栃木SC J3最終戦勝利も7位終幕 J2復帰へ課題山積、小林監督体制の継続は?
ニュース要約: 栃木SCはJ3最終戦に勝利し、7位でシーズンを終えた。1年でのJ2復帰は叶わず、来季もJ3で戦うことが確定。小林監督体制は守備を安定させたが、慢性的な得点力不足が昇格を阻んだ。来季へ向け、若返りや補強を進める栃木SCは、J2復帰に向けて真価が問われる。
【J3終幕】栃木SC、最終戦勝利で7位フィニッシュ 来季J2復帰へ課題山積 小林監督の去就と新体制の展望
(2025年11月23日 カンセキスタジアムとちぎ発 共同通信)
サッカー明治安田J3リーグは23日、各地で最終節を迎え、全日程を終了した。J2復帰を目指した栃木SCは、ホームのカンセキスタジアムとちぎでAC長野パルセイロと対戦し、2-0で快勝。有終の美を飾った。この結果、栃木SCは2025年シーズンを12勝7分10敗、勝ち点31の7位で終幕した。昨季J2から降格し、1年での再昇格を目標に掲げたシーズンであったが、昇格圏には届かず、来季もJ3で戦うことが確定した。
最終戦を白星で飾るも、昇格争いには絡めず
最終戦、栃木SCは長野を相手に、今季培ってきた堅守を基盤とした戦いを見せ、クリーンシートでの勝利を収めた。2024年にJ2で低迷し自動降格圏に沈んだチームは、2025年シーズンを通して残留争いからは脱却し、安定した中位を維持した点は評価できる。しかし、昇格を目標としていたクラブにとっては、7位という順位は満足のいく結果ではない。
今年のJ3リーグは、昇格争いが例年以上に熾烈を極めた。特に、同じ栃木県を拠点とする栃木シティが首位でJ2昇格を確定させたことは、栃木SCにとって大きな刺激であると同時に、地域内での存在感を問われる結果となった。2位の八戸もJ2昇格を果たし、J3の競争の厳しさが改めて浮き彫りとなった。
小林体制の評価と「得点力不足」という構造的課題
2024年5月から指揮を執る小林伸二監督は、チームの守備意識を徹底し、再建の道筋をつけた。しかし、シーズンを通して慢性的な「得点力不足」が解消されず、勝ち点を取りこぼす展開が続いた。今季の総得点数は昇格チームと比較しても見劣りし、これが昇格争いに絡めなかった最大の要因とされている。
小林監督は、現時点では2026年シーズンの続投が明言されていないものの、「ここまできたチームをもっと強くしたい」と前向きな姿勢を示しており、体制継続の可能性が高い。しかし、クラブがJ2復帰を至上命題とする以上、来季は結果が厳しく問われることになる。
監督体制を支える動きとして、2025年8月には元新潟監督の樹森大介氏がトップチームコーチに就任するなど、指導体制の強化も図られている。若手育成と戦術の落とし込みを担うコーチ陣の拡充は、来季のチーム強化の鍵を握るだろう。
2026年へ向けた編成の動き:若返りと地元選手の満了
シーズン終了と同時に、栃木SCは2026年シーズンに向けたチーム編成を加速させている。
特に注目を集めたのは、地元出身選手の動向だ。栃木SCユースから法政大学を経てトップチームで活躍してきたDF黒崎隼人選手が、2025シーズンをもって契約満了となることが発表された(9月9日付)。地元出身の功労者の退団は、クラブの若返り戦略を象徴している。
一方で、将来を見据えた新戦力の補強も進んでいる。東海大学からMF堤陽輝選手、DF田畑知起選手の2名が2026年シーズンからの加入が内定しており、両選手は2025年シーズン中に特別指定選手としてチームに帯同し、プロの環境に慣れる機会を得ている。この積極的な大学からの獲得は、小林監督が掲げる「若手育成」路線を継続する方針を示唆している。
また、攻撃陣のテコ入れとして、FWディアマンカ・センゴールを藤枝MYFCからレンタルで獲得するなど、得点力不足解消に向けた補強戦略も実行されている。しかし、これらの補強が来季の得点力向上にどれだけ寄与するかは、今後の課題となる。
J2復帰へ、クラブの真価が問われる2026年
2025年シーズン、J3リーグでは残留争いも激戦となり、カマタマーレ讃岐が最終節で勝利し残留を確定させる一方、アスルクラロ沼津がJFL降格の可能性が濃厚となるなど、厳しい生存競争が展開された。
こうした状況下で、栃木SCは来季もJ3で戦うことになる。ライバル栃木シティがJ2へ昇格したことで、地域におけるクラブの求心力を維持するためにも、2026年シーズンは「J2復帰」という目標の達成が不可欠となる。
小林監督体制の継続が実現すれば、安定した守備力と若手選手の成長を土台に、いかに攻撃的なサッカーを展開し、得点力不足を解消できるか。クラブの補強戦略と、新体制の構築が、来季の栃木SCの命運を左右する。(了)