東洋エンジニアリング株価急落:大型案件損失で営業赤字転落、東証「特別注意銘柄」指定の衝撃
ニュース要約: プラント大手の東洋エンジニアリング(6330.T)の株価が急落。相次ぐ大型案件の損失計上による営業赤字に加え、東証による「特別注意銘柄」指定が重しとなった。ガバナンス懸念と日経平均除外によるパッシブ売りが重なり、投資家心理は冷え込んでいる。今後は脱炭素戦略と経営改善の実績が市場回復の鍵となる。
東洋エンジニアリング(株) 株価急落の深層:相次ぐ大型案件のつまずきと「特別注意銘柄」指定が重しに
【東京】 プラント・エンジニアリング大手の東洋エンジニアリング(株)(6330.T)の株価は、2025年11月下旬にかけて、年初来高値(3,120円、11月17日)から調整局面に入り、下落傾向を強めている。直近の株価は2,600円台前半で推移しており、市場の警戒感は依然として高い。同社の株価下落は、直近の決算における営業赤字転落に加え、東京証券取引所による「特別注意銘柄」指定という異例の事態が重なり、投資家心理を冷え込ませたことが背景にある。
相次ぐプロジェクト損失、中間期は営業赤字に転落
**東洋エンジニアリング(株)**の業績不安は、2025年3月期決算で既に明確となっていた。売上高は増収を達成したものの、営業利益は前期比61.4%減の25億円、純利益に至っては79.4%減の20億円と激減した。
利益を大きく圧迫したのは、海外および国内の大型プロジェクトにおけるコスト増加と遅延である。特に、ブラジルにおけるガス火力発電案件では工事終盤でのコスト超過が発生したほか、国内のバイオマス発電2案件では試運転段階でトラブルに見舞われ、工期が遅延。完成工事総利益率の低下が収益構造を直撃した。
さらに深刻なのは、2026年3月期第2四半期累計(4~9月)の連結決算だ。売上高は前年同期比で22.9%減少しただけでなく、営業損益は42億2,800万円の赤字に転落した。前年同期の黒字からの急激な悪化は、同社の収益基盤の脆弱さを浮き彫りにした。
市場信頼の崩壊:「特別注意銘柄」指定の衝撃
業績悪化に加え、市場の信頼を大きく損なったのが、2025年10月28日に東京証券取引所が同社を「特別注意銘柄(Security on Special Alert)」に指定したことだ。これは、内部管理体制の改善が急務であると東証が判断したことを意味し、企業統治に対する懸念が一気に高まった。
この指定と同時期に、同社が日経平均の構成銘柄から除外されることが発表されたことも、株価下落に拍車をかけた。指数連動型のファンドによる機械的な売り(パッシブ売り)が波状的に発生し、直後の数日間で東洋エンジニアリング(株)株価は大きくdownした。
財務体質の悪化も深刻だ。過去12四半期にわたり業績のボラティリティが高く、直近では純利益率がマイナスに転じている。自己資本比率は30%を下回る水準に低下し、有利子負債が増加傾向にあるなど、財務基盤の脆弱さが競合他社と比較しても際立っている。
3,000円台からの調整局面、投資判断は二分
東洋エンジニアリング(株)(6330.T)の株価は、年初来安値(530円、4月7日)から大幅に回復した後、11月17日に3,120円の高値を付けた。しかし、その後の業績懸念と特別注意銘柄指定を受け、現在は高値から約15~20%の調整局面に突入している。11月28日の終値は2,644円だった。
テクニカル分析上では、高値からの急な下落は押し目買いの機会と捉える向きもある。しかし、業績面での不透明感が払拭されない限り、長期的なトレンド転換への警戒は続かざるを得ない。実際、アナリストのコンセンサスでは「強気買い」評価がある一方、平均目標株価は830円と、現在のstocks水準から大幅な下落を示唆する厳しい予測も存在しており、市場の評価は大きく割れている。
「超安定経営」への回帰と脱炭素戦略の成否
経営陣は、過去の教訓を踏まえ、「超安定経営」の継続を明言し、高リスクなプロジェクトの選別受注や、利益率の高い非EPC(設計・調達・建設)案件へのシフトを急いでいる。
特に注目されるのが、脱炭素化に向けた新たな成長戦略だ。中東や東南アジアを中心に、再生可能エネルギーを活用したグリーン水素・アンモニア生産プロジェクトを推進し、CO₂回収・貯留(CCS)やカーボンリサイクル技術の開発を加速させている。
同社は、海外EPC案件の強化に加え、脱炭素化関連プロジェクトの早期収益化を通じて、有利子負債の削減と自己資本比率の向上を目指すとしている。しかし、市場が求めるのは言葉ではなく、経営改善の実績だ。
東洋エンジニアリング(株)の株価が真の回復基調に乗るためには、過去の大型プロジェクトで繰り返された損失計上の轍を踏まず、脱炭素分野での大型案件受注と、その着実な遂行による収益構造の多角化が不可欠となる。市場は、今後の第3四半期決算や、立て直しに向けた具体的な進捗報告を厳しく見極めることになるだろう。