【独自】京都華頂大学・華頂短期大学、2027年度以降の募集停止を決定—少子化再編の波
ニュース要約: 華頂学園は、京都華頂大学と華頂短期大学を2027年度以降、学生募集を停止し、段階的に閉学する方針を固めた。これは少子化と高等教育機関再編に対応するための措置で、2026年度入学生が最後の学生となる。高い就職実績を誇ってきた古都の伝統校の閉学決定は、今後の私立大学経営に大きな課題を突きつける。
【独自】京都華頂大学・華頂短期大学、2027年度以降の募集停止へ—再編の波、古都の学び舎が迎える転機
(2025年11月21日付 日本経済新聞 京都発)
京都華頂大学および華頂短期大学を運営する華頂学園は、このたび2027年度以降の学生募集を停止し、在学生の卒業をもって段階的に閉学する方針を固めた。2025年11月20日、少子高齢化と高等教育機関再編の波に対応するための組織見直しの一環として正式に発表された。地域社会に数多くの教育・福祉人材を輩出し、高い就職実績を誇ってきた古都・京都の学び舎が迎える大きな転機は、今後の私立大学の存続戦略に一石を投じるものとみられる。
I. 募集停止の背景と学園再編の経緯
京都華頂大学は、浄土宗宗祖である法然上人の教えを建学の精神とし、地域に根差した教育を提供してきた。しかし、人口減少に伴う18歳人口の減少は、地方私立大学にとって避けて通れない課題となっている。学園側は、少子化や社会のニーズの変化に対応し、教育体制の効率化と質の向上を目指した中長期的な再編計画を推進してきた。
その一環として、2025年には日本文化学部を新設するなど組織刷新を図ったものの、最終的に大学全体の規模縮小と再編が不可避と判断された。華頂短期大学も同様に、2026年4月に幼児教育学科で3年コースを新設する改編を行う一方で、総合文化学科の募集停止を決定しており、学園全体で構造的な見直しが進められていた。
この決定により、2026年度入試で入学する学生が、京都華頂大学および華頂短期大学における最後の入学生となる。
II. 最後の機会となる2026年度入試動向
閉学方針が発表された今、受験生にとって2026年度入試は、伝統ある華頂大学で学ぶ最後の機会となる。大学側は、受験生の混乱を避けるため、既存の入試制度を維持し、募集停止前の入試を円滑に進める方針だ。
2026年度入試では、一般選抜(A~D日程)、学校推薦型選抜(公募制)、総合型選抜(AO型)、大学入学共通テスト利用選抜など、多様な選抜方式が設けられている。特に、一般選抜のC・D日程では1教科1科目での受験が可能となっており、受験機会の確保に重点が置かれている。出願期間は年明け1月上旬から始まり、共通テスト利用選抜は併願受験も可能なため、戦略的な活用が求められる。
2024年実績の倍率は現代生活学部、食物栄養学科ともに1.5~2.2倍程度であり、偏差値は全国平均よりやや低い水準で推移している。ただし、募集停止が決定したことにより、受験生の動向が変化し、後期日程や定員枠の少ない学科では競争率が上昇する可能性も指摘されている。受験生は、早めの出願と、課題作文や面接対策を徹底することが必須となる。
III. 地域社会に貢献した教育の成果
京都華頂大学の最大の特色は、その立地を活かした「京都の歴史・文化を学ぶカリキュラム」にあった。日本文化学部では、京都の歴史、文学、伝統工芸、和食などをテーマにした体験型学習やフィールドワークを重視。また、生活情報学科では最新技術と伝統文化を融合させた学びを提供し、地域社会のニーズに応える教育を展開してきた。
この実践的な教育は、高い就職実績となって現れている。卒業生の就職率は非常に高く、近年はほぼ100%に近い水準を維持。特に公立の小中学校教諭、幼稚園教諭、保育士、社会福祉施設職員、地方公務員など、地域社会に直接貢献する職種への就職が目立っている。卒業生は専門資格を活かし、「人・家族・地域社会」への貢献度が高い職場で活躍しており、華頂大学が果たしてきた地域貢献は計り知れない。
IV. 閉学が示唆する高等教育の未来
伝統ある京都華頂大学と華頂短期大学の募集停止は、少子化の進行が私立大学経営に与える影響の深刻さを改めて浮き彫りにした。学園は閉学後も、卒業生への証明書発行やキャリアサポートなどの対応を継続する方針だが、地域社会の教育・福祉分野における人材供給源の一つが失われることになる。
今回の再編は、地方に位置する高等教育機関が、いかにして独自の強みを活かし、変化する社会に対応していくかという、重い課題を突きつけている。華頂大学の卒業生が培ってきた教育理念と地域貢献の精神は、形を変えて今後も京都の地に受け継がれていくことが期待される。