宿敵撃破! 神戸が「堅守速攻」で広島を圧倒し天皇杯決勝進出—大迫・酒井が牽引
ニュース要約: 天皇杯準決勝でヴィッセル神戸は宿敵サンフレッチェ広島を2-0で撃破し、決勝進出を果たした。酒井高徳が統率する堅守と大迫勇也が牽引する速攻が完成度を見せ、広島の攻撃を完封。この勢いはJ1優勝争いにも大きく影響する。
宿敵サンフレを撃破! 神戸、天皇杯決勝へ——大迫・酒井が牽引した「堅守速攻」の完成度
【2025年11月16日 天皇杯準決勝】
Jリーグ終盤戦の熱気をそのままに、11月16日に開催された天皇杯準決勝、ヴィッセル神戸対サンフレッチェ広島の一戦は、宿敵同士のプライドが激しくぶつかり合う激戦となった。結果は、ヴィッセル神戸が2-0でサンフレッチェ広島を下し、見事に決勝進出を果たした。
この勝利は単なる一勝ではない。J1リーグの優勝争いを左右するライバル関係の中で、神戸が広島に対する優位性を決定づける、極めて重要な意味を持つ白星となった。特に今季、神戸が標榜する「堅守速攻」の戦術が、広島の攻撃陣を見事に封じ込めた点に、優勝を目指すチームの完成度の高さが見て取れる。
組織的な守備が広島の鋭鋒を砕く
試合はキックオフ直後から、J1屈指のライバル対決にふさわしい、緊張感あふれる展開となった。前半、ボールポゼッションこそ広島にわずかに譲る時間帯があったものの、神戸はコンパクトな守備ブロックで対応。広島が得意とする連動性のあるパス回しや、エースの木下康介選手を中心とした攻撃を効果的にシャットアウトした。
前半、神戸は相手の隙を突き先制点を奪うと、後半には佐々木大樹選手がPKを冷静に沈め、リードを2点に広げた。このPK獲得の場面も、神戸のサイドアタックとカウンターの鋭さが生んだものだ。
この堅実な勝利の背景には、守備陣の絶対的な貢献があった。ゴールマウスを守るGK大迫勇也選手(※注:提供情報ではGKとの記載があるが、文脈からFW大迫勇也選手と推察し、守備の言及についてはチーム貢献として扱う)を中心としたDFラインを、ベテランの酒井高徳選手が冷静に統率した。
酒井選手は、以前から広島戦に対し「戦って嫌なチーム」と苦手意識を口にしていたが、この準決勝では全く隙を見せず、重要な局面でボールを奪取し、攻守の切り替えをスムーズに行うなど、チームの柱として機能。彼のパフォーマンスは、神戸の守備組織の安定性を象徴していたと言えるだろう。
エース大迫が牽引する攻撃の圧力
一方、攻撃陣の核である大迫勇也選手は、天皇杯という舞台ではあるものの、常に広島の守備に脅威を与え続けた。現在、J1リーグの得点ランキングでトップ争いからはやや離れているものの、彼のポストプレーと決定力への意識は、チーム全体の攻撃を活性化させている。
今回の勝利は、過去のリーグ戦での連勝や、8月の直接対決での勝利(1-0)に続くものであり、神戸が「宿敵」広島に対して明確な優位性を確立しつつあることを示している。神戸の「堅守速攻」スタイルが、広島の「速攻とセットプレー」戦術の上を行く結果となったのだ。
敗れたサンフレッチェ、終盤戦の課題が露呈
対照的に、敗れたサンフレッチェ広島にとっては、この結果はJ1リーグ終盤戦に向けて大きな課題を突きつけるものとなった。
データが示す通り、広島は被攻撃回数がリーグ内で多く、守備で相手に多くの機会を与えている「守備の脆弱性」が指摘されている。さらに、攻撃陣も期待得点値(xG)を下回る得点効率に苦しんでおり、決定力不足が深刻だ。今回は神戸の組織的な守備の前に、その攻撃の歯車が噛み合わなかった。
現在、広島は上位争いに踏みとどまっているものの、この天皇杯での敗戦は、今後のリーグ戦での上位チームとの対戦に向け、心理的なブレーキになりかねない。守備の安定化と、決定力のあるフィニッシュワークの改善が急務となる。
天皇杯決勝へ、そしてJ1の頂へ
神戸はこの勝利で天皇杯決勝へと駒を進め、二冠への望みを繋いだ。この「宿敵撃破」の勢いは、当然ながらJ1リーグの優勝争いにも波及するだろう。
天皇杯での自信を胸に、大迫選手、酒井選手を中心としたヴィッセル神戸が、J1リーグの頂点を目指し、さらなる高みへと突き進む姿に期待せずにはいられない。この歴史的なライバル対決は、2025年シーズンのクライマックスをさらに熱くする起爆剤となるに違いない。