帝京大学の進化:ラグビー部躍進、医学部志願者急増、XR/AIで未来医療を牽引
ニュース要約: 帝京大学が「文武医」の三位一体で存在感を増している。ラグビー部は大学選手権での優勝を目指し快進撃を続け、教育面では医学部総合型選抜の志願者が急増。さらに富士通との共同研究でXRと生成AIを用いた先端医療技術の開発を進めており、高等教育界の注目を集めている。
帝京大学、「文武医」で求心力増大:ラグビー快進撃と医学部志願者急増、XR・AI研究が牽引
【文責:共同通信社提携記者】
2025年12月、帝京大学がスポーツと学術、そして先端医療研究という三つの柱で、日本の高等教育界において際立った存在感を示している。伝統ある帝京大学ラグビー部は大学選手権での覇権奪還を目指し快進撃を続けており、一方で教育研究面では医学部を中心とした医療系分野への志願者が急増。さらに、富士通との共同研究によるXRと生成AIを活用した先端医療技術の開発も進んでおり、「文武医」が三位一体となった総合大学としての進化が注目されている。
■ ラグビー部、大学選手権へ視界良好
帝京大学ラグビー部は、長年にわたり大学ラグビー界の盟主として君臨してきた。今季もその実力は全国屈指であり、12月14日から始まる大学選手権に向け、着実に調子を上げている。
特に11月30日に行われた関東大学対抗戦の慶應義塾大学戦では、80分間を通じた厳しいプレーで相手を圧倒し、50-19で快勝を収めた。この勝利で今季5勝目を挙げ、暫定4位につけている。試合後、主将の大町選手が「自信が戻った」と力強く語ったように、チームは精神的にも充実期に入ったと見られる。
過去の大学選手権では明治大学や早稲田大学といった強豪校を相手に勝利を収めており、トーナメント戦においてもその経験値は大きな武器となる。帝京大学は、この快勝を弾みに、大学選手権での連覇、そして再びの優勝に向けて、最も有力な候補の一つとして期待が高まっている。
■ 2026年度入試、医学部総合型選抜が急増
教育研究面で最も注目を集めているのが、2026年度帝京大学入試における医学部・医療系学部の動向だ。少子化が進む中でも、帝京大学の医療分野への求心力は高まる一方である。
その牽引役となっているのが、医学部総合型選抜(AO入試)だ。2025年度に183人だった志願者数は、2026年度には推定で300人に達する見込みであり、わずか2年目で100人以上の大幅な増加を見せている。
この背景には、帝京大学が採用する「併願型」の柔軟な入試制度がある。1浪までであれば、評定平均に関係なく誰でも受験可能という門戸の広さが、優秀な受験生の裾野を広げた。また、グループディスカッションの形式変更など、受験生の実力を多角的に評価する試みも、受験者からの評価を高めている。
医学部の一般選抜や共通テスト利用選抜においても、前年度と比較して志願者数はやや増加傾向にあり、偏差値維持のため合格者数が抑制される可能性が高いことから、帝京大学 医学部の難易度はさらに上昇することが見込まれる。一方で、医療系学部(医療技術学部など)も安定した志願者数を維持しており、医療職志望者にとって帝京大学は依然として有力な選択肢であり続けている。
■ XRと生成AIで挑む社会実装
帝京大学の未来志向を象徴するのが、先端医療技術の研究開発だ。特に、富士通と共同で進めているXR(拡張現実)と生成AIを活用したヘルスケアプラットフォームの開発は、社会課題の解決を目指す画期的な取り組みとして注目されている。
この研究は、若年層で増加する生活習慣病に対応するため、健康診断で生活改善が必要な人々の身体データ(内臓や骨格など)をバーチャル空間に可視化し、XRとAIを組み合わせることで行動変容を促進するというものだ。従来の健康指導が数値データ中心で、自覚症状のなさから行動変容が起きにくいという課題を打破することが期待されている。
帝京大学は医学的専門知識と生体臓器データの提供を通じて、このプロトタイプ開発を主導しており、2025年1月末までの効果検証を目指している。
また、真菌症の診断・治療法の開発や、医療技術学研究科における高度実践看護師コースの新設など、基礎研究から高度専門職の育成に至るまで、医療技術の社会実装を支える基盤整備にも注力している。
帝京大学は、伝統的な強みであるスポーツの躍進に加え、社会のニーズが高まる医療・AI分野で明確なビジョンを提示している。医学部総合型選抜の急増が示すように、革新的な教育研究体制と、それを支える強靭な「文武医」の基盤は、国内有数の私学として、日本の高等教育界、そして医療技術の未来に大きな影響を与え続けるだろう。