【独自】日本一の観覧車「オオサカホイール」落雷で緊急停止 9時間閉じ込めに露呈した巨大施設の安全課題

【独自】日本一の観覧車「オオサカホイール」落雷で緊急停止、乗客9時間閉じ込め 巨大施設の安全対策に課題

2025年11月26日

大阪府吹田市の大型複合施設「エキスポシティ」内にある大観覧車「オオサカホイール」が、25日夕方に発生した落雷の影響で緊急停止し、乗客約20人が最大で約9時間にわたってゴンドラ内に閉じ込められる事故が発生した。運営会社と消防は夜通しで救助活動にあたり、翌26日未明に全員が救出されたが、けが人は確認されていない。しかし、高さ123メートルを誇る日本一の観覧車を襲った自然災害は、高層アトラクションの安全管理と緊急時対応のあり方に、改めて重い課題を突きつけている。

■ 落雷直撃、システム停止で救助難航

事故が発生したのは、2025年11月25日午後5時40分ごろ。天候が急変し、激しい雷雨に見舞われた大阪府吹田市において、「エキスポシティ 観覧車」の制御システムに落雷による過電流が流れ込んだとみられている。これにより、観覧車を駆動させる電気系統が一時的に停止。ゴンドラ内にいた9組、約20人の乗客が、地上数十メートルの位置で身動きが取れなくなった。

運営会社（EXPO観覧車合同会社）によると、緊急停止後、復旧を試みたもののシステムは再起動せず、スタッフと駆けつけた消防隊員約40人が連携し、手動による救助活動を開始した。

「オオサカホイール」は、1周に18分を要する巨大さゆえ、手動でゴンドラを安全な位置まで降ろす作業は極めて困難を極めた。地上からの照明が届かない中で、スタッフはマニュアルに基づき、一基ずつゴンドラを回転させ、地上付近に達したゴンドラから乗客を順次救出。最終的な救助完了は、事故発生から約9時間が経過した26日午前2時41分となった。閉じ込められた乗客の中には、長時間にわたる密閉空間での待機により体調不良を訴える者もいたが、幸いにも重傷者やけが人は出ていない。

■ 日本一の高さが抱える雷対策の難しさ

今回の事故の直接的な原因は、落雷による電気系統の故障とみられている。高層建築物であるエキスポ 観覧車には、通常、避雷針や雷サージ保護装置（SPD）といった厳重な雷対策が施されている。しかし、今回のケースでは、保護装置の許容量を超える強力な落雷や、複数の系統への影響が同時に発生した可能性が指摘されている。

物理的に日本一の高さを誇る「大阪 観覧車」は、雷に対して最も脆弱な構造物の一つとなる。運営会社は「安全が確認されるまで運行を再開しない」と発表しており、現在、電気系統、制御装置、避雷設備の徹底的な点検と修理を進めている。現時点（26日）で運行再開の具体的な日程は未定であり、長期化も懸念される。

■ 観光資源への影響と信頼回復の課題

「オオサカホイール」は、年間を通じて多くの観光客が訪れるエキスポシティの象徴であり、大阪を代表する観光資源の一つである。特に夜景を一望できる同施設は、夜の集客において重要な役割を担ってきた。

今回の長期にわたる運行停止は、乗車収入の直接的な喪失だけでなく、エキスポシティ全体の集客力にも間接的な影響を及ぼす。遊戯施設における長時間閉じ込め事故は、利用客、特にファミリー層や高齢者層に対し、安全性への強い不安感を与えるため、ブランドイメージの回復には時間を要するとみられる。

運営会社は今後、落雷対策の技術的な強化に加え、緊急時の乗客への情報伝達、救助体制の迅速化、そして何よりも利用者の信頼回復に向けた透明性のある情報公開が求められる。

高所でのトラブルは、単なる機器の故障にとどまらず、乗客の心理的な負担が非常に大きい。今回の事故は、自然災害が頻発する日本において、巨大なランドマーク施設がどのようにして「絶対の安全」を維持していくか、その安全哲学が試される重大な事例となった。（了）