PayPay超えを狙う「teppay」の衝撃:Suica・PASMOがコード決済統合でキャッシュレス覇権に挑む
ニュース要約: 2026年秋からJR東日本とパスモが「teppay」を展開。これはモバイルSuica/PASMO内にQRコード決済機能を統合し、タッチ決済とコード決済の一本化を実現する新サービスだ。消費者の「決済手段をまとめたい」ニーズに応え、約65%のシェアを持つPayPayの牙城に挑み、キャッシュレス市場の勢力図を塗り替えるか注目される。
交通系ICの逆襲:新コード決済「teppay」がPayPay超えを狙う—利便性統合で激化するキャッシュレス覇権争い
2025年年末商戦、QRコードの牙城に新風
2025年11月25日現在、日本のキャッシュレス決済市場は、年末商戦を控え、さらなる競争の激化を迎えている。市場の絶対的な覇者は、引き続きQRコード決済の巨人PayPayだ。同社はQRコード決済市場内で約65.1%という圧倒的なシェアを維持し、2024年度の取扱高は12.5兆円に達するなど、その勢いは衰えを知らない。積極的なキャンペーン展開と中小店舗への浸透により、「まずPayPay対応」が常識となりつつある。
一方で、交通系電子マネーも根強い利用基盤を誇る。特にPASMOやSuicaは、2024年7月に月間3億件を超える決済件数を記録するなど、駅ナカやコンビニ、ドラッグストアといった日常の決済シーンで不可欠な存在だ。だが、この二大勢力の構図は、JR東日本とパスモが打ち出す新たな一手によって、大きく塗り替えられようとしている。
teppay投入の衝撃:Suica・PASMOにコード決済機能を統合
この市場に投じられたのが、2026年秋から展開が予定されているモバイルSuica・PASMO連携の新機能「teppay」だ。
teppayは、既存のモバイルSuicaおよびモバイルPASMOアプリ内にコード決済機能を追加するサービスであり、ユーザーはアプリを切り替えることなく、従来のICタッチ決済に加え、QRコードによる決済も可能となる。モバイルSuicaは2026年秋、モバイルPASMOは2027年春の対応が予定されている。
この戦略の背景には、キャッシュレス決済の多様化・複雑化に対する消費者の強い不満がある。JR東日本の調査によると、生活者の76.1%が「決済手段をなるべく分散させたくない・まとめたい」と回答しており、77.5%が「馴染みのブランド・サービスにまとめたい」というニーズを抱えている。
teppayは、長年利用され信頼性の高いSuica/PASMOという土台の上で、タッチ決済とコード決済という異なる決済手段を統合することで、この「決済集約ニーズ」に正面から応える狙いがある。
覇者PayPayへの挑戦:利便性とユーザー基盤の活用
PayPayが約7000万人のアプリ会員数を擁するのに対し、SuicaとPASMOの両アプリの合計ユーザー数は約4000万人程度と、単純な会員数ではまだ差がある。しかし、teppayの強みは、その基盤の質にある。交通系ICカードは、通勤・通学といった日常の必須インフラであり、その残高は生活資金と密接に結びついている。
PayPay陣営も手をこまねいているわけではない。現在、PayPayカードを利用してPASMOにチャージすることで1%のポイント還元が得られるなど、間接的な連携による利便性向上も進んでいる。しかし、teppay導入後は、ユーザーは交通手段から日々の買い物まで、PASMOモバイル一つで完結させられる可能性が高まる。
ユーザーはこれまで、PASMOが使える店舗ではタッチ決済、使えない広範囲な店舗ではPayPayを使う、という使い分けを強いられてきた。teppayは、この垣根を取り払い、PASMOの利用領域を大幅に拡張させる。
地域密着型決済としての戦略と今後の展望
teppayの競争戦略は、単なる機能統合に留まらない。将来的には、各地の自治体が実施するプレミアム商品券やキャッシュレス還元事業に活用される予定であり、地域経済の活性化を促す「地域密着型決済」としての地位確立も目指している。
国内のキャッシュレス決済は、クレジットカードやデビットカード、そしてQRコード決済が三つ巴で進化を続けている。その中で、交通系ICという独自の強みを持つPASMOが、teppayという新たな武器を手にすることで、PayPayとの競争は新たな局面を迎える。
ユーザーにとって最も利便性の高い決済手段とは、単にポイント還元率が高いだけでなく、「いつ」「どこで」でもストレスなく利用できることだ。teppayの登場は、この利便性の定義そのものを揺さぶる可能性を秘めている。2026年以降、交通系ICが決済市場の主役に躍り出ることができるか、その動向が注目される。