厳しい時期」と評価する中、クラブは長期的なビジョンに基づき、変革の過程にあると理解を示している。
深刻化する負傷者リスト:遠藤航、アリソン離脱の衝撃
さらに、リバプールが直面する最大の課題は、負傷者の多さである。アルネ・スロット監督は、限られた戦力での采配を強いられており、特に守備の核となる選手たちの離脱が痛い。
ゴールキーパー部門では、絶対的守護神アリソン・ベッカーが10月26日のチャンピオンズリーグ(CL)で負傷し、長期離脱中。代役としてギオルギ・ママルダシュビリが起用されているが、不安定さは否めない。
ディフェンスラインでは、ジョバンニ・レオーニが前十字靭帯断裂という重傷を負い、「1年間の欠場になる」と監督が明言。イブラヒマ・コナテも負傷リストに名を連ねており、守備の層は極めて薄くなっている。
中盤においても深刻な事態だ。日本代表の主将MF遠藤航が負傷を理由に10月の代表戦を欠場。ライアン・フラーフェンベルフらも離脱しており、スロット監督は中盤の底での起用を巡り、戦術的な工夫を強いられている。
負のスパイラル断ち切りへ:次節ウエストハム戦の焦点
この「負け癖」を断ち切る上で、次節のプレミアリーグが極めて重要となる。リバプールは11月30日(日)、ウエストハム・ユナイテッドとアウェーで対戦する。
この試合で最優先されるべきは、短期間で10失点を喫した守備の立て直しだ。選手たちも動揺を隠せない状況で、昨季王者としての意地を見せ、勝利を掴むことが、今後のタイトル争いへの弾みとなる。
また、冬の移籍市場(1月)に向けて、クラブはDF部門とMF部門の戦力補強を急ぐ見通しだ。現在の深刻な負傷状況を鑑みれば、即戦力となる選手の獲得は不可避であり、監督の求める戦術に合致した新戦力が加わるかが注目される。
UEFAチャンピオンズリーグでは、現在リーグフェーズ13位前後(3勝2敗)と、勝ち抜けラインにいるものの、目標とするベスト8進出には守備の安定が不可欠だ。国内カップ戦(EFLカップ、FAカップ)では優勝候補の一角として期待されるリバプールだが、戦術の熟成と負傷者の早期復帰なくして、複数のタイトルを狙うことは難しい。スロット体制の真価が問われる、試練の冬が始まろうとしている。