ハメネイ師「排除」説で中東激震、ネタニヤフ首相が示唆…イラン体制崩壊の危機と後継者争いの行方
ニュース要約: イスラエルのネタニヤフ首相がイランの最高指導者ハメネイ師の「排除」を示唆し、中東情勢は戦後最大の転換点を迎えました。イラン国内では権力の空白による混乱や革命防衛隊の弾圧が続く一方、アフマディネジャド元大統領の再登板や王政復古を望む声も浮上。核開発問題を抱えるイランの体制存立危機は、国際秩序を塗り替える恐れがあります。
【テヘラン=エルサレム=共同】 中東情勢が戦後最大の転換点を迎えている。イスラエルのネタニヤフ首相が、イランの最高権威であるハメネイ師の「排除」を示唆するビデオ演説を行ったことで、イラン国内および国際社会に激震が走っている。一部SNS上で「ネタニヤフ首相 死亡」といった根拠不明の誤情報が拡散されるほどの緊迫感の中、事態は1979年のイラン革命以来となる国家体制の存立危機へと発展している。
ハメネイ師「死亡」説とイスラエルの強硬姿勢
ロイター通信など複数の主要メディアが伝えたところによると、イスラエルのネタニヤフ首相は2月28日の演説で、「ハメネイがもはや存在しない複数の兆候がある」と断言。イスラエル軍によるハメネイ師の住居およびイラン革命防衛隊(IRGC)司令官らへの攻撃が成功したことを示唆した。イスラエル当局の高官を引用した報道では、ハメネイ師が事実上「排除」されたと報じられているが、イラン政府側はこれを真っ向から否定しており、情報の錯綜が続いている。
そもそもイランの「最高指導者とは」、憲法に基づき立法・行政・司法の三権を統括し、軍の最高指揮権を持つ絶対的な権力者である。もしハメネイ師の死亡が事実であれば、専門家会議による後継者選定プロセスが動き出すことになるが、現在は暫定指導評議会による代行、あるいは軍部である革命防衛隊による事実上の戒厳状態への移行が懸念されている。
田中浩一郎教授が分析する「権力の空白」とアフマディネジャド氏
この未曾有の事態に対し、中東政治の権威である慶應義塾大学の田中浩一郎教授は、今後のシナリオについて厳しい見方を示している。田中氏は、ハメネイ師の不在がもたらす「権力の空白」が、イラン国内の権力闘争を激化させると指摘する。
特に注目されるのが、かつての強硬派大統領、アフマディネジャド氏の動向だ。田中教授の分析によれば、アフマディネジャド氏は革命防衛隊の一部勢力から支持を取り戻し、民衆のポピュリズムを煽ることで「ダークホース」として再登板する可能性を秘めている。しかし、過去に体制中枢から疎外された経緯もあり、現時点での再登板の確率は20〜30%程度とみられる。もし彼が再び権力を握れば、対イスラエル路線はさらに過激化し、中東全土を巻き込む本格的な戦争へ発展するリスクが高まる。
革命防衛隊の弾圧と「パーレビ国王」への回帰願望
テヘラン市内では現在、インターネットの遮断や革命防衛隊によるデモ隊への苛烈な鎮圧が続いている。しかし、体制への不満は限界に達しており、皮肉なことに、かつての「パーレビ国王」時代を懐かしむ声が若年層を中心に広がっている。
1979年の革命で崩壊したパーレビ王政時代は、独裁的側面はあったものの、親米・親西欧の近代化路線で経済的繁栄を謳歌した。現在の制裁と飢餓に苦しむイラン国民の間では、亡命中の王族への期待感や、世俗的な社会への回帰願望が、反政府スローガンとして現れ始めている。ロイターの取材に応じたテヘラン市民からは、「神権政治は終わった」という悲痛な叫びも漏れる。
混迷を極める後継者争い:アヤトラ・アラフィらの動向
現在、後継候補として名前が挙がっているのが、宗教界の重鎮であるアヤトラ・アラフィ氏(モフタヴィ・ケルマーニー師らの系統とされる)などの聖職者たちだ。しかし、彼らが革命防衛隊の実力行使を抑えられる保証はない。イスラエル側の主張通り、ハメネイ師と共に主要な司令官たちが殺害されているとなれば、組織の指揮系統は崩壊し、イランは「カキストクラシー(粗悪者統治)」の極致に至る恐れがある。
ネタニヤフ首相は、この混乱を「戦略的勝利」と捉え、イラン体制の完全な崩壊を狙ってさらなる軍事的圧力を強める構えだ。しかし、核開発疑惑を抱えるイランが追い詰められた末に「窮鼠猫を噛む」反撃に出る可能性も否定できない。
国際社会は今、イラン発の「中東大動乱」という未知の領域に足を踏み入れようとしている。ハメネイ師の生死という「事実」の確定が、世界の原油価格、ひいては21世紀の国際秩序を塗り替える決定打となるのは間違いない。
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