有馬記念展望:中山競馬場の「魔の2500m」を制す鍵と進化するグルメの魅力
ニュース要約: 12月28日に開催される第70回有馬記念の舞台、中山競馬場に注目が集まっている。スタート直後のコーナーとゴール前の急坂が特徴の「魔の2500m」は、内枠・先行馬有利が定石。今年の有力馬の仕上がりが勝敗を分ける。また、中山競馬場は競馬以外にも、梅屋のそばや鳥千のフライドチキンなど、多彩なグルメスポットや家族向け施設が充実し、複合レジャー施設として進化を遂げている。
暮れのグランプリへ熱気高まる トリッキーな中山競馬場が持つ「二つの顔」— 有馬記念展望と進化するグルメスポット
11月も半ばを過ぎ、競馬ファンの視線は年末の大一番、第70回有馬記念(GⅠ)が開催される千葉県の中山競馬場に集中している。2025年12月28日、日本の競馬シーンを締めくくるこの祭典に向け、舞台となる中山競馬場は、そのトリッキーなコース特性と、近年進化を遂げた複合施設としての魅力で、いま改めて脚光を浴びている。
魔の2500m、有馬記念の舞台裏
有馬記念の舞台となる芝2500mは、中山競馬場を象徴する特殊なコースだ。スタート直後すぐに3コーナー、4コーナーを迎えるため外枠は極めて不利とされ、内枠の優位性が顕著となる。さらに小回りで起伏が激しく、6つのきついコーナーと、短い直線(約310m)の先に待ち受けるゴール前の急坂が、スタミナと根性を試す。
この難関を制するのは、ロスなく好位を確保できる先行・好位差し馬が定石だ。今年の有力馬としては、春のグランプリ宝塚記念を制したメイショウタバル(武豊騎手)や、昨年の覇者レガレイラなどが年末の調整に入っている。彼らがこの特殊なコースでいかに枠順を活かし、急坂を乗り越えるか。その仕上がりが勝敗を分ける最大の焦点となるだろう。
秋の波乱が示す中山コースの厳しさ
中山競馬場が単なる「内枠有利」だけでは語れないことは、秋開催の重賞の結果からも明らかだ。特に9月のスプリンターズステークス(GⅠ)では波乱の結果となり、改めてこのコースが持つ奥深さを示した。
内枠・先行馬が有利な傾向が強い一方で、ゴール前の急坂は展開を一変させる「魔の坂」となる。人気薄の差し・追い込み馬が、この坂で巻き返し、高配当をもたらすケースも少なくない。脚質別成績を見ても、逃げ馬の馬券絡み率50%に対し、差し馬も35%を占めるというデータは、展開一つで逆転が起こり得る中山特有の緊張感を物語っている。
秋の重賞で好走した馬たちは、年末の有馬記念へ向けて、この急坂をどう攻略するかの戦略を練り直す必要がある。スタミナ勝負が求められる長距離戦では、ペース配分と最後の瞬発力が勝負を分けるため、各陣営の駆け引きが注目される。
グルメと家族連れを魅了する「複合施設」への進化
中山競馬場は、レースの興奮だけでなく、家族連れや一般の来場者も楽しめる複合施設へと進化を遂げている点も見逃せない。
場内グルメの充実ぶりは特筆に値する。長年ファンに愛される「梅屋」のそば・うどんはもちろん、地下1階「鳥千」の絶品フライドチキンは、「中山に来たら必食」とされる名物だ。スティックハウス パドックVの「がぶりチキン」も、アルコールのお供として高い人気を誇る。
さらに、こだわりを持つ専門店が次々と登場している。馬場内エリアの「飯処 福麺」は、日替わりの「隠し味」が光る奥深い旨味のラーメンを提供。牛ハラミ丼が人気の「ココロ焦ガレ」など、専門性の高い飲食店が軒を連ね、食の選択肢は格段に広がった。
また、2025年9月にはスポーツ紙大手の東スポが運営する「東スポ食堂」もオープンし、丼ものや餃子など、ビールに合うメニューが揃っている。
競馬ファン以外も楽しめる施設も充実している。お子様向けには、ふわふわした感触が人気の「くものじゅうたん」やアスレチック施設が完備されており、馬とのふれあいイベントも定期的に開催される。パドック周辺の歴史展示や、けやき公苑など、レース観戦の合間に憩える空間も豊富だ。
このように中山競馬場は、単にギャンブルの場ではなく、多彩なグルメとエンターテイメントを提供する、地域に根ざした大規模レジャー施設としての地位を確固たるものにしている。年末のグランプリ開催を控え、極限のドラマを生む舞台として、そして人々が集う賑わいの場として、中山競馬場への期待は高まるばかりだ。その多面的な魅力を堪能しに、この冬、足を運んでみてはいかがだろうか。