55兆円市場の潮流:アスレジャーが「機能性ライフウェア」へ進化する2025年冬
ニュース要約: 2025年冬、アスレジャーはハイブリッドワークとウェルネス意識の高まりを受け、市場規模55兆円の「ライフウェア」として進化。防寒・防水などの機能性、ビジカジ融合、リサイクル素材利用などのサステナビリティを軸に、ポストコロナ時代の衣料革命を牽引している。
ライフウェアとしての進化:「アスレジャー」が牽引するハイブリッド時代の衣料革命
2025年冬、機能性と倫理を纏う市場規模55兆円の潮流
2025年冬、ファッション業界を席巻する「アスレジャー(Athleisure)」のトレンドは、単なるスポーツウェアの日常着化という範疇を超え、現代社会のライフスタイルの変化と、地球環境への配慮という二つの大きな流れを取り込みながら、新たな「ライフウェア」のカテゴリーを確立しつつある。特に、新型コロナウイルス禍を経て定着したハイブリッドワークや、若年層を中心としたウェルネス意識の高まりが、この市場の成長を強力に後押ししている。
調査によると、アスレジャーの世界市場規模は既に約55兆円に達し、2030年までにはこの規模が約2倍に膨らむと予測されている。この巨大市場を牽引するのは、極めて実用性の高い機能性と防寒性を兼ね備えたアイテム群だ。
冬の必須条件:防寒と防水の融合
今冬のアスレジャースタイルを象徴するのは、寒冷な気候に対応するための技術的な進化である。急な悪天候にも対応する防水加工を施したロングTシャツや、高い保温性を誇る裏起毛のボディスーツ、スウェットパンツが人気を集める。
特に、温度調整のしやすさから重ね着スタイルが定番化。軽量で暖かなボアベストをミッドレイヤーとして活用し、インナーにはサポート力の高いボディスーツを取り入れるコーディネートが、ジムから街中、さらにはアウトドアシーンに至るまで幅広く浸透している。韓国発のXEXYMIX(ゼクシィミックス)など、機能性とデザイン性を両立させたブランドが、この流れを加速させている。
オフィスと日常を繋ぐ「ビジカジ融合」
アスレジャーが日本社会で特に注目される背景には、働き方の多様化がある。リモートワークと出社が混在するハイブリッドワーク時代において、消費者は「オフィスでも違和感がなく、かつプライベートでも快適に着用できる」衣料を求めている。
これが**「ビジカジ融合スタイル」**として結実している。吸汗速乾性やストレッチ性といったスポーツウェア由来の機能を持ちながら、ジャケットやスラックスとして通用するスマートなデザインが鍵となる。スーツ専門店が提案する「パジャマスーツ®」とアスレジャーの融合もその一例であり、通勤からトレーニング、帰宅まで1着で対応可能な汎用性の高いアイテムが、ビジネス層にも受け入れられ始めている。
サステナブル・アスレジャーの台頭
単なる快適性や利便性だけでなく、環境への倫理的配慮もアスレジャーの進化の重要な側面となっている。地球環境問題への意識の高まりを受け、サステナブル・アスレジャー市場は急速に拡大している。
多くのブランドが、リサイクル素材やバイオベースの繊維を積極的に採用し、バージンポリエステルへの依存を減らす動きを見せている。特に、ペットボトルなどのプラスチック再生繊維の活用は業界のスタンダードとなりつつある。また、有害な殺虫剤を使わないオーガニックコットンや、責任ある素材調達を示すFSC認証取得素材の利用も広がっている。
さらに、自然環境に悪影響を及ぼすとされるPFC(有機フッ素化合物)の撥水加工から完全に脱却し、PFC不使用へと転換する企業(KEEN、Patagoniaなど)の取り組みは、消費者の倫理的購買意欲を刺激している。機能性と環境負荷低減の両立が、今後のアスレジャー製品開発の必須要件となっている。
若者トレンドとSNS文化の緊張関係
若者世代、特にZ世代やミレニアル世代は、アスレジャーを自己表現のツールとして活用している。彼らは「健康的なライフスタイルを反映する服」を重視し、海外セレブの影響を受けながら、スポーツブラやボディスーツを普段着に取り入れ、SNS上で独自の着回し術を発信している。
一方で、この「露出+機能性」というスタイルが、社会的な議論を巻き起こす側面もある。公共の場でのタイトなレギンス着用を巡る是非など、アスレジャーの「自由なファッション」と、職場や学校の服装規定、あるいは社会的な価値観との間で、緊張関係が生じている。
アスレジャーは、機能性、快適性、そして環境倫理という現代社会の主要なテーマを内包し、単なる一過性の流行ではなく、ポストコロナ時代の新しいライフウェアとして定着しつつある。日本の消費者は、この進化するアスレジャーをいかに賢く、そして倫理的に取り入れていくかが問われている。(了)