インフルエンザ猛威で流行長期化:未成年を襲う「異常行動」と転落事故を防ぐ緊急対策
ニュース要約: 2025年のインフルエンザ流行は異例の早さで長期化の懸念が高まっています。特に警戒すべきは、未成年者に多発する高熱に伴う「異常行動」による転落・飛び降り事故の再発です。厚労省は、発熱後2日間は目を離さず、窓やベランダの施錠を徹底する「二日間ルール」を呼びかけており、家庭内での緊急安全対策が急務となっています。
インフルエンザ猛威、流行は長期化へ—未成年を襲う「異常行動」と転落事故を防ぐための緊急対策
2025年11月17日現在、日本列島はインフルエンザの本格的な流行期を迎えています。今年の流行は例年と様相が異なり、9月末から10月上旬という異例の早さで全国的な感染拡大が始まりました。国立感染症研究所などの情報によれば、新型コロナウイルス対策の緩和や海外からのウイルスの持ち込み増加が背景にあり、ピークは12月下旬から1月上旬と予測されながらも、長期化の懸念が指摘されています。
しかし、この流行の中で、我々が最も警戒すべきは重症化リスクだけではありません。インフルエンザ罹患中に発生する「異常行動」による、痛ましい転落・飛び降り事故の再発です。
未成年を襲う異常行動:命に関わるリスク
インフルエンザ感染に伴う「異常行動」とは、突然走り出す、興奮する、話しかけても反応しない、といった行動を指し、特に10歳代を中心とする未成年者に多く報告されています。
過去、タミフル服用後の事例が注目された時期もありますが、現在の医学的見解では、異常行動は抗インフルエンザ薬の有無にかかわらず、インフルエンザウイルスが引き起こす高熱や脳炎・脳症などの影響、あるいは「熱せん妄」によって発現することが明らかになっています。
提供された情報によると、2001年から2008年にかけて、未成年者の転落や飛び降りによる死亡事例が8件報告されています。そして、2025年11月現在も、インフルエンザ療養中の未成年者が高所から転落する事故が報じられており、東京都杉並区では、発熱中の小学1年生の男児が在宅中に4階のベランダから転落し、搬送されるという痛ましい事例が発生しています。
これらの事故の特徴は、発熱後1日以内、つまり病気の初期段階に集中している点です。異常行動による転落や飛び降りは、直接的に生命を脅かす重大なリスクであり、インフルエンザ流行期における最優先の危機管理事項として認識されなければなりません。
家庭で徹底すべき緊急対策と看病の原則
こうした異常行動による事故を防ぐため、厚生労働省や医療機関は、家庭での徹底的な安全対策を強く呼びかけています。
看病時の「二日間ルール」 異常行動は発熱後少なくとも2日間、特に集中して発生します。この期間、患者、特に未成年者や高齢者を決して一人にせず、常に目を離さないことが鉄則です。
- 環境の徹底的な見直し
- 窓やベランダ、玄関には必ず施錠し、患者が容易に開けられないようにします。特にベランダの手すり付近に足場となるものを置かないよう徹底します。
- 異常行動発生時の対応
- 突然走り出す、徘徊する、窓やドアを開けようとするといった行動が見られた場合は、無理に叱責せず、すぐに制止して安全な場所に留まらせます。意識障害や激しい異常行動が続く場合は、速やかに医療機関に連絡し、専門的な指示を仰がなければなりません。
- 薬剤の適切な使用
- 抗インフルエンザ薬の服用を過度に恐れる必要はありません。医師の指示に従い、正しく服用しつつ、異常行動のリスクはインフルエンザ感染そのものに起因すると理解し、看病体制を強化することが重要です。
流行の長期化に備えたワクチン戦略
今年のインフルエンザは流行開始が早かったため、本来であれば9月下旬から10月上旬の早期接種が望まれていました。今後も流行が長期化する懸念があるため、未接種の方は、感染予防と重症化リスク軽減のため、速やかに接種を検討すべきです。
ワクチンは感染自体を完全に防ぐものではありませんが、特に高齢者や基礎疾患を持つ方々にとって、生命に関わる重症化を防ぐための最も有効な手段です。また、今年の流行株はA型が主流であり、1シーズン中にA型とB型の両方に感染する可能性も指摘されており、油断は禁物です。
まとめ
2025年冬のインフルエンザ流行は、単なる季節性の風邪とは異なる深刻なリスクを伴っています。我々は、その裏に潜む「異常行動による転落事故」という、命に関わる危険性を決して忘れてはなりません。流行が終息に向かうまで、家庭内での徹底した監視と安全対策、そして地域全体の警戒体制の維持が、大切な家族の命を守る鍵となります。