台湾のウー・チャイェンが JLPGA ツアー初V！年間女王・佐久間朱莉を3打差で撃破

台湾のウー・チャイェンがツアー初V、年間女王・佐久間朱莉を抑える快挙

シード争いの終着点、若手と経験者が織りなす激戦の松山

【愛媛・松山】 2025年11月23日、愛媛県松山市のエリエールゴルフクラブ松山で開催された日本女子プロゴルフ協会（JLPGA）ツアー「第44回大王製紙エリエールレディスオープン」は、台湾出身のウー・チャイェン選手（21）が通算15アンダー（202スコア）でツアー初優勝を飾る幕切れとなった。最終日、単独首位からスタートしたウーは、8バーディ、3ボギーの「66」をマークし、年間女王の座を確定させた佐久間朱莉選手（2位、12アンダー）に3打差をつける圧巻の勝利。JLPGAツアー制施行後最多となる、今季12人目の初優勝者として歴史に名を刻んだ。

■ 激戦を制したウーの冷静沈着なプレー

最終日、プレッシャーのかかる最終組でプレーしたウー・チャイェン選手は、前半からバーディを重ねて後続を突き放した。難易度の高いエリエールゴルフクラブ松山のコース設定にも動じず、「自分のリズムでちゃんとプレーができた」と振り返ったように、冷静なパッティングと安定したショットでスコアを伸ばした。

特に注目すべきは、ウーの勝利が、年間女王・佐久間朱莉選手の猛追を振り切った点にある。佐久間は前日までにメルセデスランキング1位を確定させていたものの、今季5勝目を狙い最終日に臨んだ。しかし、ウーの勢いを止めることはできず、最終的に3打差での決着となった。ウーは勝利後、「私一人の力じゃない」と周囲のサポートに感謝を述べ、国際的な若手選手の台頭を印象づけた。

■ シード権争いの行方と注目選手の奮闘

本大会は、賞金総額1億円を誇る大王製紙主催のビッグトーナメントであると同時に、シーズン終盤におけるメルセデスランキングのシード権争いの事実上の最終決戦の場となった。

年間女王の佐久間朱莉選手がランキング1位（2,473.61pts）を盤石のものとする一方で、シード権（50位以内）や来季前半戦出場資格（51位～55位）をかけた中堅・若手選手のドラマも繰り広げられた。

特に、若手では菅楓華選手が通算11アンダーで3位に入り、再び上位争いに顔を出した。菅楓華選手は今季1勝を挙げ、ランキング4位に位置しており、来季のさらなる飛躍が期待される。

また、経験豊富な選手たちの粘りも際立った。木戸愛選手は2打差の好位置で最終日を迎え、惜しくも優勝は逃したものの、通算9アンダーで4位タイに食い込んだ。2012年以来の勝利を目指して奮闘した木戸愛選手のプレーは、多くのファンに感動を与えた。

さらに、人気実力者である原英莉花選手も安定したプレーを見せ、通算8アンダーの7位タイでフィニッシュ。原英莉花選手はランキング上位を維持しており、来季のシード権を確実なものとした。

■ JLPGAツアーの層の厚さと「エリエール」の貢献

今季のJLPGAツアーは、ウー・チャイェン選手の優勝によって、ツアー制施行後最多の初優勝者数を更新するという記録的なシーズンとなった。これは、佐久間選手や菅楓華選手といった若手日本人選手の台頭に加え、ウー選手のような国際的な若手実力者が続々と現れていることを示しており、JLPGAツアー全体の層の厚さが証明された形だ。

主催者である大王製紙株式会社は、衛生用品ブランド「エリエール」の名を冠し、長年にわたり本大会を支え続けている。大王製紙エリエールレディスオープンは、毎年、シード権争いの重要な舞台となり、女子ゴルフ界の発展に大きく貢献し続けている。

難コースとして知られるエリエールゴルフクラブ松山での激戦は、若手、中堅、そして国際的な選手たちが混在し、高いレベルで競い合うJLPGAツアーの現状を象徴している。ウー・チャイェン選手の初優勝というニュースは、来季に向けて女子ゴルフ界の国際化と活性化がさらに進むことを予感させる、記念すべき一戦となった。