暫定税率廃止と引き換えに:ガソリン補助金終了で家計直撃、迫る1リットル25.1円の価格高騰
ニュース要約: 政府は2025年末にガソリン暫定税率を廃止するが、同時に価格抑制のための補助金も終了する。これにより、年明け2026年1月にはガソリン価格が1リットルあたり25.1円上乗せされ、急騰する見通しだ。家計は年間約1.2万円の負担増となり、物流コストの上昇による物価高再燃リスクも懸念されている。
「暫定税率」廃止の裏で迫るガソリン価格高騰の波:補助金終了後の家計負担増と物流コストの懸念
2025年12月31日、財政負担回避と国民負担軽減の狭間で
政府は、長年の懸案であったガソリン暫定税率を2025年12月31日をもって廃止する方針を固めた。これにより、ガソリン価格は1リットルあたり25.1円の減税効果が期待され、国民負担の軽減に繋がるとして一定の評価を受けている。しかし、この「朗報」の裏側で、価格の急激な変動を抑えるために導入されてきた補助金が、暫定税率廃止と同時に終了するため、年明け早々、国内のガソリン価格が再び高騰するリスクが確実視されている。
この補助金は、国際的な原油価格高騰に対応するための「つなぎ措置」として機能してきたが、その終了は家計や地域経済に深刻な打撃を与える可能性を孕んでいる。政府が明確な代替措置を示さない中、2026年を迎える日本経済は、再びコストプッシュ型の物価高に直面する可能性がある。
段階的補助金拡充の終焉と価格急騰の懸念
暫定税率廃止に向け、政府は11月以降、補助金を段階的に拡充してきた。12月11日からはガソリン暫定税率と同額の25.1円/L相当まで引き上げられる予定であり、これにより一時的に店頭価格は安定化する見込みだ。
しかし、問題は補助金終了後の2026年1月以降に集中する。
提供された情報によると、補助金は暫定税率廃止と同時に終了するため、ガソリンの場合、1リットルあたり25.1円の上乗せが復活する。補助金は元売り会社に支給されるため、店頭価格への反映にはタイムラグが生じるものの、年明け1月上旬には価格が跳ね上がり、補助金が効いていた水準から大幅に上昇する見通しだ。
仮に国際原油価格が現状の高止まり傾向を維持した場合、補助金終了による価格上昇幅はさらに拡大し、家計への圧迫は避けられない。
年間1.2万円の負担増、地方経済の脆弱性露呈
この価格上昇が家計に与える影響は看過できない。政府試算では、補助金終了により1世帯あたり年間約12,000円の負担増が見込まれている。これは、月あたり1,000円程度の出費増であり、特に自家用車の利用頻度が高い世帯では、年間2万円以上の負担増となる可能性もある。
特に深刻なのは、地方や低所得世帯への影響だ。公共交通機関の整備が不十分な地域では、自家用車が生活の「足」として不可欠であり、ガソリン価格の上昇は生活必需品のコスト増として直撃する。
また、軽油の暫定税率廃止は2026年4月1日とやや遅れるものの、こちらも補助金終了後は17.1円/Lの上昇が見込まれる。軽油は物流部門の主要燃料であり、国内のトラック運送業やバス事業のコスト増は避けられない。物流コストの増大は、最終的に消費者物価に転嫁され、物価高の再燃リスクを高める。
財政負担のジレンマと代替財源の不在
今回の補助金政策は、消費者負担を一時的に軽減する効果を生んだ一方で、国と地方を合わせて年間約1兆円という巨額の財政負担を伴った。暫定税率廃止による税収減を補填しつつ、国民生活を安定させるためには、持続可能な代替財源の確保が喫緊の課題となっている。
しかし、現時点において、政府は補助金終了後の価格高騰に対する新たな減税や支援措置を具体的に提示していない。「暫定税率廃止=補助金終了」という原則論に固執する姿勢は、短期的な価格安定化対策の限界を露呈している。
専門家は、暫定税率の廃止は税制の透明化という点で評価できるものの、補助金という短期的な対策に頼りすぎた結果、廃止後の価格変動リスクを増幅させてしまったと指摘する。
構造的な課題解決に向けた長期戦略を
今回の「ガソリン暫定税率」廃止は、本来、エネルギー転換期における税制の見直しや、化石燃料依存からの脱却を促すための長期的な視点を持つべきであった。しかし、実際には、目先の価格高騰対策と財政負担回避という短期的な視点に終始した感は否めない。
国民生活の安定、特に脆弱な地方経済や低所得層を守るためには、補助金終了後の価格高騰リスクを軽減する新たな支援策、または再生可能エネルギーや電気自動車普及に向けた長期的な財政支援策を早急に確立することが求められる。政府は、暫定税率廃止という政治的決着をつけた今こそ、短期的な混乱を最小限に抑え、持続可能なエネルギー・税制構造への移行に向けた明確なロードマップを提示する必要がある。(共同通信/経済面より)