【2030年戦略】セブンイレブン、AI・ロボット導入で店舗効率化と収益拡大：次世代型コンビニの全貌

セブンイレブン、デジタルとリアルで市場を再構築 2030年に向けた「次世代型コンビニ」戦略の全貌

株式会社セブン‐イレブン・ジャパン（セブン＆アイ・ホールディングス傘下）は、2025年冬、単なる商品販売網にとどまらず、デジタル技術と即時配送サービスを軸とした「次世代型コンビニエンスストア」への変革を加速させている。成長投資の柱に据えるデリバリーサービス「7NOW（セブンナウ）」の拡大と、生成AIやロボット技術の導入による店舗オペレーションの効率化は、日本の小売業界における新たなモデルを提示し、市場の注目を集めている。

成長戦略の核「7NOW」 2030年度売上1200億円を目指す野心

セブン&アイ・ホールディングスが打ち出した中期経営戦略において、即時配送サービス「7NOW」は重要な収益源として位置付けられている。同社は、2030年度までに「7NOW」の国内売上を現在の10倍となる約1200億円に拡大する野心的な目標を設定。これは、3.2兆円の成長投資の一部であり、グループ全体の営業収益目標（11.3兆円）を支えるための不可欠な事業基盤となる。

「7NOW」は、アプリやウェブサイトから店頭と同じ約3000アイテムが注文でき、最短20分で自宅や指定場所に届く利便性が強みだ。配送業務を外部に委託することで、加盟店側の負担は商品のピッキング作業に限定され、人手不足が深刻化する店舗運営課題の解決にも寄与している。国内のみならず、北米市場でも対応店舗数を2030年度までに約8500店舗にまで拡大する計画であり、国内外を含めた即配サービスの拡大が今後の成長の軸となる。

AIが変える商品企画と店舗運営：最大90%の効率化

店舗運営の効率化と商品競争力の強化においても、最新テクノロジーの導入が目覚ましい。セブンイレブンは生成AIを活用し、SNSや販売データを分析することで、商品企画の期間を従来の最大90%削減することに成功した。これにより、従業員は高付加価値業務に集中することが可能となり、トレンドへの対応スピードが向上している。

また、2023年から全店舗に導入されたAI発注システムは、販売動向や天気、曜日傾向をAIが詳細に分析し、基準在庫算出と発注量の提案を行う。実証実験では、発注時間を最大40%短縮し、欠品率の低下、ひいては店舗信頼性の向上に貢献している。

さらに、将来的な省人化を見据え、ロボット技術の段階的導入も進行中だ。2025年春には、品出しや調理ロボットを特定店舗に配備。2029年までにはレジカウンター業務を含む店舗作業のロボットによる自動化を目指しており、人手不足時代における新たな店舗運営モデルの確立が期待されている。

冬商戦を牽引する限定スイーツ 「神アイス」と「SNS映え」戦略

デジタル戦略と並行し、セブンイレブンは季節に応じた商品力で顧客のエンゲージメントを高めている。2025年冬の限定スイーツラインナップは、SNSで大きな反響を呼び、集客の重要な要素となっている。

特に話題となっているのが、11月25日に発売された「7プレミアム まっしろもこもこ しろもこパフェ」だ。純白のビジュアルが「冬らしさ」と「SNS映え」を演出し、「もこ」シリーズファンやホワイトチョコ好きから絶賛されている。

さらに、「7プレミアム アップルパイモナカ」は、カスタード風味アイスとアップルシナモンソースの組み合わせ、そしてモナカ皮のパリパリ食感が評価され、SNSでは「神アイス」「アイスクリームオブザイヤー確定」とまで称される人気ぶりだ。爽やかな酸味を持つ「ヨーグルトシュークリーム」も、冬の濃厚な味わいに対する「爽やかさ」を提供する商品として支持を集めている。

年末商戦は「少人数化」と「アプリ予約」が主流に

クリスマスケーキやおせち料理といった年末商戦においても、顧客行動の変化に対応した戦略が展開されている。2025年の年末商戦では、「ちいかわ」などの人気キャラクターコラボ商品が牽引する一方、単身・少人数世帯向けに、ミニサイズやアソートタイプ（詰め合わせ）のケーキ・おせちの需要が拡大している。

予約の主流は、店頭から「セブンイレブンアプリ」やネットサービス「セブンミール」といったデジタルチャネルへと移行。早期予約特典としてクーポンやポイント付与が強化され、アプリ活用による顧客体験の向上とデータ活用が図られている。

セブンイレブンは、生成AIからロボット、そしてデリバリーサービス「7NOW」に至るまで、最新テクノロジーを駆使して経営効率と顧客接点を劇的に変革している。冬季限定スイーツや年末商戦における商品戦略と、デジタルインフラの強化が一体となることで、同社は小売りの枠を超えた即時生活支援インフラとしての地位を確立しつつある。このデジタルとリアルが融合した「次世代型コンビニ」の進化は、今後も市場の注目を集め続けるだろう。