ゴンチャ、タピオカブーム後「新章」へ:あまおう®投入とカスタマイズ戦略でティーカフェの地位確立
ニュース要約: 台湾発ゴンチャは、タピオカブーム後「高品質なティーカフェ」へ戦略転換。高度なカスタマイズとモバイルオーダーで成長を維持し、全国195店舗体制を構築。冬商戦では高級いちご「あまおう®ホリデー」を投入するほか、クルー発案のヒット作「台湾豆花」で新たな顧客体験を提供し、市場での地位確立を加速させている。
ゴンチャ、タピオカブーム後「新章」へ 高級いちご「あまおう®ホリデー」投入で冬商戦
カスタマイズ戦略が奏功、全国195店舗体制で「ティーカフェ」の地位確立へ
【東京】台湾発のティーカフェチェーン「ゴンチャ(Gong cha)」が、日本上陸10周年を迎える2025年に向け、「新章ゴンチャ」としてブランドの再定義を加速させている。一時のタピオカブーム沈静化後、同社は単なるブームの牽引役から脱却し、「高品質なティーカフェ」としての地位確立を目指す戦略を推進。顧客体験(CX)の向上とメニューの多様化を両輪で進め、市場での優位性を維持している。
特に冬の商戦に向け、ゴンチャは季節限定の目玉商品を投入する。11月27日(木)からは、福岡県産の高級いちご「あまおう®」を贅沢に使用した「あまおう®ホリデー」シリーズを全国で期間限定販売する。甘酸っぱくジューシーな味わいが特徴の同シリーズは、ミルクティーやティーエードなど3種類をラインナップ。モバイルオーダー先行販売を経て、本格的な展開が図られる。
クルー発案の「台湾豆花」がヒット
季節限定メニューに加え、ゴンチャの従業員(クルー)のアイデアを商品化する「クルーチャンピオンシップ2025」の優勝ドリンクにも注目が集まっている。
2025年初冬に発売された優勝作「台湾豆花の贅沢ミルクティー」は、SNS投票で47,000票以上を集めた話題の新作だ。台湾の伝統的なスイーツである「豆花(トウファ)」をトッピングとして採用し、ぷるっとした食感とミルクティーの組み合わせが、従来のタピオカ(パール)とは異なる新しいデザート体験を提供している。
このクルー発案のメニューは、顧客の嗜好の多様化と、商品開発における現場の活力を示す事例として機能している。候補には「ホワイトスノーキャラメルミルクティー」や「金木犀香る(早生)みかんミルクティー」など、冬らしい温かみのある商品も挙がっており、季節感の演出に余念がない。
ブーム終焉を見据えたブランド再構築
ゴンチャがブーム後の市場で成長を続ける背景には、明確な戦略転換がある。同社はコーヒー販売を取りやめ、厳選された茶葉とカスタマイズ性を強みとする「お茶」に特化することで、ブランドの品質を高めた。
市場分析によると、現在の売上ランキングでは、定番の「ブラックミルクティー+パール」が不動の1位を保つ一方で、香り高い「阿里山ウーロンミルクティー」や、カフェインレスの「ハニーレモンジュース」が上位に食い込んでいる。これは、顧客が単に甘いデザートドリンクとしてではなく、日常的に楽しめる「高品質なお茶」を求めていることの証左と言える。
さらに、顧客接点のデジタル化も進んでいる。モバイルオーダーの導入やCRM(顧客関係管理)の強化といったオペレーションDXを推進し、利便性の向上を図ることで、顧客の再訪問を促している。
SNSで拡散する「裏メニューカスタマイズ」の熱狂
ゴンチャの成功を支える大きな要因の一つが、高度なカスタマイズ性である。これがSNS上で「裏メニューカスタマイズ」という現象を生み出し、若年層を中心に熱狂的に支持されている。
特に人気なのが、定番ドリンクに複数のトッピングを組み合わせる手法だ。例えば、「ブラックミルクティー」に「パール」と「豆花」の両方を追加するカスタムは、もちもち感ととろぷる感という異なる食感を同時に楽しむ「飲むデザート」として、「#ゴンチャ裏メニュー」などのハッシュタグとともに拡散されている。
また、甘さ控えめを好む大人層には、「阿里山ウーロンミルクティー」にタロイモ味のタピオカ「タロパール」を追加するカスタムが人気だ。顧客自身がドリンクを創作し、その体験を共有できる点が、高いリピート率と話題性の源泉となっている。
全国195店舗体制と地域限定メニューの展開
ゴンチャは2025年11月現在、全国に約195店舗を展開し、東名阪を中心に出店を加速させている。2026年1月には東京都江東区に「有明ガーデン店」の開店が予定されているほか、佐賀県や石川県など新たなエリアへの進出も積極的だ。
店舗数の拡大と並行し、地域性を尊重したローカライズ戦略も展開している。京都二寧坂店限定の「宇治抹茶 ミルクティー」のように、地域ごとの特産品や文化を取り入れたメニューは、その土地ならではの特別感を演出し、地域住民や観光客からの評価を高めている。
同社は2028年までに店舗数・年間来店客数ともに拡大を目指しており、高品質なティーの提供と、顧客の嗜好を捉えた柔軟なカスタマイズ戦略を武器に、日本のカフェ文化において「ティーカフェ」という確固たる地位を築きつつある。(了)