井上芳雄「円熟」の俳優哲学:『エリザベート』千秋楽、来年『坊っちゃん』へ挑む
ニュース要約: ミュージカル俳優・井上芳雄が「円熟」の境地を追求し、日本のエンタメ界を牽引。本日『エリザベート』が千秋楽を迎え、2026年には『アイ・ラブ・坊っちゃん』で夏目漱石役に挑む。テレビMCやラジオ番組、年末の帝劇特番MCなど、多角的な活動を通じて「ミュージカル界の広報部長」としての役割も果たしている。
井上芳雄、舞台俳優としての「円熟」を追求――『エリザベート』から『アイ・ラブ・坊っちゃん』へ、多角的な活動でミュージカル界を牽引
【東京発 2025年11月29日 共同通信】
ミュージカル界のトップランナーとして20年以上のキャリアを誇る井上芳雄氏(46)が、その「円熟」した演技と多岐にわたる活動で、日本のエンターテインメント界における存在感を一層高めている。本日、東京・東急シアターオーブで千秋楽を迎える大ヒットミュージカル『エリザベート』のフランツ・ヨーゼフ1世役をはじめ、来年の大作『アイ・ラブ・坊っちゃん』での夏目漱石役挑戦など、舞台に軸足を置きつつも、テレビのMCや特番出演を通じて「ミュージカル界の広報部長」としての役割も担う彼の現在地と、その俳優としての哲学に迫る。
舞台の深淵へ、役の人生を歩む哲学
井上芳雄氏の舞台俳優としての地位は揺るぎない。彼の演技の秘密は、卓越した歌唱力と、役柄の「人生を歩む」ことに徹する姿勢にある。
現在、東京公演の最終日を迎えたミュージカル『エリザベート』では、愛と孤独に苛まれる皇帝フランツ・ヨーゼフ1世を熱演。重厚な歴史の中で翻弄される一人の人間としての苦悩を、クラシックからポップスまでを網羅する幅広い歌唱力と、細部にまでこだわった演技で表現し、観客の心を強く揺さぶってきた。ゲネプロ映像公開時より、その歌唱力と演技力の高さは大きな話題を呼んでいる。
彼は、単に台詞を読み、歌を歌うのではなく、出演する作品ごとに「キャラクターの人生を深掘り」することを意識しており、長年の舞台経験から培われた即興性や、共演者との化学反応を活かす柔軟性も兼ね備えている。この徹底した役への没入こそが、彼の舞台に普遍的な感動をもたらす源泉となっている。
2026年、文学大作への挑戦と世代間共演
2026年の舞台スケジュールも既に注目を集めている。特に、5月から6月にかけて東京・明治座を皮切りに全国ツアーが予定されている新作ミュージカル『アイ・ラブ・坊っちゃん』では、主人公・夏目漱石役に挑む。
同作は、漱石の代表作「坊っちゃん」執筆に至るまでの苦悩や葛藤を描く本格的ミュージカルであり、井上芳雄氏の「人生を演じる」演技が最大限に活かされることが期待される。彼は、漱石という偉大な文学者の日常の細部、内面の葛藤を丁寧に演じきると見られており、舞台ファンの注目が集まっている。
また、同作で坊っちゃん役を演じる三浦宏規氏との初共演も話題だ。世代を超えた実力派俳優同士がどのような化学反応を生み出すか、舞台芸術界の関心は高い。この他、2025年12月からはシアタークリエでの『ダディ・ロング・レッグズ』への出演も控えており、舞台活動は依然として精力的に展開されている。
メディアを牽引する「ミュージカル界の広報部長」
舞台上での活躍に加え、井上芳雄氏はテレビやラジオといったメディアでの露出も飛躍的に増加させている。2021年4月よりNHK総合の音楽番組『はやウタ』でレギュラー司会を務めるほか、『行列のできる相談所』の新MCとしても活躍するなど、ミュージカルの枠を超えて幅広い視聴者層に認知されている。
特に年末年始の活動は、彼のエンタメ界における地位を象徴するものだ。12月29日には、自身の冠ラジオ番組『井上芳雄 by MYSELF』が放送400回を迎える記念放送が予定されており、長きにわたりファンとの一体感を大切にしてきた姿勢が窺える。
さらに、2026年2月28日に日本テレビ系で放送される特別番組「さよなら帝国劇場 最後の1日 THE ミュージカルデイ」では、市村正親氏、堂本光一氏と共にMCという大役を担う。114年の歴史に幕を下ろす帝国劇場という聖地の節目を飾ることは、彼がミュージカル界において担う「広報部長」的な役割の大きさを物語っている。彼はかねてより「ミュージカル界に恩返しをしたい」というテーマを掲げ、StarSとしての活動を含め、ミュージカルというジャンルを社会全体に広める役割を自ら担っている。
2025年は大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』への出演(重田貞一役)や、日比谷音楽祭への参加など、多岐にわたる活躍を見せた。井上芳雄氏は、常に「ゴールはない」としつつも、「何をやってもお客さんがいっぱい来てくれればそれがゴール」と語り、観客との一体感を最優先する姿勢を崩さない。舞台俳優としての「円熟」を極めながらも、常に前進と挑戦を続ける彼の歩みは、日本のミュージカル文化全体の地位向上に貢献し続けている。