アンチェロッティ・ブラジル、セネガル撃破で進化!新星躍動の裏で守備の要ガブリエウ負傷
ニュース要約: アンチェロッティ監督率いるブラジルがセネガルを2-0で撃破。新星エステヴァンの活躍や効率的な速攻で戦術の進化を示した。一方で、試合終盤に主力DFガブリエウ・マガリャンイスが負傷交代。2026年W杯に向け、世代交代の光と、守備再編の課題が露呈した。
アンチェロッティ体制下のブラジル、進化と課題が露呈 セネガル撃破も主戦DF負傷に懸念
2025年11月16日
サッカーブラジル代表は15日(日本時間16日未明)、ロンドンのエミレーツ・スタジアムで行われた国際親善試合でアフリカの強豪セネガル代表と対戦し、2-0で勝利を収めた。この勝利は、カルロ・アンチェロッティ監督が率いる「新セレソン」が、2026年ワールドカップ(W杯)に向けて着実に戦術を浸透させている証拠と言える。しかし、試合終盤に主力DFガブリエウ・マガリャンイスが負傷交代するという、大きな懸念材料も残された。
新星エステヴァン躍動、効率重視の速攻が機能
今回のセネガル戦は、ブラジルにとってアフリカ勢との連戦初戦であり、10月の日本戦での敗戦(2-3)からの仕切り直しを図る重要な一戦だった。相手のセネガルは、この試合まで実に26試合も無敗を維持していた強豪だ。
試合はブラジルの効率的な攻撃が光る展開となった。前半28分、左サイドでヴィニシウスと連携した若手MFエステヴァンが先制点を奪取。さらに35分には、セットプレーからカゼミーロが押し込み追加点を挙げた。
特筆すべきは、ブラジルの戦術的な変化である。アンチェロッティ監督は就任以来、欧州トップレベルの戦術的柔軟性をもたらし、速攻とセットプレーの活用を徹底させている。この試合でも、ボール支配率(46%)ではセネガルに劣勢だったにもかかわらず、相手守備のズレを突く素早いカウンターと、磨き上げられたセットプレーで確実にゴールを奪い切った。
「サッカー王国」の伝統的なパスサッカーから脱却し、欧州的な「勝利至上主義」の効率性を持ち込んだアンチェロッティ監督の采配が、着実にチームに浸透していることが確認できた。特に、先制点を挙げたエステヴァンのような若手を積極的に起用し、世代交代を推し進める姿勢は、2026年W杯優勝という長期的な目標を見据えた布石と言えるだろう。
世代交代の光と、守備の要の負傷という影
この勝利でブラジル代表の未来に明るい光が差した一方で、深刻な懸念も浮上した。
後半64分、ディフェンスの要であるDFガブリエウがそけい部付近を痛めて負傷交代を強いられたのだ。アンチェロッティ監督は試合後、詳細な状態は翌日のメディカルチェックを待つとしたが、内転筋の負傷は長期離脱につながる可能性もあり、不安が残る。
ガブリエウは所属するアーセナルでも今季リーグ戦で強固な守備を支える不可欠な選手だ。彼の離脱はブラジル代表の今後の国際試合のディフェンス体制だけでなく、プレミアリーグの首位争いを続けるアーセナルにも大きな影響を及ぼすことになる。ブラジルがアンチェロッティ体制下で守備の再構築を進める中、守備の核となる選手の負傷は、まさに青天の霹靂と言えるだろう。
2026年W杯へ向けた再編プロジェクト
ブラジル代表は2022年W杯でのベスト8敗退という苦い経験を経て、伝統的な国内出身監督体制を破り、史上初の外国人監督としてアンチェロッティ氏を招聘した。これは単なる監督交代ではなく、「新たな代表像」の構築を目指す長期的なチーム再編プロジェクトである。
セネガル戦で見せた速攻やセットプレーの精度向上は、戦術的柔軟性を高めるという点で大きな成果だ。しかし、今回の試合で見られたボール支配率の低さや、守備陣のコンディション維持という課題も明らかになった。
2026年W杯までの残り約1年半、ブラジルは若手の成長を促しつつ、ガブリエウの負傷を含めた守備陣の再編という喫緊の課題にどう向き合うのか。今回の勝利は明るい材料を提供したが、その裏で抱えたリスクが、今後のチーム作りを大きく左右することになりそうだ。日本から見ても、世界最高峰のタレントを擁するブラジルが、欧州の知将の下でどのように進化していくのか、注目は尽きない。