【円高警報】介入警戒とFRB利下げ観測で円ドル急落、2026年「130円台」現実味
ニュース要約: 東京外国為替市場では、介入警戒感とFRBの利下げ観測再燃が重なり、円ドル相場は156円台で円高圧力が強まっている。市場では2026年にかけて金利差縮小により130円台への大幅な円高シフトが予測されており、急変動リスクが高まる。日本経済は為替に依存せず、構造改革による基礎体力強化が急務だ。
円ドル相場、急転直下の円高圧力:介入警戒とFRB利下げ観測が重し、156円台で攻防
— 2026年に向けた「130円台」シフトの現実味、問われる日本経済の基礎体力 —
2025年11月25日の東京外国為替市場では、円ドル相場が1ドル=156円67銭前後で推移し、前週末比で小幅ながらドル安・円高の展開となった。朝方に156円台後半で取引が始まったものの、午後にかけて円買い圧力が強まり、上値の重い展開が続いている。市場の焦点は、目先の政府・日銀による為替介入への警戒感と、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測再燃という、二つの強力な円高要因に集約されている。
1.介入警戒と金利差縮小の短期的な影響
現在の為替ドル相場の上値を抑制している最大の要因は、日本政府による「円買い介入」への強い警戒感である。先週22日には片山財務相が市場を牽制する発言を行い、投機筋による一方的な円売りを抑え込む構えを見せている。この「口先介入」が効き、157円を超える水準では断続的に円売りポジションの巻き戻し(円買い)が発生し、相場を押し下げている。
一方で、米国側の金融政策も円高圧力を強めている。市場ではFRBが12月にも利下げに踏み切るという観測が再び高まり、日米金利差の縮小期待がドルの上値を抑えている。本日のニューヨーク市場では、米国の9月小売売上高や生産者物価指数(PPI)の発表が予定されており、これらの経済指標が米景気の減速を示唆すれば、利下げ観測がさらに強まり、円ドル相場は一段と円高方向へ傾く可能性が高い。
ただし、国内の政局不安も無視できない。高市政権の財政拡大路線に対する懸念から、日本国債の信認低下を警戒した円売り圧力も根強く残っており、156円付近には厚い買い注文が存在するなど、下値は堅い展開となっている。
2.2026年に向けた構造的円高への転換点
短期的な要因を超えて、2025年を通じて為替ドル市場の構造変化を牽引しているのは、日米の政策金利差の急速な縮小である。
長らく続いてきた日米の金融政策格差は、FRBが利下げサイクルに入り、日本銀行が緩やかながらも利上げを模索する中で、明確に縮小傾向にある。為替市場の基本メカニズムに基づけば、金利差の縮小は円買い・ドル売りの圧力を強める。この流れを受け、主要金融機関の多くは、2026年にかけて円ドル相場が大幅な円高にシフトすると予測している。
具体的には、モルガン・スタンレーは2026年第2四半期までに130円、野村證券も2026年12月には130円と、段階的な円高を予想している。これは、上場メーカーが2026年3月期首の想定為替ドルレートを平均141.6円(前期比1.9円の円高想定)としていることと比較しても、市場参加者の中期的な円高への確信の強さが窺える。もしFRBが予測通り大幅な利下げに踏み切れば、円ドル相場が130円台半ばまで急伸するシナリオも現実味を帯びる。
3.歴史的円安が残した構造的課題
近年、歴史的な円安水準を経験した日本経済は、複雑な影響を被ってきた。円安は輸出企業の収益を拡大させ、円ドル換算での利益増が株価を押し上げ、日経平均株価が歴史的な高値を更新する原動力となった。また、海外投資からの利益である第一次所得収支が経常収支の黒字を支える構造も確立された。
しかし、その裏側で、円安は輸入物価の高騰を通じて一般消費者の購買力を低下させ、個人消費の回復を妨げる最大の逆風となっている。さらに重要なのは、かつての円安局面とは異なり、企業の海外進出が進んだ結果、現在の円安は貿易収支の改善にほとんど寄与していない点だ。
専門家は、円ドルの名目レートの減価以上に、日本の経済成長率の低迷や生産性上昇率の鈍化といった「日本経済の実力低下」こそが、円の相対的な価値を押し下げている根源的な要因だと指摘する。
為替ドル相場は今後、金融政策の動向と地政学的リスクに左右されながら、急変動を続ける可能性が高い。日本が真に持続的な経済成長を達成するためには、単に為替変動に一喜一憂するのではなく、賃金上昇を伴う構造改革を断行し、経済の基礎体力を強化することが喫緊の課題となっている。(了)