エヌビディア決算、予想超えでAI需要の持続性証明—ナスダック市場を強力牽引
ニュース要約: 米エヌビディアの第3四半期決算は売上高570億ドル超と市場予想を大幅に上回り、AIチップへの旺盛な需要が持続していることが確認された。データセンター部門が売上の約9割を占め、CEOは最新GPUへの「異例の需要」に言及。この好決算を受け、ナスダック市場は全体的に反発し、AI関連銘柄にも波及効果が見られた。同社の業績は、AIが短期的な投機ではなく構造的な変革であることを再確認させた。
エヌビディア決算が示すAI革命の持続性、ナスダック市場を牽引
【ニューヨーク19日=市場担当】 米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)が19日発表した2026年度第3四半期(8~10月期)決算が市場予想を上回り、人工知能(AI)チップへの旺盛な需要が続いていることが改めて確認された。同社株は今月に入り約10%下落していたが、決算発表後の時間外取引で上昇に転じ、ナスダック総合指数全体にも好影響を与えている。
予想上回る決算内容
エヌビディアの第3四半期売上高は570億1000万ドル(約8兆8000億円)と、前年同期比62%増を記録した。市場コンセンサスの551億9000万ドルを大幅に上回り、1株当たり利益も1ドル30セントと予想の1ドル26セントを超えた。特に注目されるのは、データセンター部門の売上高が512億ドルに達し、全体の約90%を占めたことだ。これはクラウド大手のマイクロソフト、アマゾン、グーグルなどからのAI向け半導体需要が依然として強いことを示している。
ジェンセン・フアン最高経営責任者(CEO)は決算発表で、最新の「ブラックウェル」GPUアーキテクチャーへの需要が「異例の水準」に達していると述べ、第4四半期の見通しも市場予想を上回る約620億ドルとした。
ナスダック市場への影響力
エヌビディアはナスダック100指数の構成銘柄として約6%の比重を占めており、同社の業績発表は指数全体の方向性を左右する。19日の決算発表後、ヤフー・ファイナンスなどの市場情報サイトでは、エヌビディア株が最も検索されるキーワードとなり、投資家の関心の高さがうかがえる。
CBOE・ナスダック・ボラティリティー指数(VXN)は決算発表前後に一時的に上昇したものの、好決算を受けて投資家心理が改善し、科技股全体が反発する展開となった。ブルームバーグのアナリストは「エヌビディアの業績は、AIが短期的な投機ではなく構造的な変革であることを再確認させた」と指摘する。
AI関連銘柄への波及効果
エヌビディアの好決算は、AI関連企業全体にポジティブな影響を与えている。決算発表後の取引では、半導体大手のAMDが4.2%上昇したほか、マイクロソフトが2.8%、メタが3.1%、クラウドデータ分析のスノーフレークが5.5%それぞれ上昇した。
アナリストの間では、エヌビディアの継続的な成長が科技エコシステム全体を支えるとの見方が強まっている。高盛証券やモルガン・スタンレーは、AI分野への投資が加速しているとして、関連銘柄の投資判断を引き上げた。
アナリスト評価は「強気」維持
エヌビディア株をカバーする41人のアナリストのうち、39人が「買い」または「強気買い」の評価を付けている。平均目標株価は222ドル44セントで、現在の株価から約23%の上昇を見込む。11月中旬には、オッペンハイマーのリック・シェーファーアナリストが目標株価を225ドルから265ドルに引き上げるなど、ポジティブな評価が相次いでいる。
ただし、目標株価の幅が100ドルから350ドルと大きく開いていることは、高いバリュエーションに対する不確実性も反映している。市場関係者の間では、AI投資ブームの持続性や利益率の圧迫懸念について、慎重な見方も出ている。
今後の展望
エヌビディアは現在、AI加速器市場で約80%のシェアを握る圧倒的なリーダーだ。同社のCUDAソフトウェアプラットフォームは業界標準となり、400万人以上の開発者が利用している。この強固なエコシステムが、AMDやインテルなどの競合他社に対する優位性を支えている。
2026年度通期の市場予想は売上高約2079億5000万ドルと、前年からさらに加速する成長が見込まれる。ハイパースケールクラウド各社のAI関連支出は前年比34%増の440億ドルに達する見通しで、エヌビディアはこの需要の中心に位置し続けると期待されている。
今後のナスダック市場の動向は、エヌビディアを筆頭とするAI関連企業の業績に大きく左右される情勢が続きそうだ。