結成30年超スピッツ、新曲「灯を護る」で世代を超越―『SPY×FAMILY』主題歌の衝撃
ニュース要約: 結成30年超のロックバンド、スピッツが新曲「灯を護る」(『SPY×FAMILY』主題歌)で新たなファン層を獲得。普遍的な楽曲とライブの熱狂を通じて、世代や国境を超えた「スピッツ色」の奇跡的な魅力を再証明している。
普遍性の追求と新たな挑戦—スピッツ、30年超の「奇跡」と「灯を護る」が示す現在地
(2025年11月27日付 朝日新聞 文化・音楽面より)
1991年のデビュー以来、日本の音楽シーンにおいて確固たる地位を築いてきたロックバンド、スピッツ。彼らが再び幅広い世代の注目を集めている。その背景には、約2年半ぶりのシングルとなる新曲「灯を護る」が、人気アニメ『SPY×FAMILY』Season 3のオープニング主題歌に起用されたことが大きい。
結成から30年を超えてもなお、活動休止やメンバーチェンジを経ることなく、常に「スピッツらしさ」を追求し続ける彼らの音楽は、今や世代や国境を超えて浸透し始めている。
アニメ主題歌で獲得した新たなファン層
10月にリリースされた「灯を護る」は、ボーカルの草野マサムネが、アニメのストーリーを深く意識して作詞したと公言している。繊細で温かみのあるメロディと、希望や絆といった「守りたい光」をテーマにした歌詞は、『SPY×FAMILY』の世界観と見事に共鳴し、アニメファンからも高い評価を獲得した。
これまでドラマ主題歌や挿入歌での実績は豊富であったスピッツだが、今回のように大々的にアニメ主題歌を手掛けるのは異例であり、これが新たなファン層の獲得に繋がった。YouTubeなどで公開されたノンクレジット映像の視聴数が示すように、楽曲の普遍的な魅力が、現代のメディアミックス戦略の中で改めて証明された形だ。
また、年末には代表曲の一つ「楓」を原案とした映画が公開を控えており、彼らの楽曲が持つ物語性や文学的な深みが、映像作品を通じて再評価される機運が高まっている。
恒例イベントの熱狂と世代を超えた一体感
音楽活動はリリースだけに留まらない。2025年9月には、恒例のレギュラーイベント「ロックのほそ道2025」(仙台)、「ロックロックこんにちは!」(大阪)、「豊洲サンセット2025」(東京)が全国3会場で開催され、計6公演全てにスピッツが出演した。
ライブレポートによると、彼らのステージは「完成された演出」と評され、会場は熱気に包まれたという。特に「豊洲サンセット2025」では、indigo la EndやTHE COLLECTORSなど世代を超えたゲストアクトが集結。スピッツのライブは、往年のファンだけでなく、若手バンド目当てのリスナーをも巻き込み、世代間交流の場として機能している。
ファンが選ぶ「もう一度聴きたい」名曲ランキングでは、「ロビンソン」「チェリー」「空も飛べるはず」といった初期の名曲群が常に上位を占める。2025年のツアーにおいても、これらの普遍的な楽曲が披露されるたびに大歓声が上がり、会場全体が一体感に浸った。この事実は、スピッツの楽曲が単なる流行ではなく、日本のポップス史における「青春の象徴」として定着していることを示している。
歌謡曲とロックを融合させた「スピッツ色」の特異性
スピッツが30年以上にわたり日本の音楽シーンに影響を与え続けている最大の要因は、彼らが確立した「普遍性と親しみやすさ」にある。
彼らの音楽性は、1990年代のオルタナティブ・ロックの影響を受けつつも、どこか懐かしさを感じさせる日本の歌謡曲のエッセンスを巧みに融合させている。この独自の「スピッツ色」は、派手さを避け、日常性や内省的な感情を描き出すことで、リスナーの心に深く染み込む。
メディア露出を控えめにし、音楽そのものに焦点を当て続ける彼らの「慎ましさ」や「頼もしさ」も、ファンや後進のアーティストから尊敬を集める理由だ。ラブリーサマーちゃんやHomecomingsなど、スピッツを偏愛する若手ミュージシャンは多く、その影響力は現在の音楽界全体に波及している。
メンバーチェンジなく活動を続けるその安定感は「奇跡」とも称され、日本のバンドの理想的なあり方の一つを示している。
年末の動向と今後
2025年の締めくくりとして、スピッツは12月29日に大阪で開催されるロック大忘年会「FM802 RADIO CRAZY」への出演が決定しており、その熱狂は年末まで続く見込みだ。
新曲「灯を護る」のヒット、恒例イベントの成功、そして世代を超えた名曲群の輝き。スピッツは今、過去の功績に甘んじることなく、新たな作品とライブを通じて、その「普遍性」の価値を再定義している。彼らの音楽が日本の大衆文化の一部として、今後も長く語り継がれていくことは間違いないだろう。
(了)