ソフトバンク社債、年利3.98%で争奪戦:野村証券が仕掛ける「A格」高利回り債の魅力とリスク
ニュース要約: 低金利下、ソフトバンクグループの個人向け社債(年利3.98%、7年満期)が異例の活況を呈している。野村証券主導で販売され、「A格」評価と高利回りが魅力だが、SBGの投資事業に左右される収益変動性や、一部銘柄のリスク条項には注意が必要だ。
ソフトバンク社債、異例の年利3.98%で争奪戦:野村証券主導、個人マネー引き寄せる「A格」の光と影
(2025年11月27日 日本経済新聞、共同通信社系)
低金利環境が続く国内市場において、個人投資家向け社債が異例の活況を呈している。特にソフトバンクグループ(SBG)がこのたび発行する「第67回無担保社債」(7年満期)は、税引前年利3.98%という高水準の利回りを提示し、販売開始直後から熱狂的な需要を集めている。販売期間は11月27日から12月5日と短期間に設定されており、前回発行分が数日で完売した経緯から、今回も個人マネーの争奪戦が予想される。
このソフトバンク社債の魅力は、その高利回りはもちろんのこと、格付機関JCRから「A」という比較的安定した評価を得ている点にある。個人向け国債の利回りが1%前後で推移する中、3%台後半という利回りは、安定資産を求める国内投資家にとって極めて魅力的な選択肢となっている。購入単位は100万円からと、広く個人に門戸が開かれていることも、人気の理由の一つだ。
今回の発行・販売において、野村証券は主要な販売チャネルとして主導的な役割を果たしている。同社は、Webや店舗を通じ、「新発社債発行のご案内」として積極的に投資家へ訴求。過去には「福岡ソフトバンクホークスボンド」のような愛称を付けるなど、個人投資家が親しみやすい販売戦略を展開してきた。
野村証券の戦略的意義は、単なる販売代行に留まらない。同社はSBGの資金調達において、国内初の上場社債型種類株式の商品開発や東証上場に向けた協議をサポートするなど、ハイブリッド型商品の提案を通じて戦略的なパートナーシップを強化してきた実績を持つ。今回の高利回りソフトバンク 社債の提供は、個人投資家向けの商品ラインナップを拡充しつつ、SBGとの強固な関係を維持する上でも重要な位置づけにある。
個人投資家がこの高利回り社債に殺到する背景には、SBGの直近の好業績がある。2026年3月期上期(2025年4月~9月)の連結決算では、OpenAI関連など大型投資の評価益が大きく寄与し、過去最高の業績を記録した。純利益は大幅に改善し、財務基盤の強化が進んでいるとの認識が、投資家の信用力を裏打ちしている。
しかし、高利回りには相応のリスクが伴う。SBGの業績は、ビジョン・ファンドを筆頭とする投資事業の動向に大きく左右され、収益の変動性が高いという特性を持つ。投資家の中には、「一時的な利益に依存している点」に注意が必要との指摘もある。
また、社債投資特有のリスクとして、金利変動による価格変動リスク、そして発行体の財務状況悪化による信用リスクが存在する。特にソフトバンク 社債の一部には、破綻時に償還順位が劣後する「劣後特約付き」や、経営状況悪化時に利払いが延期される「利払繰延条項付き」の銘柄も含まれるため、個別の条件確認が不可欠だ。
野村証券をはじめとする証券会社は、これらのリスクについて明確に案内している。投資家は、SBGの格付けが「A」と比較的高い水準にあるとはいえ、自身の資産運用方針やリスク許容度を踏まえ、慎重に判断する必要がある。
高金利時代を迎え、個人向け社債の発行ペースは過去最高水準に達している。その中でも、SBGの社債は利回りの高さとブランド力で突出した存在感を放つ。今回の第67回無担保社債の成功は、個人投資家が高利回りを求め、リスクを承知の上で大企業の発行する債券市場に資金を振り向けている現状を象徴している。今後もSBGが継続的に個人向け社債を発行し続けるか、そして市場の金利動向がどう影響を与えるか、引き続き注目が集まる。