いすみ市長選2025:小路正和氏が初当選、長年の停滞打破と「いすみ鉄道」復旧へ
ニュース要約: 2025年11月30日投開票のいすみ市長選挙は、元県議の小路正和氏(57)が現職引退後の激戦を制し初当選を果たした。市は20年ぶりの「世代交代」を選択。小路氏は、地域経済の鍵となる「いすみ鉄道の早期復旧」と防災・地域医療の強化を公約に掲げ、高い投票率が示す市民の期待を背負って新市政を担う。
いすみ市長選挙2025:小路正和氏が激戦制し初当選、現職引退後の「世代交代」選択
2025年11月30日に投開票が行われたいすみ市長選挙は、現職の太田洋市長(77)が5期20年で勇退する異例の状況下、無所属新人3名による激しい選挙戦となった。その結果、元千葉県議会議員で無所属新人の小路正和氏(57)が、他の候補者を退け、初当選を果たした。市は長年の太田市政から、新しいリーダーによる「世代交代」を選択した形だ。
投票率は62.43%に達し、前回2021年の54.21%を8.22ポイント大きく上回った。現職の引退、そして地域が抱える喫緊の課題への対応が争点となったことから、市民の市政に対する関心の高まりが明確に示された結果となった。
多党派の推薦を得た小路氏、喫緊の課題解決を公約
初当選を果たした小路氏は、元県議として10年の実績を持ち、今回のいすみ市長選挙では自民党、立憲民主党、千葉維新の会、国民民主党という複数の主要政党から推薦を受ける手堅い政治基盤を構築した。
小路氏が選挙戦を通じて強く訴えたのは、「停滞からの脱却」と「直面する危機への対応」である。主要公約の柱は、市民生活の安全に直結する防災体制の強化と、高齢化社会に対応するための地域医療の充実だ。
中でも、地域経済再建の鍵として市民の注目を集めたのが、運休が続くいすみ鉄道の早期復旧・存続である。2024年の脱線事故以来、全線運休が続く同鉄道は、地域住民の重要な交通手段であると同時に、観光資源としても極めて重要だ。小路氏は、この復旧を最優先課題とし、地域交通網の再編を通じて利便性向上を図ることを約束した。
激戦の構図:経験と実績、そして新たな視点のぶつかり合い
今回のいすみ市長選挙は、小路氏のほか、元いすみ市議の高原和江氏(54)、元東金市議の佐久間治行氏(75)の無所属新人3名が立候補し、それぞれの実績と政策をぶつけ合った。
高原和江氏は、NPO法人や商工会での活動経験を活かし、地域資源(農業・観光)を強化する「いすみブランド」の確立、そして移住・定住促進による若年層の呼び込みを主要な地域経済再建策として掲げた。特に、きめ細やかな少子高齢化対策として、子育て支援の拡充と多世代共生型まちづくりを訴えた。
一方、佐久間治行氏は、自身の農業経営者としての視点から、農林水産業の振興と地産地消の推進を強調。長年の政治経験に基づき、学校教育の充実と医療体制の整備を公約に掲げ、地域への恩返しを訴えた。
しかし、結果として、元県議としての広範なネットワークと実行力、そして多党派の支持を得た小路氏が、市民の「変化と実行力への期待」を最も多く集める形となった。
投票率上昇が示す市民の危機意識
今回のいすみ市長選挙で特筆すべきは、**投票率 62.43%**という数値の高さだ。有権者数は継続的に減少傾向にある(2013年約3.5万人→2021年約3.2万人)中で、投票率が大幅に上昇した背景には、現職引退という大きな節目に加え、市民が抱える深刻な危機意識がある。
特に、いすみ鉄道の運休長期化は、単なる交通問題に留まらず、地域経済の停滞と直結している。また、急速な高齢化と人口減少は、地域医療の維持や、若者が定住できる環境整備という少子高齢化対策の緊急性を高めていた。
市民は、これらの課題解決に向けて、誰が最も実行力を持つのかを慎重に見極めようとした姿勢が、高い投票率となって表れたと分析される。
新市政への期待と課題
小路新市長は、強力な政党推薦を背景に、公約の実現に向けた実行力が期待される。特に、公約の核であるいすみ鉄道の早期復旧は、新市政の評価を左右する試金石となるだろう。復旧費用や運行体制の再構築には、県や国の支援が不可欠であり、元県議としての手腕が試される。
また、いすみ市長選挙で争点となった地域経済再建と少子高齢化対策は、持続可能なまちづくりに欠かせない両輪である。小路市政には、移住促進策と高齢者支援を両立させる多角的な政策展開が求められる。
長きにわたった太田市政からバトンを受け取った小路新市長の船出は、多くの期待と同時に、重い課題を背負うこととなる。新体制が、市民の期待に応え、いすみ市の未来を切り拓けるか、今後の動向が注視される。