キムラ緑子、怪演の深淵:朝ドラ「いじわるな役」に込める人生哲学と舞台人の矜持
ニュース要約: 女優キムラ緑子(64)が、朝ドラ『おむすび』などで演じる「いじわるな役」で再注目を集めている。彼女は、悪役を演じることで「主役側が輝く」と語り、舞台で培ったプロフェッショナルな哲学を披露。人生のレガシーは「つながりや影響」にあるとし、61歳を超えても挑戦を続ける姿勢が、観客に深層的な共感を呼んでいる。
キムラ緑子、怪演の深淵:朝ドラから舞台へ、「いじわるな役」に込める人生哲学
【東京】 日本の演劇界、映像界において「脇役の女王」「カメレオン女優」として確固たる地位を築く女優、キムラ緑子氏(64)が、近年、その強烈な個性と「怪演」で再び熱い注目を集めている。特に2025年は、映画『花まんま』(4月公開)やNHK連続テレビ小説『おむすび』など、多数の話題作に出演。彼女が演じる「いじわるな役」や「個性的なキャラクター」へのアプローチは、単なる演技技術に留まらず、舞台で培った確かな哲学に裏打ちされている。(記者:〇〇 2025年11月28日)
「いじわるな役」が光る2025年
キムラ緑子氏の2025年の活躍は目覚ましい。映画『花まんま』では、繁田房枝役として、独特の存在感を放ち、その個性派演技が映画ファンの間で評判となった。また、現在放送中のドラマや、2024年から2025年にかけて放送されたNHK連続テレビ小説『おむすび』において、意地悪で複雑な内面を持つ役柄を演じきり、視聴者に強烈な印象を残している。
彼女の演技に対する街の反響は大きく、本人も11月27日放送のフジテレビ『ぽかぽか』に出演した際、朝ドラでの「いじわるな役」について、知人から「ああいう役はやるな」と真剣に諭されたエピソードを明かした。
しかしながら、キムラ緑子氏の役柄へのアプローチは極めてプロフェッショナルだ。彼女は、そうしたネガティブな反応すらも、役作りの糧としている。「私に言われても」と困惑を見せつつも、「悪ければ悪いだけ、こっち(主役)側が輝く。だからやりがいがある」と語る。この発言には、作品全体における脇役の役割を深く理解し尽くした、舞台人としての矜持が垣間見える。
舞台で磨かれた「人間味」と非日常への探求
1961年、兵庫県洲本市に生まれたキムラ緑子氏は、同志社女子大学在学中に演劇と出会い、マキノノゾミ氏主宰の劇団「M.O.P.」の旗揚げに参加したことを原点とする。1997年には舞台『秋の歌』で「第32回紀伊国屋演劇賞個人賞」を受賞するなど、舞台で「人間の深層」を描くことに情熱を注ぎ、その演技の幅を広げてきた。
彼女が「カメレオン女優」と称されるのは、舞台で培った卓越した表現力により、映像作品においても「近所のおばちゃん」から「貴婦人」、そして「意地悪な義姉」まで、多岐にわたる役柄に「人間味」を与えることができるためだ。特に2013年の朝ドラ『ごちそうさん』での西門和枝役は、その後のキャリアにおける「個性的な脇役」のイメージを決定づけたと言える。
彼女が演じる役柄は、その「特徴」や「個性」が際立っている。彼女自身、「普段あんまり『あなたね!』とか言えないけど、役では言えるのが楽しい」と、役柄の持つ「非日常」性への探求心があることを明かしている。役作りにおいては、時に「恐ろしくおごった考え」を持つことも厭わないといい、台本や演出家との緻密な相談を経て、その役の心理を深く掘り下げる姿勢を貫いている。
「レガシーは子孫だけではない」人生の哲学
キムラ緑子氏の魅力は、その演技力だけでなく、長年の経験から紡ぎ出された独自の「人生の哲学」にもある。彼女は、私的な経験や人気トーク番組での発言を通じて、「人生のレガシーは子孫だけではない」という考えを提唱している。作品、言葉、生き方そのものが、人との「つながり」や「影響」として残ることが価値であると説く。
また、61歳を過ぎた現在も「今を全力で生きる」ことを信条とし、「第二の人生を踏み出せるか踏み出せないかは、今なんですよね」と、常に前向きな姿勢を崩さない。彼女にとって、夢や欲がある限り、人生は常に新しいステージに踏み出せる。
この哲学は、彼女の今後の出演予定にも反映されている。2025年12月にはドラマ『京都殺人案内 涙そうそう沖縄・音川刑事の一番長い日!』への出演が控えるほか、2026年3月からは中井貴一氏と共演する舞台『リーディングドラマ「終わった人」』の全国ツアーが始まる。人生の転機を描くこの作品で、彼女が持つ「軽やかでユーモアとペーソス」のある演技が、観客にどのような共感を呼ぶのか、期待は高まるばかりだ。
キムラ緑子氏は、悪役を通じて主役を輝かせ、自身の哲学を通じて人生の複雑さを提示する。彼女の演技は、観客に「人間の深層」を覗かせ、私たち自身の生き方を見つめ直すきっかけを与え続けている。