JFL入れ替え戦：VONDS市原が劇的勝利で初昇格 アトレチコ鈴鹿は降格、三浦知良の挑戦に幕

【JFL・地域リーグ入れ替え戦】VONDS市原、悲願の初昇格 アトレチコ鈴鹿は降格決定 58歳三浦知良の挑戦、実らず

2025年11月30日、三重県鈴鹿市

日本フットボールリーグ（JFL）と地域リーグの命運を分けるjfl 入れ替え戦が30日、三重交通Gスポーツの杜鈴鹿で行われ、JFL15位のアトレチコ鈴鹿と、全国地域サッカーチャンピオンズリーグ準優勝のVONDS市原（ボンズ市原）が激突した。試合は延長戦にもつれ込む激闘となったが、延長前半に決勝点を奪ったVONDS市原が1-0で勝利。地域リーグの雄として3年連続で挑んだ入れ替え戦の壁を破り、クラブ史上初のJFL昇格を決めた。

一方、元日本代表FW三浦知良（58）が所属するアトレチコ鈴鹿は、延長後半から「キングカズ」を投入するも万事休す。2019年からの6シーズンにわたるJFL在籍に終止符を打ち、来季の東海リーグ降格が決定した。

延長戦の末、VONDS市原が掴んだ歴史的勝利

JFL残留を懸けたアトレチコ鈴鹿と、悲願のJFL昇格を目指すVONDS市原の一戦は、両チームの緊張感あふれる攻防が続き、90分間を0-0のまま終えた。

勝負を分けたのは延長前半7分だった。VONDS市原は右サイドからの浮き球のクロスに対し、FW加藤勇司ベサーナが頭でパスを受け、そのまま豪快なシュートをゴールネットに突き刺した。この虎の子の1点が、VONDS市原にとって歴史的な決勝点となった。

VONDS市原は過去2年間、このjfl 入れ替え戦で涙を飲んできた。地域リーグの厳しい戦いを勝ち抜きながらも、JFLへの扉は固く閉ざされてきたが、3度目の正直でついに壁を突破。千葉県市原市をホームとする同クラブは、来季、念願のJFLという全国舞台で戦う権利を獲得した。

アトレチコ鈴鹿の降格と58歳三浦知良の去就

敗れたアトレチコ鈴鹿は、今季JFLで7勝7分け16敗の15位に沈み、入れ替え戦に回る苦しいシーズンだった。この日の試合では、延長後半5分、58歳を迎えた三浦知良が投入された。プロ40年目のシーズンを迎え、今季もJFL最年長出場記録を更新し続けた「キングカズ」は、チームの起死回生を託されたが、ボールに触れる機会も限られ、状況を打開するには至らなかった。

アトレチコ鈴鹿は、クラブ経営や財政面で度々課題が浮上する中、三浦知良という稀有な存在の加入によって、集客面やメディア露出において大きな恩恵を受けてきた。しかし、今回の敗戦により、来季は再び地域リーグ（東海リーグ）へ活動の場を移すこととなる。

この降格は、クラブの収益構造に深刻な影響を及ぼすことが懸念される。JFL在籍時に比べてスポンサー収入や入場料収入が大幅に減少する可能性が高く、クラブ経営の安定化が急務となる。

昇格と降格が地域経済にもたらす波紋

このjfl 入れ替え戦の結果は、単にサッカーの勝敗に留まらず、両クラブが拠点を置く地域社会の経済にも大きな波紋を広げる。

VONDS市原のJFL昇格は、千葉県市原市にとって朗報だ。上位リーグへの昇格は、観客動員の増加、関連産業（宿泊、飲食、交通）への経済波及効果をもたらし、地域経済の活性化につながる。JFLクラブの昇格に伴う経済効果は、数億円規模に及ぶとの試算もあり、ボンズ市原の今後の成長は地域の一体感を高める原動力となることが期待される。

一方、アトレチコ鈴鹿の降格は、三重県鈴鹿市にとって厳しい現実を突きつける。降格による収益機会の減少は、クラブの財政基盤を弱体化させ、地域貢献活動への影響も避けられない。特に、三浦知良の今後の去就は、クラブの集客力とメディア価値を大きく左右する最重要課題となる。現役続行の可能性は低いとの見方もあるが、地域サポーターは「キングカズ」の動向に固唾を飲んで見守っている。

明暗を分けたjfl 入れ替え戦は、VONDS市原の新たな歴史の始まりとなり、アトレチコ鈴鹿にとっては再建への長い道のりのスタートを告げるものとなった。両クラブの来季に向けた戦略と、サッカー界のレジェンド三浦知良の決断に、引き続き注目が集まる。