【クイーンズ駅伝2025】山本有真が1区！王座奪還へ積水化学の戦略と「花の3区」エース激突

【クイーンズ駅伝2025】「花の3区」に世界代表が激突 積水化学・山本有真は1区で流れ掴むか—優勝争いを左右する戦略的区間エントリーの妙

2025年11月23日、宮城県松島町文化観光交流館前から弘進ゴムアスリートパーク仙台に至る6区間42.195kmを舞台に、第45回全日本実業団対抗女子駅伝、通称「クイーンズ駅伝2025」が開催された。連覇を目指す日本郵政グループと、王座奪還を期す積水化学の「二強」を中心に、熾烈な優勝争いが展開されている。勝敗を大きく左右するのは、各チームが練り上げた「クイーンズ駅伝 区間エントリー」の戦略であり、特に主要区間でのエース配置が注目された。

積水化学、山本有真を1区に抜擢—王座奪還への布石

積水化学は、2年ぶりの頂点を目指し、序盤から強気の布陣を敷いた。特筆すべきは、これまで2年連続で「最短区間」である2区で区間新記録と区間賞を獲得してきた山本有真選手を、スタートの1区（7.0km）に配置した点だ。

山本選手は、大学時代に箱根駅伝で活躍した経験を持ち、実業団でさらなる成長を遂げたランナーの象徴的存在である。野口監督から「2区は卒業」と告げられた彼女に託されたのは、レース全体の流れを決定づける重要なスタートダッシュの役割だ。

「いいスタートが切れたらいい」と静かに意気込みを語った山本選手だが、積水化学が1区から3区にかけて、山本、木村友香、佐藤早也伽という世界選手権代表クラスのタレントを固めたことは、序盤でのリード確保に懸ける強い意志を示している。彼女の1区での走りは、積水化学が目指す王座奪還シナリオの成否を握る鍵となるだろう。

激戦必至の「花の3区」—箱根の2区に匹敵する戦略的要衝

クイーンズ駅伝2025の勝負の分かれ目として、最も注目を集めるのが第3区（10.6km）である。この最長区間は、男子の箱根駅伝における「花の2区」に匹敵する戦略的要衝であり、実力者が集中配置された。

日本郵政グループは、世界選手権1万メートルで2大会連続入賞を果たしている広中璃梨佳選手を投入。対するライバルチームも、三井住友海上は黄金ルーキーの不破聖衣来選手を配し、ルーキーながら最長区間でのデビューという、大胆な勝負に出た。さらに、大塚製薬の小林香菜選手、エディオンの矢田みくに選手ら、マラソンやトラックで実績を誇る精鋭が顔を揃え、この区間での順位変動は激しいものとなることが予想される。

広中選手、不破選手の直接対決に加え、各チームのエース級ランナーが繰り広げる高速バトルは、中継点でのチーム順位を大きく左右し、レースの趨勢を決める「勝負の区間」となる。

長距離区間が分ける明暗—総合力と区間配置のバランス

優勝争いは、序盤の勢いを保ちつつ、中盤の長距離区間（3区、5区）をいかに乗り切るかに懸かっている。特に第5区（10.0km）もまた、疲労が蓄積する中での粘り強さが試される重要区間だ。エディオンが細田あい選手を配置するなど、各チームとも後半戦に向けてスタミナに優れた選手を投入する戦略が見て取れる。

クイーンズ駅伝 区間エントリーの最終的な妙は、主力選手を前半に集中させて一気に差をつける「逃げ切り型」か、あるいは後半の長距離区間に温存し逆転を狙う「追い込み型」か、そのバランスにある。

箱根駅伝で培われた、大学から実業団へのステップアップを経て、山本有真選手のように主要区間を担うランナーの活躍は、女子長距離界全体のレベル向上を象徴している。

本日、宮城県の地で繰り広げられたクイーンズ駅伝2025は、単なるスピード勝負ではなく、緻密な戦略と、選手個々の成長が交錯する、まさに「実業団駅伝の最高峰」にふさわしい激戦となった。最終的な優勝の栄冠がどのチームに輝くか、そして大会記録更新の行方にも、最後まで目が離せない展開が続いている。